痔の再発は防げる?
原因や予防法について肛門外科の専門家が解説
八王子クリニック新宿院
(新宿区/西武新宿駅)
最終更新日:2024/12/02


- 保険診療
日本人のおよそ3人に1人は患っているといわれている痔。決して珍しい病気ではないが、周囲に相談しにくい面があることから、症状が出ても我慢してしまい悪化させるケースは少なくない。また、痔の症状に対する治療は行うものの、発症原因の改善は図れないため、治療と再発を繰り返す人も多いそう。そんな現状を懸念し、痔に関する正しい知識の啓発に尽力するのは、「八王子クリニック新宿」の井藤尚文理事長である。痔の日帰り手術を、まだ認知が広まっていない頃から提供し続けてきた、肛門外科の専門家だ。現在は培った知識・技術と先進の機器を生かし、「体への負担が少ない低侵襲な手術」の提供に力を注いでいる。そんな井藤理事長に、痔の再発の原因や予防法、同院が行う痔の治療について詳しく教えてもらった。
(取材日2023年12月1日)
目次
痔の再発リスクを軽減するには、適切な治療を受け、生活習慣・排便習慣の改善を図ることが重要
- Qそもそも痔は再発するものですか?
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A
▲肛門外科に精通した医師が診察を行う
痔は3種に分類できますがどの痔も風邪と同じように、治療を行ったとしても原因を改善し予防しなければ再発してしまうでしょう。いぼ痔(痔核)の場合は、肛門の細静脈のうっ血が常態化して発症するため、その原因となる立ちっぱなしや過剰な運動、ストレスなどの改善を図らないと再発する可能性が高いです。切れ痔(裂肛)の場合は、肛門が裂けるのと症状が落ち着くのを繰り返すことで発症するため、何度も便秘になると容易に再発してしまいます。また痔ろうは、下痢を繰り返すことで肛門周囲膿瘍という症状を起こし、それが進行すると再発しやすくなるのです。
- Q痔の再発の原因について教えてください。
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A
▲痔の原因を調べるためにCT検査も実施
痔の再発の原因は、「その方が痔になってしまった原因」と同じであることが多いです。この原因は、置かれている立場や環境、生活習慣などによって多岐にわたります。その中でも多い原因が「排便異常」と「排便習慣の問題」です。硬い便が多い方はいぼ痔(痔核)や切れ痔(裂肛)を起こしやすく、逆に下痢が多い方は痔ろうを起こしやすい傾向があります。また、息んで排便をするといぼ痔(痔核)・切れ痔(裂肛)・痔ろうを発症する原因や悪化につながることも。人は毎日食事をして排便をします。排便の問題を放置し積み重なると、痔の発症・再発の原因となるので注意しましょう。
- Q痔の再発は防げないのでしょうか?
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A
▲患者のライフスタイルに合った治療方法を提案している
手術をすることで再発リスクの大幅な減少が期待できるでしょう。しかし、原因となる排便異常や排便習慣の問題、生活習慣の改善を図らないと、別の部分にまた発症してしまう可能性はなくなりません。ですから痔の再発を防ぐためには、専門家に相談しながら原因となっている問題を一つずつ改善していくことが大切といえます。
- Q痔について何か注意することはありますか?
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A
▲洗練された空間で落ち着いた状態で過ごすことができる
痔は相談しにくい病気の一つでしょう。そのため医師に相談することをためらい、まずは市販薬やインターネットなどの情報を頼りに自宅で治そうとする方が少なくありません。しかしそれは、誤った治療法を行い悪化させてしまうリスクがあります。また医療機関で検査を受ければ、大腸がんなど、痔以外の症状・病気が見つかることも。排便時の出血やおしりの痛みを感じたら、痔と決めつけず早めに専門家に相談していただければと思います。
- Q女性は痔になりやすいと聞きますが、再発もしやすいのですか?
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A
▲院内は患者同士の視線が合わないようなレイアウトになっている
痔の発症に統計的な男女差はありません。しかし便秘は女性に多い傾向があるため、外側にできる外痔核や切れ痔(裂肛)は女性のほうが発症しやすいとも言えるでしょう。また、出産が引き金となって痔を発症してしまう方も少なくないため、そのようなイメージがあるのかもしれません。再発のしやすさにも男女差はありませんが、恥ずかしさで受診がしにくいと感じるのは、男性よりも女性が多い印象がありますね。当院の痔の手術は日帰りなので、子育て中で入院が難しいといった、女性ならではの痔の悩みを踏まえた治療のご提案も可能です。