片山 知子 院長の独自取材記事
ツインクル歯科クリニック
(福岡市南区/大橋駅)
最終更新日:2025/12/09
老司小学校の目の前、バス通り沿いにある「ツインクル歯科クリニック」。キラキラと輝くダイヤモンドのロゴマークが印象的な同院で、片山(大野)知子院長が笑顔で迎えてくれた。九州歯科大学卒業後、特に歯周病について研鑽を積み、日本歯周病学会歯周病専門医の資格を取得。福岡歯科大学では審美歯科講座を立ち上げ、ホワイトニングの研究で博士号も取得した。開業のきっかけは、医師である父からの地域貢献への問いかけと、信頼する友人からの強い後押しだったという。親しみやすく、初対面でも緊張がほぐれる温かな雰囲気がある片山院長に、歯周病治療への思い、先進機器導入の経緯、そして口腔ケアと健康長寿のつながりについて、じっくりと話を聞いた。
(取材日2025年10月27日)
歯周病専門医として、地域に貢献
歯周病専門医という資格をお持ちだそうですね。

はい。九州歯科大学を卒業後、実家のある岡山に戻り、岡山大学の歯周病科で10年半研鑽を積みました。その間に歯周病専門医の資格を取得しています。もともと歯周病治療が好きで一生懸命取り組んでいましたが、やればやるほど「治療だけしても治るわけではない」ことに気づきました。その方の基礎疾患、食生活、生活環境といったバックグラウンドすべてを網羅し、深い知見に基づいて治療計画を組み立てないと、ただ歯を定期的に掃除するだけでは改善は期待できません。高齢者歯科についても国立療養所や精神科病院などでさまざまな経験をさせていただき、診療の役に立てばとケアマネジャーの資格も取得しました。その後、福岡歯科大学に招聘されて審美歯科講座を立ち上げ、ホワイトニングの研究で博士号を取得。幅広い分野を深めることで、総合的な歯科治療ができるようになったと思います。
開業のきっかけは何だったのでしょう。
実は新型コロナウイルス感染症の流行期に家族の転勤で、一度福岡歯科大学を辞めることになったんです。そこで自分の人生そのものを考え、「自分が理想とする診療ができるクリニックを持とう」と決意しました。もう一つ大きかったのは、医師である父の言葉。「地域医療に貢献してなんぼだ」と発破をかけられました。さらに、現在マネジャーを務めている友人からの勧めも決定的で、「あなたは腕に覚えがあるのだから、開業しないのはもったいない」と強く背中を押してくれたんです。父から受け継いだ地域医療への思いと、信頼する友人の励ましがあったからこそ、開業に踏みきることができました。
この場所を選んだ理由と、院内設備のこだわりを教えてください。

福岡歯科大学で長く教員を務め、患者さんも多く受け持っていたので福岡での開業を考えていたところ、縁あってこの場所に出合い、地域医療を実践するには最適だと決めました。院内はバリアフリー設計にこだわり、車いすも準備しています。診療ユニットは3台で、うち1台は完全個室で広く中に洗面台もあります。車いすに座ったままでも治療ができるよう、ユニットの枕を動かして対応することもできます。また大学病院と同じ滅菌機器を導入し、口腔外バキュームも全ユニットに設置。院内感染対策の観点でも、待合室はカウンター式になっていて、時間帯によっては窓から差し込む光が虹のように見えることも。とてもきれいで気に入っています。
先進の歯周病治療器を導入し、一歩先の治療を実現
歯茎を切開せずとも重度の歯周病治療ができる、先進の歯周病治療器を導入されているそうですね。

機械の先端から消毒剤のオキシドールが出て、そこにレーザー光を当てることで歯周ポケット内の殺菌・除去を図れるという、画期的な歯周病治療器です。今まで重度の歯周病を治療するには、歯茎を切って剥がして、再び縫うという大がかりな外科手術が必要でした。ですが、この機器があれば切らない治療ができる可能性が高まり、そうなると患者さんの負担が大きく減らせます。切らないほうが痛みも、怖さも抑えられ、早期回復が期待できる。治療時間も5分程度と短くて済みます。今まで外科手術を躊躇していた方はぜひ一度ご相談ください。県外など遠方からこの治療を求めて来院される方も多く、メリットの大きな治療法だと実感しています。抜歯になりそうな歯でも、この治療により延命が望めるケースもあります。
歯周病治療器を採用しようと思われた理由は?
マネジャーが先に情報を見つけてきて「院長、これはいい」と勧めてくれたのですが、実は私も最初は半信半疑だったんです。しかし、いろいろ調べてみると「患者さんのメリットが大きい新しい治療法だ」とわかり、導入を決めたのです。使ってみると本当に素晴らしくて。メリットは、まず患者さんの負担が圧倒的に少ないこと。麻酔だけで済みますし、血も出ない、縫合もいらない。3ヵ月に1回程度の治療が推奨されていて、定期的な治療で健康な状態を保つことが期待できます。私自身、歯周病専門医として多くの外科手術をしてきたからこそ、この機器の革新性がよくわかるんです。
審美歯科への取り組みについて教えてください。

日本でまだホワイトニングが黎明期だった頃、福岡歯科大学医科歯科総合病院において「しみにくいオフィスホワイトニング」のメソッドを研究しました。90年代後半のホワイトニングは歯が締めつけられるような痛さがありましたが、薬剤の濃度を下げつつ、治療前の処置薬で有用性の維持が期待できるようにしました。「ホワイトニングで歯はどれくらい白くなることが望めるか」を研究テーマに博士号も取得。私は「色にうるさい歯科医師」だと自認しているんです。セラミック治療では「自然な白さ」を大切にしています。皆さん「とにかく白くしたい」と希望されますが、それぞれのお顔に合う色味も合わない色味もあるのです。色彩美、形態美、機能美の三本柱をトータルで考え、その方に本当に合う自然な美しさを提案できるよう心がけています。
患者との二人三脚で実現する健康長寿
診療で大切にされていることは何ですか?

「自分がされたい治療を、自分の親や子にしたい治療を、患者さんに提供する」。これが私の理念です。初診では特に、お互いに心を開いてコミュニケーションが取れるよう心がけています。歯周病治療は特に、食生活や生活習慣など日々のことも含めて共有し、二人三脚で進めていく必要があります。患者さんと一緒に、気持ちを合わせて頑張っていきたいですね。2023年4月からは再び、福岡歯科大学高齢者歯科学分野の臨床教授も務めていて、この思いを若手歯科医師にも伝えています。
歯周病治療について患者さんに伝えたいことはありますか?
歯周病はただ定期的に、歯科医院でケアを受ければいいというものではありません。その方のバックグラウンド、食生活、生活習慣すべてが深く関係するため、患者さん側の意識向上も必要なんです。なぜ歯周病になったのか、何を変えたらいいのか、どんな治療が必要なのか。包括的な治療計画をもとに、一緒に歩んでいきましょう。歯周病にならない人はほぼいないので、自覚があってもなくても一度歯科を受診してほしい。当院は歯周病に特化しているので、きっとお力になれると思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

口の中にいる細菌は、虫歯や歯周病だけでなく、誤嚥性肺炎や糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、認知症、早産など命に関わるようなケースにつながることがあります。寿命を延ばすための方法の一つが口腔ケア。なるべく自分の歯で一生過ごせるように、歯周病で歯を失わないように、まずは気軽に相談してください。あなたに合った治療法を一緒に見つけていきましょう。口腔内細菌を減らしお口の中をきれいに保つことが、健康と長生きにつながるのは間違いありません。
自由診療費用の目安
自由診療とはオフィスホワイトニング/3万8500~4万9500円(部位により異なります)
ホームホワイトニング/2万7500~3万8500円(部位により異なります)
セラミックを用いた補綴治療/6万6000円~(素材により異なります)

