石井 学 院長の独自取材記事
いしい内科・胃大腸内視鏡・IBDクリニック
(岡山市南区/妹尾駅)
最終更新日:2023/06/13

荒田バス停から徒歩3分ほどの妹尾医療モールにある「いしい内科・胃大腸内視鏡・IBDクリニック」は2022年12月に開院した新しいクリニックだ。石井学院長は消化器内科を専門に救命救急センターや各地の大規模病院で勤務してきた。患者の不安を少しでも解消したいという想いにあふれた石井院長に、クローン病などの特殊な疾患を含めた内科全般を診察するクリニックにこだわった理由や内視鏡AIシステムなど豊富な検査機器を取りそろえていること、痛みの少ない内視鏡検査について話を聞いた。
(取材日2023年2月2日)
患者が困っていることに寄り添い不安を解消
院内づくりでこだわられたことは何ですか?

患者さんが安心して来院できることを一番に考えて、通常外来の入り口と発熱専門の外来の入り口を別で設けました。生活習慣病や私の専門の一つである炎症性腸疾患の患者さんの中には免疫を抑えるための薬を服用されている方もいます。そのため、発熱がある感染症の患者さんと投薬中の患者さんに同じ空間で待っていただくことは患者さん同士も抵抗を感じるだろうと思い、発熱の外来専用の空間を造りました。また、発熱専門の外来に来られて、待機中の患者さんが一番困るのはトイレだと考え、トイレつきの発熱隔離用の空間を造りたかったという想いもありました。発熱患者さんの場合、車内での待機中に急におなかが痛くなるケースもあります。そのときに患者さんが安心してトイレにいけるようにと工夫しました。
開業医になられた経緯を教えてください。
医師を志した理由が特定の病気を治したいからではなく困っている人を治療して、笑顔で帰っていただくためだったので、地域に密着して幅広い領域を診られるクリニックを開こうと考えました。もう一つの理由が潰瘍性大腸炎やクローン病などの特殊な治療をクリニックでやりたかったからです。私はこれらの病気の治療に携わってから20年ほどたちます。患者さんは10代の思春期の方が多いです。受験や進路選択などがある大事な時期に苦しんでいる方に少しでも楽に治療を受けてほしいと考えました。今は研究が進んでおり注射や点滴をするだけで日常生活が送れることが期待できますが、クリニックレベルでは治療に対応しているところが少なく、大規模病院で治療を行うことが多いです。気軽に来院して短時間で「また次回ね」と送り出せる、そんな医療を提供したかったので、クリニック名にも「IBD(炎症性腸疾患)」という名前を掲げました。
この地域に開業した理由を教えてください。

私は岡山市内に住んでいます。そのため、岡山市内で開業の場所を探していました。岡山の人は車で来られることが多いので、無料で止められる広い駐車場があった方がいいなと考えていました。また、妹尾は母校の私立岡山中高等学校があり中学、高校時代を過ごした場所でもありました。いろんなご縁があり、この土地で開業することになりました。2022年12月に開業したばかりではありますが、来院された患者さんに喜んでいただけるようにこれからも地域の方々に貢献できるように努力していきたいと思っています。
患者の負担を考慮した検査を提案
どんな方が来院されますか?

ファミリー層が多い住宅街なので、幅広い年齢層の患者さんが来院されます。慢性的に腹痛や下痢を繰り返している小学生から高校生も多いです。小児の場合、腹痛の原因は便秘である場合が多い印象ですが、当院では腹部エコーで肝臓、胆嚢、消化管である大腸、小腸の検査を行うことを患者さんにお勧めしております。全部の病気がわかるわけではありませんが、慢性の腸の炎症の有無、専門である潰瘍性大腸炎や中高校生でも罹患することがあるクローン病がわかることもあります。もちろん、小学生から高校生だと「大腸カメラしようね」とは言いませんし、CTも被ばくのリスクがあります。痛みを訴えているお子さんにはまずはエコーを行っています。小児領域は専門外なので、必要な場合は近隣の小児科への紹介も行っています。
画像診断のための設備が充実されていますね。
身体診察や聴診、触診だけでは検査できる病気の範囲は限られています。そのため超音波検査やCT検査、胃カメラ、大腸カメラなどの機械で撮影した画像を用いて、患者さんに状態を説明するようにしています。患者さんは「おなかが痛いけどがんかな」などいろんな不安を抱えて来院されます。画像を用いながら「大丈夫ですよ」や「治療が必要です」と患者さんの不安を解消しながら伝えるようにしています。そのため、ある程度の病気が調べられるように機器は取りそろえています。ここで治療できる病気は限られていますが、検査をすることで様子を見ても大丈夫な状態か、然るべき病院へ紹介する必要があるかの判断ができます。画像診断は病気を早期に発見するのに役立つと考えています。
痛みの少ない検査を心がけられているとか?

過去に大腸カメラなどで痛みを感じたことのある方は、当院で初めて検査する場合でも初めから鎮静剤を用いた検査を行っています。「もう終わったの」となるように心がけながら検査をしています。大腸カメラ自体が初めての患者さんの場合は通常の内視鏡と少し長めでやわらかい内視鏡を2本準備しておき、患者さんの痛みの度合に合わせて使い分けるようにしています。また、大腸CT検査も可能です。6mm以上のポリープは探せるので、大腸カメラの挿入が困難な場合や痛みがある場合は検査途中でも大腸CTに変更も可能です。大腸CTは造影剤を飲んだ後に、お尻に細いチューブを挿入し炭酸ガスを入れ、腸を膨らませてCTを撮る検査です。胃の内視鏡も3つの検査方法から選べます。経鼻内視鏡を鼻から挿入する嘔吐反射が起こりにくい方法、細径内視鏡を口から挿入する方法、鎮静剤を用いた内視鏡検査です。
内科全般と専門性の高い医療を提供
内視鏡AIシステムはどういう役割を果たしているのですか?

私自身、日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医かつ、日本消化器病学会認定の消化器病専門医であり、小さなポリープも丁寧に診ていきます。そのサポートをしてくれるのが内視鏡AIシステムです。具体的には隆起部分を見つけて「ここに何かあるよ」と提示してくれます。システムが何かを見つけた場合、僕が「どれどれ」と診に行くイメージですね。AIで指摘されたところを見直しても全く腫瘍がない場合もあるのですが、時に自分より先に指摘してくれる場合もあります。専門家2人で内視鏡検査を行っている感覚で、病変の見落としがないようにAIが保険として働いてくれています。また、内視鏡を病変に近づけるとそれが腫瘍性か良性かを判定してくれます。僕自身の診断と内視鏡AIシステムの診断をすり合わせながら治療すべき病変かの判断をしています。
生活習慣の相談や指導もされているのですか?
生活習慣の指導は私が直接、患者さんにさせていただいております。私は開業前に人間ドックや特定健診などを行っている淳風会健康管理センターで勤務しており、そこで生活習慣病の指導をさせていただいておりました。健診では健康な方も来られますが、内科は健診で再検査が必要になった方や治療を必要としている方が来られます。内科でできることは、投薬治療で症状の緩和を図ることがすべてとは思っていません。生活習慣を見直して、薬を使わずに症状が改善されるのであれば、それが一番良いと思います。しかし難しい面もあるので、薬による治療と併用しながら食事や運動について指導しています。高血圧なら塩分を控えることや尿酸が高いならお酒を控えるようにお話しするように日々、心がけています。健康で病気になりにくい体をつくることが大事ですから。
最後に地域の方へのメッセージをお願いします。

患者さんの不安を解消するために、当日検査を希望されるか投薬のみ希望されるかなど患者さんのご意向をできるだけ聞くようにしています。血液検査や超音波検査、CT検査は患者さんが来院される当日にも施行でき、土曜日の午後も検査可能です。クリニック名から大腸・胃カメラのクリニックと思われがちですが、実際は内科全般を診させていただいております。全身の検査ができるように機器を取りそろえて病気の早期発見、早期治療ができるように努力していますし、当院で検査して治療ができないものがあれば専門の機関にご紹介もさせていただいております。患者さんに最善の医療を届けていきたいです。