谷 健志 院長の独自取材記事
たに眼科クリニック おおたかの森院
(流山市/流山おおたかの森駅)
最終更新日:2023/06/15

流山おおたかの森駅こかげテラス口を出て、美しく植樹された高架下を南へ歩いて5分の場所にある「たに眼科クリニック」。保育園など子どものための5つの施設が集結したショッピングモールの4階にあり、通院にも便利だ。院長の谷健志(たけし)先生は優しい笑顔が印象的で、子どもたちにも眼球模型を使ってわかりやすく説明することを大切にしている。その柔和な印象とは対照的に、臨床工学技士として働きながら医学部を再受験、医師になってからは短期間で数多くの白内障手術経験をしっかりと積める現場をあえて選択するなど、ハードな道のりを歩んできた。名前の通り、健やかな志を忘れることなく努力を重ねてきた原動力は何だったのか。生まれ育ったエリアで地域医療に貢献したいという想いなどと合わせて、詳しく話を聞いた。
(取材日2023年6月7日)
働きながら挑戦を続け、諦めなかった医師への道
仕事をしながら5度目のチャレンジで医学部合格を果たしました。

特にやりたいこともなく、なんとなく進んだ工学部でした。医師が担当している授業で、その先生が自分の仕事を楽しそうに語る姿に衝撃を受け、自分も医学部に行けばやりたいことが見つかると考えるようになりました。工学部を中退しての再受験も考えましたが、とりあえず、医療機器のエンジニアである臨床工学技士として就職しました。17歳の時に父を亡くし母子家庭だったので、母を安心させたかったんです。そこからは5年間、ひたすら仕事と勉強の日々でした。平均睡眠時間は約3時間。途中で何度も挫折しそうになりましたが、母が「自分が納得いくまで、最後まで、中途半端はいけない」と、支えてくれたのは感謝しています。有給を使って受けていた模試で全国成績優秀者にも名前が載るようになった5年目、一般入試でも行ける手応えを感じていましたが、夏に学士編入学試験に合格した青森県の弘前大学に進学しました。
眼科を選んだ理由や、眼科医としてのキャリアを教えてください。
人間の体のつくりを一から学べるのは面白くて仕方ありませんでした。楽しすぎて幸せすぎて、それまでの苦労が一気に消えましたね。手を動かすのが好きだったので、最初は外科も考えました。でも、僕は現役生と比較したら8年もブランクがあるので、先輩医師から外科よりも独り立ちに時間がかからないと聞いた眼科を選択することにしたんです。それから千葉に戻り、亀田総合病院に就職したのも入局当初から数多く手術を担当させてもらえたからです。一般的には10年はかかる症例数を4〜5年で経験しました。スタートの遅れを取り戻そうと選んだ多忙な日々でしたが、確かに技術が向上していくのも実感でき全然苦ではなかったですね。医師になってからはむしろ恵まれすぎなくらいでありがたいです。
この場所に開業したきっかけをお聞かせください。

幼稚園の頃から隣町の南柏で育ち、この辺りの山が切り開かれる前の景色もよく覚えています。地名の由来になったオオタカは見たことはありませんが、父が運転する車の前を横切るタヌキは何度も目撃していますね(笑)。そんな愛着のある場所で地域医療に貢献したかったというのももちろんありますが、母も高齢になってきて心配なので実家の近くで働きたいという思いもありました。妻は他業種の会社員でしたが、長らく勤めた会社を辞めて手伝うといってくれたのはうれしかったですね。事務全般をお願いしていて頼りにしています。視能訓練士、看護師、医療検査補助や受付のスタッフはみんな明るく、笑顔がすてきなんですよ。患者さんとの関係は「どうしましたか」という問いかけから始まるので、笑顔は大事です。患者さんが心を開き、本音を話してくれるようにみんなで力を合わせていきたいと思っています。
眼鏡処方から日帰り白内障手術まで幅広く対応
子どもの患者も多いと伺いました。

この辺りは今、子育てファミリーの移住が加速していて、少子化の時代にもかかわらず小学校も1学年10クラスあるようなマンモス校ばかりなんです。土日祝日も18時まで診療しているのですが、休日はお子さんが多いですね。近視のお子さんも多いので、眼鏡処方や近視に関する相談にも対応します。実は僕自身強度の近視ですが、自分が子どもの頃は近視治療がまだまだ発展途上でした。今は自由診療にはなりますが、寝ている間に装着して視力矯正を図るオルソケラトロジーなどがあって、今の子どもたちがうらやましいですね。成長期に近視が進みやすいので、エビデンスも含めて良い治療を紹介できたらと思います。また、3歳時健診で見過ごされることもある弱視・斜視の発見にも注力しています。もし手術が必要な場合は千葉県こども病院、井上眼科病院、東京慈恵会医科大学附属柏病院などを紹介しています。
日帰り白内障手術にも強みをお持ちです。
平日は50代以上の患者さんが多く、日帰り白内障手術を希望される方もいらっしゃいますね。亀田総合病院で軽症例から難症例まで数多くの経験を積んだ僕の得意分野でもあるので、地域に還元していけたらと思っています。白内障手術は目に局所麻酔をして行う10〜20分程度の手術で、日帰りで十分対応できます。安心して手術を受けていただけるよう、先進の手術装置も備えました。当院では、今後単焦点眼内レンズだけではなく、遠方と近方の両方にピントを合わせるための多焦点眼内レンズの取り扱いも検討しています。患者さんのライフスタイル、趣味などをしっかりとヒアリングさせていただきながら、適切なレンズを紹介していきたいと思っています。
診療にあたって大事にしていることは何ですか?

自分が病院にかかった時、医師があまり説明してくれなかったり、質問は受けつけないみたいな空気を出したりしていると、やはりとても不安になってしまいます。そういうのは嫌だなと昔から思っていて、患者さんに病態から治療までわかりやすくお伝えするのを大切にしてきました。眼球模型を使ったり、患者さんご自身の眼を大きなモニターに写して説明をしたり工夫をしています。目に関する情報をわかりやすく提供し、患者さんのお話にも注意深く耳を傾け、QOV(Quality of Vision)すなわち「視機能の質」をサポートしていきたいですね。例えば、90代で白内障手術を希望される場合などはリスクもありますが、できる限り意に沿えるような治療プランが提案できないか、患者さんと一緒に考えるようにしています。
おおたかの森に根を張り地域医療に末永く貢献したい
今後の展望についてお聞かせください。

医学の勉強に打ち込む日々はとても楽しかったのですが、それと同時に、学べば学ぶほど無力感も覚えました。解剖学では人体の精巧なつくりに感動もしましたが、いずれすべては失われる。どんなに尽力しても、人間は誰もがいつかは死んでしまう。医者といえども命の本質に対しては無力なんです。それでも、生きてる間の苦痛を和らげることはできますよね。だからこそ、これからも患者さん一人ひとりの人生を目の健康からサポートしていきたいです。子どもの患者さんが大人になって、また自分のお子さんを連れてきてくれるようになるまで、おおたかの森に根を張って、末永く地域医療に貢献していきたいですね。
お忙しい毎日ですが、唯一のお休みの水曜日はどうお過ごしですか?
病院のロゴマークのモチーフにもした愛犬の虎次郎と、散歩をしてドックカフェで読書をしながら過ごすことが多いです。1歳半の黒の豆柴でやんちゃ盛りです。たまには昼からビールの日もありますね(笑)。以前は妻と一緒に新大久保に韓国料理を食べに行ったりもしていましたね。2人とも韓国グルメが大好きなんです。僕は医学部時代に語学留学に行ったこともあるので、時間ができたら久しぶりに韓国にグルメ旅にいきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

目が痛い、見えない、乾くなどのお悩みがあったら、いつでもご相談ください。特に気になる症状がなくても「ただおしゃべりしたくなった」「ショッピングモールに来たついでに立ち寄った」というのでも構いません。そんな時にドライアイが見つかることも多々ありますからね。コンタクトレンズをご希望の場合も、当院ではさまざまな種類のコンタクトレンズを取り扱っていて、遠近両用コンタクトレンズなどもあります。目の健康を守るためには、何も問題がない時から定期的に検査していくのが大事です。「久しぶりに視力を測ってみたい」というだけでも、気軽にご来院いただければと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー/4万4000円~