新井 学 院長の独自取材記事
あらい泌尿器科
(川口市/東川口駅)
最終更新日:2024/12/13

東川口駅から徒歩1分という好立地にある「あらい泌尿器科」。大学病院や総合病院の泌尿器科で、泌尿器がんを専門に高度医療の研鑽を積んだ新井学(あらい・がく)院長が、2023年7月に開院したクリニックだ。泌尿器全般のトラブル、排尿障害、尿路結石など対象となる疾患は数多く、中でも前立腺がんの治療を得意としている。他にも男性更年期障害、自由診療のEDやAGAなど、身近な悩みでありながら相談先に迷う疾患やブライダルチェックにも対応。来院しやすい優しく温かな雰囲気を心がけ、丁寧な地域医療をめざし日々の診療に取り組んでいる。おおらかで懐の深さを感じさせる対応で安心感を与えてくれる新井院長に、クリニックの特徴や泌尿器科診療について話を聞いた。
(取材日2024年9月24日)
「優しく丁寧に」をモットーに泌尿器疾患の治療に対応
こちらではどのような疾患に対応されているのですか?

泌尿器一般、泌尿器がん、排尿障害、女性泌尿器、尿路結石とさまざまです。泌尿器科の中でも私が前立腺がんを専門にしてきたからか、前立腺がんの症例相談が多いのは、当院の特徴といえますね。加えて、だんだん増えているのが、排尿障害、頻尿、尿失禁などでお悩みの方です。これら大半の症例は、月1回の注射と飲み薬を処方するホルモン療法で対処します。近年は、排尿障害でも投薬で改善が期待できますので、治療さえすれば質のいい生活もめざせます。例えば、寝ているときに何度もおしっこで起きてしまうと、ぐっすりと眠れず、睡眠負債を抱えてしまいやすくなる。これは結局、泌尿器だけの問題ではなく、体の健康全体に影響を及ぼす不調であるといえます。ですから、気になることがあればどんな症例でもまずは診療を受けていただきたいですね。
どのような年齢層や主訴の方がいらっしゃるのですか?
小児から高齢者まで幅広く診ています。本格的な小児の病気は診ていませんが、正確な診断と緊急手術を必要とする精巣の捻転と夜尿症には対応しています。夜尿症の場合、当院では薬物療法やアラームを使ったトレーニングなどを行い、薬の使用を躊躇するようなケースは、前職の獨協医科大学埼玉医療センターの小児泌尿器科に紹介しています。また、当院には性行為感染症の方、特に女性の方が多くいらっしゃいます。川口市は日本で一番外国人の住民比率が高い街なので、中国人やトルコ人、クルド人の方もいらっしゃっていますね。それから、当院ではブライダルチェックも行っていて、採血や性行為感染症の検査の他、超音波で腎臓や膀胱、前立腺、精巣なども含めてチェックしています。
診療で大事にされていることは?

「患者さんには優しく丁寧に」をモットーにしています。しっかりと時間を取って患者さんの話を聞き、今取り組んでいる治療は何を目的にしているのか、薬を2種類出していたら、それぞれがどういう作用をするのかなどをかみ砕いて説明します。患者さんに十分理解していただくと、納得してお薬を飲んでくださいますから、わかりやすく説明することはとても重要です。また、当院では、病気を見逃さないよう、毎回尿検査をお願いしています。検査を受けていただくからこそ、主訴にはない症状も探り、例えば血が混じっていたら超音波検査を行い、膀胱鏡を使ったチェックも勧めます。特に男性は、必ず1回はPSA検査を受けていただきますので、前立腺がんの早期発見にもつながると思います。
気心の知れた旧知のスタッフとともに地域医療に貢献
泌尿器専門の医師となったきっかけを教えてください。

最初に医学に興味を持ったのは高校生の時でした。ただ、臨床ではなく遺伝子の研究に興味がありました。当時免疫遺伝学で世界をリードしていた2人の研究者が学部は異なるものの京都大学出身者だったので迷わず京都大学理学部を受験しました。しかし理学部で学ぶような純粋なサイエンスではなく、より医学に応用できる道を探りたいと考え、医学部出身者である本庶佑先生に手紙を書き、ご助言をいただきました。若さゆえのずいぶん思いきった行動でしたが、本庶先生から真摯なお返事をいただき、医学に興味があるならすぐに医学部で学べと叱咤激励され、医学部を再受験しました。泌尿器科を志したのは、学生時代に家族が泌尿器系の疾患を患ったからです。折しもPSA検査の普及により、国内で泌尿器患者数が急激に増えた時代です。各大学でどのような生検が理想的なのかを模索している、いわば黎明期でしたので、前立腺がんの診療に興味を持つようになりました。
その後、地域医療に活躍の場を移されたのですね。
大学病院や市民病院に勤めていた頃、外来診療だけでなく手術もかなり行っていました。しかし、体調の変化を感じ細かい作業が必要となる手術を継続するよりも、外来に絞るほうが患者さんに貢献できる幅が広がると考えるようになりました。外来に特化するならば、自分が理想とする診療をより高精度に実現させたいと考え、クリニックとして開業。獨協医科大学埼玉医療センターで診療していた患者さんが継続的に来院しやすいよう東川口を開業地に選びました。
通いやすさへの工夫を教えてください。

患者さんに対して温かい良い雰囲気のクリニックでありたいので、院内のデザインやロゴにもこだわりました。また、当院のスタッフは、ほとんどがもともと一緒に働いていた仲間なので気心が知れていることもあり、「患者さんに優しく丁寧に接する」を徹底してもらっています。われわれとコミュニケーションを取って温かい気持ちでお帰りいただける場所であることはもちろん、「病気が良くなる場所」であるというイメージを持って、日々診療をしています。診療をきちんとすることは当たり前の話です。それに加えて、患者さんへの温かい対応だけは守っていきたいですね。
気になる症状を年齢のせいだと諦めず気軽に受診を
先生は精神腫瘍学についても学ばれているそうですね。

開業以前から、埼玉医科大学国際医療センター・精神腫瘍科の教授のもとに通い、精神腫瘍学(サイコオンコロジー)を学びました。精神腫瘍学とはがん領域の精神科の専門研究分野。告知や、告知後のメンタルケア、あるいは家族へのケアなどを深く追求する学問です。実は、一番興味があったのは遺族のケアを行う外来なんです。患者さんが亡くなった時、一番サポートが必要な状況の遺族が突然放り出されてしまう。そんな遺族に対して手を差し伸べることに早くから取り組んでいたのが埼玉医科大学国際医療センターでした。そこでいろいろ学んだからこそ、患者さんの話を聞いて、ちゃんとサポートしたいという気持ちは誰よりも強いと自負しています。どんなかたちであれ希望を持って穏やかな気持ちであることができ、患者さん自身が納得できるような生き方をしていただくのが私のめざす診療のかたちです。
今後の展望についてお聞かせください。
今後は、すでに準備が整っているオンライン診療を始めていく予定です。どうしても都合がつかない方や、泌尿器科の扉を入ることに抵抗がある方、そういう患者さんにも門戸を開けるようにしたいですね。もう一つは自由診療です。例えば、今対応しているAGAは頭髪の症状ですから皮膚科の領域ですが、結局は男性ホルモンが関連しています。男性ホルモンを扱う診療科なので、AGAの患者さんがいらした時には男性ホルモンを測ったり、採血やいろいろな受容体を調べたりすることができ、薬の作用の予測などにも取り組んでいきたいと思っています。また、ご希望があればマーカーを使ったがんのスクリーニングも進めていきたいですね。泌尿器科の分野では男性更年期障害はまだマイナーで、治療法も確立していません。ホルモン補充や漢方、精神科に関係する薬などの必要性も念頭に、さらに経験を積んでいきたいと思います。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

当院には、ミニマムですが診療に必要なものがそろっています。CTやMRI検査に関しては、対応してくれる近隣の病院と提携しており、できるだけ早く検査できるよう連携しているので、ご不安もスピードを持って解消していけると考えています。がん治療に関しては、長期にわたり私がその世界にいましたので、ネットワークが充実しています。紹介もできるので、安心していただきたいですね。尿失禁や排尿障害などが良くならず、年齢のせいだと諦めている人も、今は、いろいろな良い治療の選択肢があるので、決して諦めずに一度は泌尿器科に来て治療を受けてみてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはED治療/7000円~、AGA治療/9000円~、ブライダルチェック/3万5000円