三宅 隆太 院長の独自取材記事
寒川こどもとアレルギーのクリニック
(高座郡寒川町/寒川駅)
最終更新日:2023/09/29
JR相模線寒川駅徒歩6分の場所に2023年4月に開院した「寒川こどもとアレルギーのクリニック」。院長の三宅隆太先生は総合病院で15年間、アレルギーを専門分野とする小児科医として診療にあたってきた。「薬を出して終わりではなく、今起きている症状について、きちんと説明をして安心してもらうことが最も大切」という考えのもと、小児科とアレルギー科を標榜。院内は感染症対策とプライバシーへの配慮から5つのブースに分けた診察室を院長自身が移動。オンライン診療や会計のIT化も積極的に導入している。できるだけストレスフリーかつ、じっくり丁寧な診療をめざす三宅院長に話を聞いた。
(取材日2023年7月27日)
不安を少しでも減らし、安心してもらえるように
この寒川の地に開院したのは何か理由があるのでしょうか?
神奈川県内の川崎出身で、大船や茅ヶ崎の病院に勤務していたので、その近隣で自分が考える医療を実現するのに適した場所という点で選びました。この辺りは人口比で小児科の数が少ないエリアです。地域インフラとして子育て世代の人たちに「小児科があるし、子育てにも安心」と思ってもらいたいなと。私が専門としてきたアレルギーに関しても、この辺りは専門的に診ているところが少なかったのも理由です。アレルギーは長く付き合っていく必要があります。小児科だけではなくアレルギーのかかりつけ医として、子どもの時から大人になっても長く経過を診ていけるように、小児科とアレルギー科を融合する形で地域の方々の健康をサポートしたいと開院を決めました。
小児科の診療をされる上で、先生が心がけていらっしゃることは何でしょうか。
クリニックを受診されるお子さんの病気の多くは、子どもたち自身の免疫力などで自然に治る病気ばかりです。もちろん、中には重症の子もいるので、そのようなお子さんを見逃さず大きな病院へ迅速に引き継ぎをすることが最も大切なかかりつけ医としての役割といえます。しかし、私がそれと同じくらい大切にしたいことは安心してもらうことです。大切なお子さんが熱を出したり、咳で眠れなければ不安になります。こういった不安な気持ちを解消できればと思っています。お薬はなるべく必要な薬しか出さないように心がけています。風邪に効果が期待できる薬はほとんどありませんし、どんな薬でも必ず副作用が存在するからです。せっかく診察を受けても「薬なし」では不快に感じるかもしれませんが、薬が不要な理由はもちろんお話しさせてもらいます。丁寧な説明がお薬の代わりになればいいなと思っています。受診された方に笑顔になっていただきたいです。
小児科とともにアレルギーを専門にされたきっかけはありますか。
私自身、子どもの頃に卵アレルギーやアトピー性皮膚炎があり、大人になって気管支喘息になったということもあって、身近な疾患でした。アレルギーは診断がしっかりされていないことも多いので、まずは適切な診断をすることを心がけ、一人ひとりのニーズに合わせて、その方が求めるゴールをちゃんと確認しながら、適切に治療を構築するようにしています。今は新型コロナウイルスなどの感染症が流行しており、そちらの診療で忙しい状態ですが、アレルギーの診療も並行して力を入れていきたいと思っています。
感染症対策とプライバシー配慮。心の相談専門の外来も
診療室が5つもありますが、どのように利用しているのでしょうか。
部屋を5つに分けたのはいくつかの理由があります。まず第一は感染症対策です。同じ空間で長時間待たないで済むようにと以前から考えていた手法でした。次にプライバシーの観点です。現在週1回、非常勤の弘中文代先生にお願いして不登校などの子どもの心の相談専門の外来をしていますがそういった場面にも有効だと考えています。また、将来的には食物アレルギーに対する経口負荷試験なども実施予定のため診察室の1つを経口負荷試験専用として運用したいと思っています。ですが、当初は待合室をほとんど使わないで済むかと思っていたものの、ありがたいことに患者さんが増えてきて、診察室の外で待たせてしまうことも多くなってしまいました。皆さんにご迷惑をおかけしないで済むように、もう少し効率を良くして待ち時間を減らしていけたらと考えています。
週に1回の「心の相談」の外来では、どのような診療を行っているのですか。
「朝起きられない」「学校に行けない」「気になる行動がある」などに対して、カウンセリングと必要に応じて投薬・漢方治療なども行っています。私自身は専門ではないのですが、専門の弘中先生とは、そういう子にとって近くで誰かが味方でいてくれるというのが重要となるのでクリニックでサポートしていこうと話しています。すぐには解決しなくても、そばにいて話を聞いてくれる人となって寄り添うことが大切なのだと思っています。不登校の子から相談を受けたとしても、目的は学校に戻すことではなくて、その子が幸せに過ごすことだと考えています。親御さんにも自分の家庭だけで抱え込まずに、相談できるところがあると思っていただけたらいいですね。弘中先生はとても優しくて頼りになる先生です。お悩みの方は家庭内で抱え込まずお気軽に相談してほしいですね。
新規開院ということで特徴的な医療機器は導入されていますか?
気管支喘息が疑われるときには呼気中一酸化窒素測定器やスパイロメーターという特殊な機械を使います。これらの機械を用いることで気管支喘息の診断や重症度の評価が客観的に可能となり適切な治療につながります。聴診だけだと落ち着いているときには何もわからないことも少なくないのでとても有用な検査だと思います。年齢にもよりますが学童〜大人まで長引く咳や気管支喘息の疑いがあるときにはご相談いただきたいですね。また自分がどんな物にアレルギー反応を起こすか気になる方には、数滴の血液で41種類のアレルゲンが検査可能な機械を導入しています。導入するクリニックも増えましたが、検査結果を詳しく説明してもらわなかったと聞くことも少なくありません。検査をしたからには責任を持って詳しく結果説明をしますのでアレルギーでお困りの方には安心して相談してもらいたいです。
IT化にも取り組み、ストレスフリーな診療をめざす
オンライン診療も積極的に取り入れているそうですね。
アレルギーの診療は長期間同じ薬を処方し続けることが多く定期的に来院していただく必要があります。感染症が多い時期では来院することのリスクもあるので、オンライン診療はアレルギーの患者さんを対象に始めましたが、今では軽い風邪症状の方への初期対応にも活用しています。私はオンライン診療が一番向いているのは、小児科だと思っています。今のお母さんたちはデジタルネイティブ世代で、オンライン診療への抵抗は少ないので。診察後は処方箋をファクスして、買い物ついでにドラッグストアで薬をもらう、という流れが非常にスムーズにできます。ただ、オンライン診療が適切かどうかの見極めには経験が必要です。画面越しに大丈夫と判断できない場合は、必ず来てもらうようにしています。何でもオンラインでできるわけではないことは肝に銘じておく必要があると考えています。
患者さんがリラックスして過ごせるよう配慮していることはありますか。
院内のインテリアは“シンプルに”ということです。「シンプルにしすぎちゃったかな?」とも思っていたのですが、お子さんによってはいろいろなものに目が行ってしまうので「院内がシンプルで良い」と言っていただけることもあり、結果的に良かったなと思っています。スタッフには患者さんは不安を抱えて受診しているわけですから笑顔で対応することを意識してもらっています。またお子さんが泣いていたり保護者が困っている時にちょっと声がけをしてもらったり。みんな本当に丁寧に対応してくれていて、患者さんからもお褒めの言葉を頂く自慢のスタッフです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
感染症の流行状況などによっては待ち時間が長くなってしまうこともあるのですが、それでも丁寧な診察を心がけ、お薬も一人ひとりに合わせて考えて十分な説明をします。安心していただける医療の提供に努めることで、寒川を子育てしやすい街にしていきたいと思っています。アレルギーについては、大人の患者さんでも、軽い肌荒れや「気管支喘息かな?」と気になる長引く咳など、気軽に相談していただけるとうれしいです。お父さんお母さんの風邪などにも対応しておりますので、お困りのことがあれば、どうぞご相談ください。