松永 和幸 院長の独自取材記事
高島町 まつなが歯科クリニック
(横浜市西区/高島町駅)
最終更新日:2025/02/26

ブルーライン・高島町駅から徒歩6分、住宅街の中にある「高島町 まつなが歯科クリニック」は2023年に開業した。清潔感あふれる明るい待合室は車いすやベビーカーが入れるようバリアフリー設計の広々とした空間だ。流れる軽快なBGMにリラックスできる。院長を務める松永和幸先生は、穏やかな笑顔と、一つ一つの言葉を丁寧に選ぶ話し方が印象的だ。鶴見大学歯学部卒業後、同大学病院の第一口腔外科医局に入り、皆野病院、湘南東部総合病院の口腔外科などで研鑽を重ねた。そんな松永院長に、クリニック開業に至るまでの経緯をはじめ、治療方針や患者への思い、導入している機器など、ゆっくりと話を聞いた。
(取材日2024年11月18日)
2つの側面を持つハイブリッドなクリニックをめざす
クリニック開業までの経緯を教えていただけますか?

鶴見大学歯学部では口腔外科を専攻していました。そのまま大学の口腔外科医局に入り、大学の関連病院勤務を経て、一般歯科を中心に行う開業クリニックで14年ほど勤務して、今に至ります。当院を開業するにあたっては、以前勤めていたクリニックの影響が大きいですね。そのクリニックは、住宅街の中にあり、お子さんから高齢者まで通われ、訪問診療にも携わる地域密着型のクリニックでした。一方で、先進の機器や専門性に基づいた技術を用いて診療を行っていたんです。そういう昔ながらのかかりつけ歯科のような面と、先進的な診療を行う面を併せ持ったハイブリッドなクリニックをつくりたいと思い、当院を開業しました。
クリニックづくりのこだわりはありますか?
何よりこだわったのは、入りやすい雰囲気ですね。歯に関して何か気になることがあったら、誰もが気負わずにすっと立ち寄れるような明るい建物や内装にしたいと思い、工夫を凝らしました。全年齢の方が来院しやすいように、車いすやベビーカーが入れるバリアフリー構造にしたり、お子さんや、お子さん連れのご家族が過ごしやすいよう、キッズスペースも入り口に設けています。歯科用CT室も、検査する際に1人になることから、怖がってしまうお子さんが多いので、壁紙を動物の柄にして、「動物が何種類いるかな?」などと聞きながら撮影できるようにしました。
スタッフさんによる接遇にも力を入れているとか。

機器や設備は理想的なものを取り入れることができました。ですが、機器というハード面だけでなく、やはりそれを使う私たちスタッフの接遇などのソフト面が、非常に重要だと思っています。ですから、新しい機器を入れているからと満足するのではなく、技術、そして接遇などのマナーも常に向上するように、心がけていきたいです。マニュアルは最低限の方向性を決めるもので、それをベースに患者さんの立場に立って主体的に動けることが重要であると考えています。より良いクリニックをめざしてスタッフ一丸となって患者さんと長くお付き合いできればと思います。
重症化を防ぐための予防や痛みの少ない治療に注力
予防歯科に力を入れているそうですね。

クリニックに来られる方の主訴は「歯や詰め物などが取れた」、そして「歯が痛い」であることがとても多いです。ですが、これらの症状はすでに虫歯などが重症化している状態で、抜歯をしないといけないことも考えられます。そうならないように、定期的に予防のためにクリニックに通っていただくことで、重症化を防ぐための提案をし、予防管理を行っていきたいのです。この考えは、私が大学時代に口腔外科を専攻していたことも関係しています。口腔外科では、虫歯などが重症化して抜歯せざるを得ない段階まで悪化した歯を見る機会が多くありました。そういった症例をたくさん見てきたからこそ、いかにして虫歯や歯周病を防ぐか、逆算してどの段階で介入すれば良いか考えるようになったのです。当院には歯科衛生士も責任感の強い人たちがそろっていますので、これからも予防には特に力を入れていきたいと考えています。
導入されている機器について教えていただけますか?
口腔内スキャナーやマイクロスコープ、歯科用CTを導入しています。口腔内スキャナーは詰め物やかぶせ物を作る際に型採りで活用します。これまでは、医療用粘土で歯の型採りを行うことが一般的でしたが、気分が悪くなって吐き気を催したり、粘土がずれてしまって型採りがうまくいかなかったりすることもありました。口腔内スキャナーは歯を削った部分をスキャンすることで、3次元情報をもとに、適切かつ患者さんへの負担も少ない方法で型採りのできる機材です。口腔内スキャナーを用いた型採りは自由診療での提供にはなるのですが、患者さんにもメリットが多いと思っています。保険診療で使用しているものとしては、マイクロスコープがあります。肉眼で見えないところまで30倍に拡大して見えるので、より丁寧な治療につながると考えています。歯科用CTも、保険診療の範囲内で使用しています。
「痛みの少ない治療」も心がけていると聞きました。

麻酔に関しては、表面麻酔や細い注射針を使うなど、技術面でも痛みが少ない治療につながるように努めています。ですが、痛みの閾値、いわゆる痛みの感じやすさというものがあるのです。実は緊張していると麻酔が効きにくく、痛みを感じやすくなるとされているのですね。お酒に例えるとわかりやすいですが、普段お酒が弱い方でも、緊張していると酔いにくくなるのと似ています。ですから、患者さんがいかにリラックスできるか、環境を整えられるかが重要です。お子さんは特に緊張しやすいので、明るく話しかけるなどして、なるべくリラックスしてもらうよう心がけています。
治療のめざすゴールや方向性を患者にはっきりと示す
どのような方針で治療を行っていますか?

私がめざす「最適な治療法」の基準は、寿命の長さ、快適さ、使い勝手と金属アレルギーリスクのないもの。さらに、自分の家族に提供したいと思える治療法であるかどうかですね。当院は自由診療、保険診療双方に対応し、どの治療法であっても安心して受診してもらえる内容です。保険診療は、競技に例えると「オリンピック選手レベル」であるのに対し、自由診療は「メダリストレベル」のものを提供していると自負しています。自由診療だからこそ可能な、患者さんに大きな喜びをもたらす治療があると思っています。精密な診療を可能にする口腔内スキャナーを利用した治療では、診療時間や通院回数を削減できます。患者さんの負担が軽減されるので、喜んでいただけているとうれしいです。また、金属アレルギーや嘔吐反射のリスク、見た目などを重視したセラミック製の詰め物やかぶせ物の処置を施す治療の希望者も増加しているように感じます。
患者さんを診る時に、意識されていることは何でしょうか?
常に治療に要する期間や費用、内容の3点を意識しています。中でも早い段階で「治療期間」を明確に伝えるよう心がけています。マラソンでも明確な距離や給水所の数などがわかっているから、何とか頑張って走ることができるように、治療においても「あと何回通院すれば治療が終了するのか」を示すことは大切です。患者さんのめざすゴールは治療期間や費用など、人それぞれ異なります。治療内容を判断する際は、歯科医師という立場は一度脇に置き、患者さんの立場で「本当にこの患者さんにとって適切な選択なのか」と再検討を行います。例えば、90歳を過ぎた患者さんにインプラント治療を勧められるか。日々のケアや定期検診の必要性など、さまざまな要素を加味して患者さんの目線で判断を下すのが私のスタイルです。また診断するには、患者さんの生活背景に関わる情報が必要な場合もありますので、できるだけ世間話をするようにしています。
最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。

地域に密着したクリニックとして、2代、3代にわたり通院してもらえるような信頼関係を構築したいと思っています。また、先端の医療技術を提供し続けられるよう、情報のアンテナを研ぎ澄ませ続ける所存です。歯科治療技術は、現在も進化の途上にあります。定期的に来院いただくことで、より望ましい口腔環境をつくるための情報をお届けできますので、定期受診を継続していただけるとうれしいです。またより多くの人が、自分の歯に興味を持ってくれたらと思います。当院が治療前と治療後の口腔内の写真を確認してもらう理由は、治療の過程を確認できることで次回来院するためのモチベーションにつながるためです。どんな些細なことでも気になる部分があれば、気軽に来院し相談していただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはCAD/CAMシステムによるインレー(詰め物) 5万5000円~
CAD/CAMシステムによるクラウン(かぶせ物) 11万円~
口腔内スキャナーを用いた型採り 5万5000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。