山口 智己 院長の独自取材記事
あさぶ皮フ科クリニック
(札幌市北区/麻生駅)
最終更新日:2025/01/15

麻生駅より徒歩1分の好立地にある「あさぶ皮フ科クリニック」。院長の山口智己先生は、大学病院やクリニックなどで皮膚科医として経験を重ね、2022年に開業。アトピー性皮膚炎やニキビ、湿疹など一般的な皮膚疾患から、医療脱毛といった美容皮膚科まで幅広く対応する。丁寧にカウンセリングを行い、患者一人ひとりに合わせた治療方法を提案。症状が目に見えて良くなっていくことを患者と喜び合えたらうれしいと話す。穏やかでやわらかい雰囲気の山口先生に、皮膚科医としての思いや趣味など幅広く聞いた。
(取材日2023年1月26日)
コンプレックスを抱える患者にも寄り添った診療を
一般皮膚科と美容皮膚科の診療をされていますが、特に多い症例はなんですか。

相談件数が一番多いのはアトピー性皮膚炎です。特に乾燥する冬は症状が悪化するため、来院される方が多くなります。アトピー性皮膚炎の治療は当院が力を入れている診療の一つで、どうして起きるのかという説明をし、ステロイドなどの処方のほか、生物学的製剤を用いた注射も導入しています。これは、2週間に1回の頻度で注射を行い、かゆみを誘発する要素の一つをブロックすることを図る治療法です。かゆみや炎症の発症を抑えることにつながり、皮膚をかくことがなくなれば、肌が荒れづらくなって皮膚をバリアする機能を高めることも期待できます。個人差はありますが、少しの刺激でも湿疹を発症していた方でも発症しづらくなることが見込めるなど、日常生活でほとんど支障が出ないレベルまで改善することも期待できる場合があります。
どのような治療方法なのですか。
治療1回目は看護師が注射を打ち、2回目はクリニック内で患者さんに打ってもらいます。3回目以降は3ヵ月分を患者さんにお渡しして、ご自身で管理をしながら打ってもらいます。打つ場所はおなかや太ももなので、インスリン注射のような感じです。副作用として結膜炎がありますが、その場合には点眼薬を処方します。そのほかのデメリットとしては、冷蔵庫で保管するなど管理が大変なのと、保険診療なのですが費用が高いという点があります。でも、保湿剤と塗り薬で良い状態が保てない方には、提案するようにしています。
他に力を入れている治療を教えてください。

ニキビ治療です。塗り薬と飲み薬の成分や使い方、リスクは一通り把握しています。実は、僕自身がニキビ肌で、今でもできるくらいなんです。ニキビがコンプレックスになって積極的になれなかったり、ニキビが潰れると自分は汚いんじゃないかって思ったり、僕自身が実体験として感じてきました。だから、同じように悩まれている方が少なくなればいいなと思っています。来院されるのは10代の方も多いのですが、20代の女性が多いように思います。化粧や化粧を落とす時の刺激によって、ニキビになりやすいんですよ。内分泌も影響するので、悪化する時期を見極めて抗生剤を投与するようにしています。また選択肢の一つとして、婦人科と連携をして内服薬を処方してもらうこともあります。
アトピー性皮膚炎もニキビもコンプレックスに思う方は多いですよね。
皮膚がじゅくじゅくして荒れたりすると「人に見せたくない」とか、どうしても気後れしてしまいますよね。でも、それを改善できたら表情がぱっと明るくなるものです。「良くなってきました」などと笑顔で言ってもらえたらうれしくなりますね。皮膚科は、目に見えて治療の進捗がわかるのでやりがいを感じやすいですし、患者さんと医師が共通認識を持てるところも特徴だと思います。ただ、レアな疾患や皮膚と脂肪をごっそり取らないといけない疾患など、なかなか治りづらいものもあります。そうしたクリニックで対応できない症例の場合は、患者さんのためにも適切な病院を紹介するようにしています。
患者ごとにカスタマイズした診療に力を注ぐ
美容皮膚科を取り入れたきっかけは何ですか。

皮膚科の外来をしていると必ず美容の相談をされるのですが、「保険診療しかやっていないんです」と言うのが心苦しくって。患者さんのニーズに対応したいという気持ちと、今の医学であればある程度のところまでしっかりと対応できるようになったので取り入れました。開業した当初は美容の相談は少なかったのですが、日に日に増えていきました。最初の診察では、保険診療のブースでカウンセリングをして治療プランを提案します。患者さんごとの症状に合わせた提案をしています。
医療機器はどのようなものを導入されているのですか。
しみのケアや脱毛、血管腫や毛細血管拡張症の治療などに使う、先進の医療機器を導入しています。医療レーザーは出力が高いため痛みはありますが、心配な患者さんには麻酔を使うなど工夫をして、なるべく痛みの少ない治療を提供できるように配慮しています。
患者さんのことを考えた丁寧な診療をされているのですね。

以前、愛知県のあま市にあるごとう皮フ科クリニックで勤務をしていたのですが、院長先生が行う患者さんへの説明やカウンセリングがとても上手で。医学的な知識だけじゃなく、患者さんとのコミュニケーションも教えてもらいました。なるべく機械的にならないように、この患者さんにはどういうバックグラウンドがあるのか、どういう不安感をお持ちなのかを考えて、だからこの診療を提案しようといった、患者さんごとにカスタマイズした診療を提供できればと思っています。あとは、例えば皮膚科医が診るのはこっちだけど、患者さんが悩んでいるのはそっちじゃないというケースもあります。体中に出ている湿疹が、実は内科的な疾患から来るものだったなど、患者さんは皮膚の疾患を気にしていて、医師としては少し違うところに着目している。そうした違いがあるということを念頭に説明し、治療を進めていくようにしています。
些細なことも気軽に相談できるクリニックでありたい
開業までの経緯を教えてください。

僕は栃木県出身で、大学も栃木の獨協医科大学に入学しました。卒業後も獨協医科大学で重症な症例などを診ていたのですが、ニキビやアトピー性皮膚炎、乾燥性の湿疹など一般的に多い疾患を勉強するために皮膚科のクリニックで勤務をしました。北海道で開業をしようと思ったのは、暑さが苦手だからです。それで、実際に働きながら患者さんの状況や生活環境などを確認することにしました。ある時、大雪でタクシーもバスも動かくなって、駅から職場まで行く手段がなくなってしまい40分ほど走ったことがあります。ギリギリ間に合って患者さんを待たせずに診療できたので良かったですが、大変でしたね。この場所で開業をしたのも、札幌の都市部に比べると皮膚科が少なく人通りが多いということもありますが、地下鉄が直結なので雪に左右されないというのも理由の一つです。
大変な経験でしたね。
学生の頃からバレーボールをやっていて、今もチームに所属して週2回くらいやっているからなんとか走れたのだと思います。運動をすると睡眠の質も上がりますし、健康を保ちやすくなります。忙しいので、看護師や事務員、秘書である妻のサポートがあってこそだと思っています。あとは、スキーも好きです。父の実家が山形で、祖父と祖母に会いに行ったときに滑っていました。今はニセコ町に行って滑ることが多いですね。妻はスキーが苦手なので、僕が滑っている間は温泉旅館でゆっくりしてもらい、一緒に晩ご飯を食べるため夜に集合しています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

当院は皮膚科だけでなく美容皮膚科にも対応していることもあり、患者さん同士が極力顔を合わせないよう、個室にしたり、カーテンで仕切ったりと工夫をしています。また、診療後にゆっくりとメイクをしていただけるよう、パウダールームを4つ設けました。予約システムは新しいものを取り入れていますので診察時間まで外で過ごすことができますし、診察室を4部屋にしてあまりお待たせしないようにもしています。当院のコンセプトの一つは、患者さんに嫌な思いをさせず優しく接するということです。そのため、スタッフは人柄重視で採用しました。どのスタッフもコミュニケーションを取りやすいと思いますよ。こんなことを言ったら駄目なんじゃないかなど思わず、何でも気軽に相談してほしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみのケア/1万5000円~、脱毛/1万円~
詳しくはホームページをご覧ください。