2型とは異なる1型糖尿病
専門クリニックで安心感のある治療を
糖尿病・甲状腺・内科 はっとりクリニック知立
(知立市/知立駅)
最終更新日:2024/02/09


- 保険診療
糖尿病と一口にいっても日本人の多くは2型糖尿病で、まずは食事指導や運動指導による生活習慣の改善が前提となる。一方で、発症後すぐの段階からインスリン治療がメインとなるのが1型糖尿病だ。体の状態や食事に合わせて適切な量のインスリンを補充することが必要になるため、1型糖尿病に精通した医師による適切な診断、治療継続が重要となる。「糖尿病・甲状腺・内科 はっとりクリニック知立」の服部麗院長は自身も1型糖尿病であり、豊富な診療経験と専門性を生かして1型糖尿病に特化した治療も行う。血糖測定器を複数そろえて選びやすくしたり患者同士の交流会を開いたりするなど、患者目線に立つことを心がけている同院の1型糖尿病の治療について聞いた。
(取材日2024年1月19日)
目次
毎日のインスリン補充で目標範囲内の血糖値維持をめざす。患者同士の交流も非常に重要
- Q1型糖尿病とはどのような病気なのでしょうか?
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A
▲1型糖尿病の治療に注力する服部麗院長
摂取した炭水化物は胃で消化されてブドウ糖となり、血流に乗って全身を巡ります。これが血糖で、最終的に細胞の中に入りエネルギー源となります。血糖が細胞に入るためには膵臓のβ細胞で作られているインスリンが必要ですが、体質や免疫の異常、ウイルス感染など複合的な原因によりインスリンを作れなくなるのが1型糖尿病です。そのためブドウ糖が血中にあふれて高血糖となり、細胞はエネルギーが枯渇します。そこで注射や機械によってインスリンを体に補充し続けることが必要になるのです。小児期~思春期が発症のピークですが全体の半数以上が30歳以上の発症です。血糖値が高い状態を放置すると意識障害を起こしてしまうこともあります。
- Q身近なクリニックでの治療は可能でしょうか?
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A
▲指導のためのキッチンルームも完備
一般的な内科よりも糖尿病専門のクリニックが望ましいでしょう。ただ、1型糖尿病治療の鍵は、目標とする血糖値を維持するため適切にインスリンを補充すること。「適切に」というのが重要で、医師には1型糖尿病の十分な知識と経験が求められます。低血糖を起こしにくい治療法や専用機器の使用の提案などが場合によっては必要になるからです。また2型糖尿病であれば「バランスの良い食事と適度な運動」が推奨されますが、1型では、運動によって低血糖を起こしてしまうことも。食前には、カーボカウントといってその食事でどれほど血糖が上昇するかを見積もることが必要です。当院では管理栄養士がその見積もり方を患者さんに指導しています。
- Qこちらではどのような診療を受けられますか?
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A
▲数種類の血糖測定器を用意
近年では、体にセンサーを貼りつけて、血糖値に近似する間質液の糖濃度を測定する持続血糖測定(CGM)が広く用いられており、当院でも実施しています。お子さんの場合、保護者がスマホのアプリを開けばリアルタイムで血糖値の変動を把握できるので安心です。CGMとインスリンポンプを組み合わせたSAPと呼ばれる治療法では、過去のインスリン注入履歴などのデータによりインスリン注入量を自動調整でき、高血糖、低血糖とも減らして血糖値を目標範囲内に保つための助けになります。また当院では血糖測定器を大きい物、小さい物、音声で操作をガイドする物など8種類用意しており、患者さんに使いやすいものを選んでいただいています。
- Q検査機器についても教えてください。
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A
▲患者に負担の少ない方法を積極的に取り入れている
糖尿病の管理指標としてよく用いられているヘモグロビンA1cについては、通常、腕からの採血が多いと思いますが、当院では指先の血液からも測定できる機器を使用しています。特にお子さんや、腕からの採血がなかなか難しい方でも安心していただけると思います。また糖尿病は腎臓や神経に合併症が起こるリスクがありますが、それらを早期発見するための検査として神経伝導速度検査や、腎臓のダメージがわかる尿検査ができます。さらに、コレステロール値や肝機能、腎機能を調べる生化学検査や、1型糖尿病を持つ方に起こりやすい甲状腺ホルモン値の異常も検査が可能で、即日、1時間以内に結果がわかります。
- Q継続して治療を続けられるか不安です。
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A
▲患者の心理的負担にも寄り添う
発症すると本人はもちろん、お子さんであれば親御さんにとっても身体的・心理的負担が大きくなります。私も同じ病気を持っており、悩みやつらさに共感できることは強みだと思っています。何が最も不安なのか会話を通してくみ取ることで、例えば低血糖が心配であればより安心安全な治療法に変更するなど対応もできます。学校での生活が不安であれば私がお子さん、親御さんと一緒に学校の先生とお話しすることもできます。また、当院では1型の患者さん、2型の患者さんも含めた患者会を随時開催しており、一緒に歩いたり料理を作ったり、グループトークを行うなどしています。子育て中の方には子育てを終えた方が体験談を話すこともあります。