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上原 正弘 院長の独自取材記事

うえはら訪問診療所

(生駒市/南生駒駅)

最終更新日:2024/11/14

上原正弘院長 うえはら訪問診療所 main

近鉄生駒線・南生駒駅から徒歩5分に2022年開院した「うえはら訪問診療所」。院長の上原正弘先生は救急科に勤務し、緊急搬送される数多くの患者対応を経験。その中でケガや病気は治療できても、入院によって筋力低下や認知症が進行し、思うような結果に結びつかない人を目の当たりにしてきた。そこで「入院せずとも、その人にとって豊かな生活を送れるようにサポートしたい」と、訪問診療に特化したクリニックをオープン。同院では定期的な訪問診療に加え、24時間365日体制での緊急時の往診にも対応。また日本内科学会総合内科専門医として全身から総合的に診療することを重視し、患者とその家族を手厚くサポートしている。「患者さんやご家族に寄り添いながら、二人三脚で歩んでいきたい」と熱く語る上原院長にたっぷり話を聞いた。

(取材日2024年10月17日)

訪問診療に特化したクリニックをオープン

訪問診療を専門としているそうですが、こちらのクリニックについて教えてください。

上原正弘院長 うえはら訪問診療所1

当院では患者さんのご自宅に定期的に訪問し、お体のチェックや定期検査、お薬の処方など、健康管理のお手伝いをさせていただいています。また万が一の場合に備えて、近隣の訪問看護ステーションと連携して24時間体制で臨時の往診にも対応しています。患者さんはさまざまで、難病や末期のがん、脳卒中の後遺症などで病院での治療が難しくなった方、骨折などにより歩行困難な方、酸素や人工呼吸器などの医療機器を使用されていて常に看護が必要な方など、いらっしゃいます。これだけ聞くと、訪問診療を受けたいけれどハードルが高いように思う方もいらっしゃるでしょうが、基本的にはお一人での通院困難な方は皆さん対象となります。「通院が大変になってきた」と思われたら、一度ご相談いただければと思います。

訪問診療専門のクリニックを開業しようと思った経緯について教えてください。

臓器別の診療が多い中で、私がなりたかったのは「なんでも診れるお医者さん」でした。「目の前で人が倒れたら、助けられる人になりたい」と思ったのが、医師の道に進んだ理由でしたので、初めはなんでも診療する救急科を希望しました。救急科でたくさんの人を診ていると、手術や集中治療により一時的にはケガや病気は回復を図れたものの、入院によって環境が変わってしまい、認知症が進行したり、嚥下や運動機能が低下したりと、ご本人が思っているような結果にならない方たくさん見てきました。在宅医療で迅速に対応することの大切さを感じて、「では自分がその役目を担おう」と訪問診療を専門としたクリニックをオープンしたのです。

医師として、訪問診療のやりがいを聞かせてください。

上原正弘院長 うえはら訪問診療所2

患者さんの人生に寄り添えるところでしょうか。大きな病院で診療していると、患者さんの命に関わるような決断をする時もあるのですが、それがその時突然運ばれてきた初めてお会いする患者さんということも少なくありません。一方で訪問診療では、患者さんと何年ものお付き合いになることもあり、お悩みをじっくり聞いて、診療方針を決めていくことが多いです。長い年月の中で患者さんが病気に立ち向かっている姿やご家族が支えている状況を見て、どういった診療を望んでいるのかも自然と理解できてくるものです。最後までできる限りの医療提供を受けたい人もいれば、ゆっくりと看取られたい方もいらっしゃいます。患者さんご本人やご家族さんの思いに沿った医療提供できて、納得いただけたと思えるのは、訪問診療をしているからこそだといえます。

総合的に診療することを大切に、患者と向き合う

これまでのご経歴についても教えてください。

上原正弘院長 うえはら訪問診療所3

京都府立医科大学を卒業後は、京都第一赤十字病院で初期研修を受けました。その後、沖縄の浦添総合病院の救急総合診療科にて勤務し、救急総合診療やドクターヘリ医療に従事しました。忙しいながらもさまざまな病気やケガを診療し、医師としての経験を多く積むことができました。その後は腎臓を専門として基幹病院の総合内科診療に長く携わりました。腎臓疾患を追究する中で、2020年12月には京都府立医科大学循環器腎臓内科にて腎臓内科を専門に学び、学位取得もしました。いずれは訪問診療専門のクリニックを立ち上げたいと思っていましたので、在宅を行っているクリニックで2年ほど勉強し、2022年にクリニック開業に至りました。

これまでのキャリアが現在の訪問診療に生きていると思うのはどういった部分でしょうか?

患者さんの全身を総合的に診るようにしているところでしょうか。これは沖縄の病院で得たことなのですが、沖縄はもともと総合診療の文化が根強い地域なんです。例えば爪の状態を診て病気を診断したり、呼吸の仕方から循環器の疾患を発見したりと、不調のある臓器だけを診るのではなく、全身を診て診断する文化が根づいていました。沖縄の医師たちは診療科に関わらず、みんな内科的バックグラウンドを持った上で、それぞれの専門領域を診断していましたね。その時の経験から、私も不調のある臓器に捉われることなく全身から総合的に診たり、複数疾患のある患者さんの場合には横断的に診療したりということを大切にしています。

患者さんのご自宅に訪問する際は、どんなことに気をつけていますか?

上原正弘院長 うえはら訪問診療所4

始めての訪問は、「どんな先生が来るだろう」「安心できる人かな」と心配されている方がほとんどでしょう。ですから、まずはしっかりとお話を聞いて、患者さんに寄り添うということを大切にしています。その中で「今後どういった診療をしていきたいのか」「何を望まれているのか」などをお聞きしていきます。もちろんご家族のご意見も大切ですからご希望を伺うほか、訪問診療は多職種によるチーム医療が必要不可欠ですので、ケアマネジャーさん、訪問看護ステーションのスタッフさんなども、ご参加いただける限りは同席をお願いして、みんなで診療の方向性や目線をそろえることをめざしています。

訪問診療を諦めず、まずは相談を

訪問診療ではスタッフの存在も重要だそうですが、こちらのスタッフさんについてもお聞かせください。

上原正弘院長 うえはら訪問診療所5

うちのスタッフは、朗らかな人が多いんですよ。初めて会う患者さんも安心されますね。訪問診療において、患者さんの情報共有は大事なことですから、全スタッフと毎朝1回必ずミーティングを行っています。それ以外にも、患者さんのご自宅を訪問した帰りの車の中で、「患者さんのお尻が少し赤くなっていたね」「ご家族の方が少し疲れた様子だったね」などの訪問後の報告や感想も欠かしません。医師の私の目線と、スタッフの目線では見える患者さんやご家族の様子も違うもの。細かなところにまで目が届くのはさすがだなと感心させられますし、また何かあったらすぐにその場で伝え合えるのは、少数精鋭でやっているクリニックの良さだと思います。

実際に訪問診療を利用する場合の申し込みの流れなどについて教えてください。

訪問診療の費用は月に2回の訪問を行って、診療代とほかにお薬代やクリニックスタッフの交通費がいくらかかかってきます。訪問診療自体は決して安いとは言えませんが、通院にタクシーを使うと考えると、訪問診療のほうが安く済む人もいるでしょうし、費用よりも往診にも対応してくれるかかりつけ医を持つことで安心感を得たいという人もいます。また訪問診療は高額療養費制度の対象ですので、うまくご利用されるといいですね。申し込みはさまざまな方法がありますが、通院しているかかりつけの先生やケアマネジャーさんにご相談されるか、行政の窓口にお尋ねください。そこから紹介で訪問診療をしている医師へつなげてくれます。もちろんわからない場合には当院にお電話くださればご相談に応じます。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

上原正弘院長 うえはら訪問診療所6

人間誰しも平等に、1年ごとに歳を取ります。ある程度高齢になってくると「自分の体なのに思うとおりに動かない」「病院に行けない」という時が訪れます。そして、その時大半の方は慌てるものです。「どうしたらいいかわからない」と悩んだ時には、ぜひ訪問診療を専門としているところに相談してください。一人で悩んだり、家族だけで悩んだり、自分の中で諦めてしまったりせずに、誰かに相談することが大切です。私たちはいつでも少しでも皆さんのお力になれればと思っています。病気や症状は、十人十色で、みんなそれぞれ状況は違うと思いますが、だからこそ一人ひとりにとって良い回答を追求してご相談に応じていきたいと思っています。

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