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工藤千秋 院長の独自取材記事

くどうちあき脳神経外科クリニック

(大田区/大森駅)

最終更新日:2019/08/28

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JR大森駅と京浜急行大森海岸駅とのほぼ中間に位置する「くどうちあき脳神経外科クリニック」は、2001年に開業し2007年にリニューアルして現在の場所に移転してきた。ビルの1階から4階まで、検査室やセラピールーム、またデイケアまで併設していて、2階の広々とした待合室に入ると、ゆったりとするアロマの香りが立ちこめ、窓ガラスにはウォーターカーテンが設置されている。院長の工藤千秋先生が診察を行う第一診察室の天井には、青空とエンゼルが描かれていて、見上げただけで元気がチャージされていくようだ。他にもCT室の天井は、検査時にはまるでプラネタリウムのように星空が広がり流れ星が流れる。閉所恐怖症の患者さんでも苦痛がないようにと設置されたオープン型のMRIは、独自のメガネをかけて広々とした森や景色の映像を見ながら検査が受けられる。「クリニックのすべてが患者さんにとっての癒しの場になってほしいのです」とにこやかに話す工藤先生。五感に響く治療の数々を先生にじっくりとお聞きした。
(取材日2014年6月14日)

患者の心に手を当てることこそ、医師が最も必要をする人間力である

クリニックの作りでこだわった部分は何ですか?

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クリニック全体を「癒しの森」というコンセプトにしたかったので、オレンジとイエローとグリーンというベースカラーを3色使用しています。これは僕が海外に5年ほどいた時に見た景色の色で、グリーンとオレンジは木々の実やそこからあふれるエネルギーを、そして明るい光のイエローの中に木々の緑があるというイメージでクリニック全体を統一して作っています。待合室の窓のウォーターカーテンも、森の中の小川や滝を表していて、流れている水は浄化やよどみを取る作用があります。また森の中には生き物がいるわけで、それがスタッフであり僕なわけです。患者さんが森の中に入って出て行くときは、つらい病状が例えゼロにはならなくても、エネルギーがチャージされて元気になって帰られるといいなと思っています。クリニックは部屋ごとに違う香りのアロマやお香を焚いて、待合室にはハーブティーも用意しています。ですからコンセプトは見る、聞く、香る、触る、味わうといった五感に訴える医療なのです。

先生の治療はとても人間味にあふれていますね。

待合室の壁に描かれているフレスコ画は、患者さんのご家族の画家に描いてもらいました。この絵も癒しの森と一体となっていて、絵の中で母親が子どもを撫でているでしょ? これが「癒し」「手当て」というもので医療の原点なわけです。医療者としてもう一つ大事なことは、患者さんの心に手を当ててあげることであり、これが現代の医療に欠乏している部分ではないかと思います。あるときは叱咤激励して、あるときは優しく言う、それこそが人間味であり、医師が必要としている人間力ではないでしょうか。手を当てるということは、治療する側が人間力と患者さんを心から診る「眼力」がないといけません。患者さんはまさにそれを求めて来られるのではないかと思いますし、僕たちもこういった気持ちはいつまでも持ち続けなければいけないと思います。医学には医の知識、医の技術、そして医の度量があり、医学部で学べるのは最初の知識だけです。技術は医師として独り立ちしたときにスキルとして学べます。けれども3つ目の医の度量は、医師が一生かけて考えていかなくてはならないものであり、自分自身に課せられた宿題のようなものなのです。

充実した設備を揃えていらっしゃるそうですね。

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日本ではまだ風邪を引いても大学病院に行かれる方がいらっしゃいます。そうすると大事な検査を必要とされる方も含めて長時間待たされ、MRIが1ヵ月待ちになるなど、これではタイムリーな検査ができないばかりか、もし命に関わる病気だったらたいへんなことです。ですから僕が開業したコンセプトは「医療の水先案内人」でありたいと思ったわけです。患者さんに病気があった場合、どんな病気なのかどんな治療が必要なのかを早く見極め、必要があればその疾患の専門家に誘導していく、そのときにミスジャッジがあってはいけませんから、しっかりと性能を持ったナビゲーションとなる器械を揃えたのです。脳神経外科としてスタートして、どんな設備が必要かと考えたときに、やはり今の時代にCTだけではなく、MRIも絶対に必要だと思いました。その他に脳波計や、脳の血の巡りを診る光トポグラフィー、それ以外にもエコー検査や心電図、レントゲンなど、大学病院に引けを取らない設備を揃えていますので、大学病院に行かなくてもここで同じように検査ができるわけです。

クリニックに一歩足を踏み入れた時から治療が始まっている

診察室落ち着いた作りになっていますね。

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診察室をカーテンで仕切っているだけで、話が丸聞こえだったり、ドクターの後ろにナースが控えていたりしたら、プライベートな話なんてできないですよね。ですからクリニックの診察室は、落ち着いた色調にして完全個室にしました。ドアを閉めてしまうと、中の声は外には聞こえませんしナースも入りません。僕と1対1になりますから、落ち着いてゆっくりと話ができます。診察室の天井は、青空の中にエンゼルが描かれていて、うつむいている患者さんに、上を見てご覧なさいと言うと、ご高齢の方も若い方も皆さん涙をボロボロと流されます。生きているということと死ぬということ、そして医療ということが全部一体となった中で、患者さんと僕が1対1となってお話をすること自体が治療ではないかと思うのです。

なぜセラピールームを作られたのですか?

世の中にはアロマセラピーやリフレクソロジーといった、さまざまなセラピーがありますが、そういったものの良い部分を用いて、患者さんやそのご家族を癒すことができたらいいなと思って作りました。「医療を補完する」と言うのですが、西洋医学では補えない、自然治癒力を高めるあらゆる療法を投入していこうというのが、セラピールームの概念なのです。街中にあるサロンと我々のセラピールームの一番の違いは、街中のサロンは病気の方は施術が受けられませんが、クリニックのサロンは、患者さんのご家族の方はもちろん、サロンとクリニックが連携をして、心身に病気がある方にも積極的に施術を行っています。しかも完全個室ですから安心です。クリニックでは漢方も取り入れていますが、僕の考えは、西洋医学も東洋医学も補完療法もすべて横一線なのです。例えば手術をしたらその後のフォローアップをしなければなりません。そのために必要なセラピーはすべて行うべきで、そうなってくると3つとも同等なのです。

患者さんと接するときに心がけていることはありますか?

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患者さんに対して、医の知識、医の技術だけのいわゆる型通りの冷たい言葉ではなく、3つ目の度量が言葉として発揮できるように心がけています。それには何かを読んだり、感じたり、出会ったりを通して得たものが必要になってくると思います。診察中にパソコンの画面ばかりを見て「変わりないですか?」と聞くのではなく「今日は顔色がいいですね」とか「カルテにはこう書いてあるけれど、今日のあなたはこういう風に違いますね」というように、一つ一つを具体的にして、患者さんの目を見て話すようにしています。水先案内人を自称していればしているほど、患者さんやご家族に対しても、目を合わせて話すということは絶対に大事だと思います。

病気だけでなく、その向こう側にいる家族の悩みも受け止める必要を感じた

先生はなぜ医師になろうと思われたのですか?

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幼稚園に入る前の頃に風邪をひいて、母がすぐ近くの内科・小児科の先生に連れて行ってくれたのですが、その先生が犬を飼っているとても優しい先生で、しかも白衣が似合っていてすごく格好良かったのです。それがきっかけで、幼稚園や小学校の文集でも「大きくなったらお医者さんになりたい」と書いていたくらいです。あの先生の白衣姿の格好良さは、今も覚えていますね。しかもその先生の所へ行くと、当時の看護婦さんたちが「僕、今日は元気?」なんて頭を撫でてくれて、お腹が痛くて行ったのに帰って来たら元気になってしまって、風邪も引いていないのに母に先生の所に連れていってくれとせがんだらしいのです。そのときの病院に行っただけで元気になってしまうイメージが、僕の医の原点だと思います。

なぜ脳神経外科を選んだのですか?

当時は大学を卒業するときに専門を決めなければいけない時代で、僕は脳というものにたいへん興味がありました。人間を支配しているコンピューターであり、神の存在だとか心の存在だとかいうものは、きっと脳の中のどこかにあるに違いないと思ったのです。しかも実際にその脳を自分の目で見ることができるのは、脳外科の医師だけです。その他の医師はMRIなどの画像を通して見ることはできても、実際に見ることはできないわけです。ですから自分の目で、脳に遭遇してみたいと思ったのがきっかけですね。

開業しようと思われたきっかけは何ですか?

開業する前に東京労災病院で脳外科の専門医として、患者さんの手術を次々にこなしていたのですが、手術が終わって外来や病棟で、患者さんやそのご家族と顔を会わせていると、我々は手術をする外科医師として患者さんを診ていたはずなのに、いつのまにか患者さんを含めたご家族全員の、ストレスだったり悩みだったりという、バックグラウンドを診る必要性をすごく感じたわけです。僕は外科医でしたから、手術をすればそれで終わりでよかったのかもしれませんが、患者さんを取り巻く方々からいろいろと相談を受けると、どうしても放っておけず「よろず相談外科医」になってしまったわけです。ちょうどその頃は僕が留学から帰って来た時期で、留学先で学んだパーキンソン病の外科的治療を、積極的に取り入れたいと考えていたのですが、日本では制約が多く実現ができませんでした。だったら患者さんや周りのご家族の方々を診ることができる、開業医になりたいと思ったのが一番の動機です。大学病院や総合病院がすべてじゃない、自分がめざす理想の医学が一歩でも実現できたらと思ったわけです。

休日はどのように過ごされているのでしょうか?

寝ているだけですね(笑)。父が剣道の町道場をやっていたので、小さい頃からいや応なしに剣道をやらされて、小学校から、中学校、高校、大学まで剣道部でした。卒業して医師になっても、町の警察の剣道部の人たちとよく練習していたのですが、最近忙しくなり過ぎてしまって、ぜんぜんやっていません(笑)。

最後に将来の展望をお聞かせください。

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僕はずっと脳神経外科を専門としていますが、今はどちらかというと認知症の治療にウエイトを置いています。若い頃は輝いていた脳が、だんだんと輝きを失っていっても、脳の働きを保っていけるようにお手伝いをするのが認知症の治療なのです。今は60歳以上の10人に1人が認知症と言われています。今後はクリニックを含む地域全体の、認知症としての水先案内人が必要なのではないかと考えていますし、そういったシステム作りができたらと思っています。そして地元にしっかりと根づいた「草の根医」であり続けたいと思います。

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