河本 良輔 院長の独自取材記事
河本眼科クリニック
(枚方市/枚方市駅)
最終更新日:2023/06/15

2023年5月に開院した「河本眼科クリニック」は、枚方市駅東口から徒歩1分。エレベーターでビルの2階に上がると、待合室には広く取られた窓から光が差し込み、明るく開放的な雰囲気が心地良い。院長の河本良輔先生は、大阪や兵庫の病院で16年にわたって緑内障、白内障、網膜硝子体疾患を中心に診療経験を積んだ後、同院を開業。とりわけ緑内障については、専門的なチームに所属して難しい症例の治療にあたってきた経験を持ち、高い専門性を生かしながら「心に寄り添う温かな眼科治療」を理念に掲げて親身に患者に対応する。「診療に対する患者さんの満足度を高めたい」という河本院長に、同院の診療姿勢や力を入れている治療、地域医療にかける思いなどを語ってもらった。
(取材日2023年6月3日)
専門チームで難しい症例にも対応
先生が医師を志したきっかけを教えてください。

両親が眼科の医師で、幼い頃から身近で眼科の仕事に触れていた影響が大きいと思います。また、私が中学生の時に父が急病で亡くなり、子育てや家事をやっていた母が診療に復帰して、兄弟4人を育ててくれました。そんな母の姿を見ていて、私も早く医師になって母の手伝いをしたいという思いが強くなり、医学部への進学をめざしました。私は4人の兄弟の3番目で、すぐ上の兄は眼科の医師、下の妹は内科の医師として診療にあたっています。
どのような経験を積んできましたか。
初期臨床研修を終えてから、教授の勧めもあって大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)の眼科に入局しました。その医局を中心に、独立まで16年間にわたって大阪や兵庫の病院で緑内障や白内障、網膜硝子体疾患の治療をメインに診療に携わってきました。
大学病院に勤務していると、本当に多くの緑内障の方の手術を担当できました。ただ、患者さんがとても多く、一人ひとりの患者さんとしっかりとお話をしながら、きめ細かな診療を提供するのは難しい状態でした。そこで、開業すればもっと患者さんに寄り添った診療ができるのではないかと考えたのがきっかけです。
現在クリニックがある場所と深いご縁があると聞きました。

私自身も開業を考えるまでは知らなかったのですが、ここにはかつて母親の実家があり、祖母が産婦人科の診療所を開いていた場所なのです。母親が結婚する時に、実家のあった場所にビルを建て、祖父と祖母のイニシャルをビルの名前にしたそうです。開業場所を探していた時に、たまたまこの2階が空いていて、祖父母や母の思い出が残る地でクリニックを開くことができました。祖父母の思いをしっかり受け継いで、地域医療に貢献しなければと考えています。
クリニックの設計でこだわったポイントは?
これまで培った技術と知識を地域に還元するために、手術のできるクリニックにしたいと考えていました。ただ、オペ室を備えたクリニックにするためには、十分な広さがあるとはいえず、設計担当の方には無理をお願いしてスペースを配分してもらいました。患者さんが圧迫感を感じないように、上下のスペースを広めに取り、さらに、白と明るめのベージュを基調にして、空間的な広がりを感じていただけるように工夫しています。来院してくださる皆さんが、リラックスしていただければうれしいです。
高い専門性を生かした診療を心がける
特に力を入れている治療について教えてください。

勤務医時代は、緑内障、白内障、網膜硝子体疾患を中心に診療してきたので、この3つについては当院の診療の3本柱だと考えています。中でも緑内障については、大学病院で責任ある立場として治療にあたってきたので、これまで培ってきた技術や知識を生かせるような診療を心がけています。緑内障は40歳以上のおよそ20人に1人が発症するとされ、最近は公共広告などの影響で徐々に病気のことが知られるようになってきました。一般的には眼圧が高い人に多い病気ですが、日本人の場合は眼圧が正常範囲でも発症するケースが多く見られるので、気をつける必要があります。
どのような点に注意すべきですか。
日本人の失明原因の第1位の疾患ですが、早期に発見して治療を開始すれば、視力を失うリスクを少なくすることが望めます。しかし、はっきりとした自覚症状がないので、発見が遅れがちになってしまうのです。このため当院では、違う理由で受診された場合も、疑わしいと判断した場合は検査をするなどして、できるだけ早期に発見できるように努めています。また、病気を早く発見するためには、やはり検診が欠かせません。特に、ご両親やご兄弟に緑内障の方がおられる場合は、40歳を超えたら1年に1回を目安に定期的に検査を受けていただきたいですね。
治療はどのように進めるのですか。

基本的には眼圧を下げるための目薬を処方します。治療によって現時点よりも良くなることは期待できないので、定期的に検査を行いながら病気の進行をできるだけ抑え、生涯手術をすることなく過ごすことをめざします。当院の場合、目薬に対してアレルギーがある方や、さまざまな目薬を試しても合うものがないといった場合は、レーザーを使って眼圧を下げることを図る治療の提供も可能です。こうした治療で病気の進行を抑えるのが難しい場合は、手術を検討します。患者さんの不安が少しでも取り除けるよう、寄り添いながら一緒に進んでいきたいですね。
こちらでは網膜の病気も診ていただけるのですね。
当院で硝子体手術はしていませんが、勤務医時代に加齢黄斑変性症や黄斑上膜、黄斑円孔、網膜剥離などといった網膜硝子体疾患の治療をたくさん経験してきました。黄斑変性症の進行を抑えるための硝子体注射や、血管の詰まりが強い場合に施行するレーザー治療は当院で提供可能です。大きく視力が低下することもあるので、見え方がおかしい、歪んで見えるといった場合は、すぐに受診することをおすすめします。動脈硬化や不整脈、糖尿病や高血圧、高脂血症があると網膜の血管が詰まりやすいので、注意が必要です。また、糖尿病網膜症のレーザー治療にも対応しているので、内科のクリニックと提携して患者さんを支えられればと思っています。
「心に寄り添う温かな眼科治療」をモットーに
患者さんと接する際にどんなことを心がけていますか。

その患者さんが抱えておられる症状や悩みを、できる限り取り除いてあげることを大切にしています。どうすれば満足度をより高めることができるのか、スタッフ一同で考えながら、当院の基本理念の「心に寄り添う温かな眼科治療」の提供をめざしています。診療の際は、患者さんのお話を丁寧に伺って、どのような症状や悩みを抱えておられ、どのような治療を希望しておられるのかを理解するように努めています。緑内障や白内障の日帰り手術にも対応していますので、現在のところはこうした疾患の治療のために来院される患者さんが比較的多く、コンタクトレンズのトラブルで充血する、痛みがあるといった症状で来院される方も少なくありません。
今後の展望をお聞かせください。
開院したばかりなので、まずは地域の方々に当院の診療の特色や強みなどを知っていただき、かかりつけとして通っていただけるクリニックをめざしたいと考えています。緑内障、白内障、網膜硝子体疾患については、自信を持って診療にあたらせていただくのはもちろん、地域のクリニックとして、幅広い悩みにお応えしていきたいと思います。より専門的な検査や治療が必要な場合は、適した医療機関にご紹介いたします。また、今後はお子さんの近視について手術を伴わない視力矯正治療などの導入も検討しています。
地域の方や読者にメッセージをお願いします。

目について気になる症状や悩んでおられることがあるなら、どうぞお気軽にご相談ください。緑内障、白内障、網膜硝子体疾患については、専門性の高い診療を提供いたします。また近視やコンタクトレンズのご相談、お子さんの目の発達など、 幅広いケースに対応させていただき、必要な場合は病院や他の診療科にスムーズにつなげます。多くの病気は、早期発見、早期治療が大切です。気になることが少しでもあったら、何でも相談できる地域のクリニックとして当院をぜひご活用ください。