全国のドクター9,287人の想いを取材
クリニック・病院 158,646件の情報を掲載(2024年4月19日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 港区
  4. 外苑前駅
  5. 青山アレルギークリニック
  6. 飯野 晃 院長

飯野 晃 院長の独自取材記事

青山アレルギークリニック

(港区/外苑前駅)

最終更新日:2023/09/01

飯野晃院長 青山アレルギークリニック main

外苑前駅から徒歩約5分、エントランスには季節の生け花が飾られた南青山のシックなビルの2階にある「青山アレルギークリニック」は2023年2月に開業し、院長の飯野晃先生は国立成育医療研究センターなどの基幹病院でアレルギーを専門としてきたベテランドクターだ。1980年代から日本におけるアレルギー治療のガイドライン作りに携わり、赤澤晃名義の著作で一般向けにもアレルギー疾患を解説してきた。啓発活動にも一区切りをつけ、長年住み慣れた港区の地域医療に役立ちたいと決意したきっかけとは。また、今後も普及させていきたいと語るアレルギーの標準的治療とはどのようなものなのか。マリンブルーを基調とした壁に、ハワイで幸せを運ぶとの言い伝えがあるホヌ(海亀)のレリーフなどがさりげなく飾られた院内で話を聞いた。

(取材日2023年2月22日)

アレルギー治療の専門家が地域医療に貢献すべく開業

なぜ医師を志したのか、また、アレルギーを専門にしようと思った理由などをお聞かせください。

飯野晃院長 青山アレルギークリニック1

祖父が麻布で産婦人科の開業医をしておりましたので、小さい頃から医療は身近に感じていました。中学、高校時代には医学への生物学的興味が強くなり「なぜ、こういう病気が起きるのか。治療はどうなっているのか」という探究心が湧き、東京慈恵医科大学へ進学。アレルギーを専門にしようと思ったのは小児科に進んでからです。当時から、慈恵医大小児科アレルギー研究グループは先進的な存在だったこともあり心惹かれました。ただ、その頃のアレルギー治療は各病院で医師が自らの経験を頼りにした治療をバラバラに行っているという状況。これを改善すべく恩師たちが治療ガイドライン作成のための委員会を立ち上げ、われわれの世代が奔走することになりました。

長年携わってこられたアレルギー治療のガイドライン作成。大変だった点などを教えてください。

1980年代にはまだEBM(Evidence-Based Medicine=科学的根拠に基づく医療)という考え方も浸透しておらずエビデンスも不足していて、諸先生方のコンセンサスを取りつつのスタートでした。当院で治療にあたる小田嶋博先生、増田敬先生は一緒にガイドライン作りに尽力してきた仲間です。次第にエビデンスもそろい、最もスピーディーに進んだのが喘息でした。どの病院でもガイドラインに沿って、軽症のうちに病状のコントロールが図れるようになり、重度の喘息患者数は減少につながりましたね。一方、アトピー性皮膚炎はいまだに独自治療をしている病院も多いなど課題も残っているのですが、ガイドラインに関しては若手に後を託しています。

ガイドライン作成の現場を離れ、開業しようとお考えになったきっかけは何だったのでしょうか。

飯野晃院長 青山アレルギークリニック2

2019年から妻の実家が栃木で営む「なすのがはらクリニック」を手伝い始めたことでしょうか。ガイドラインに沿った治療を初めて受ける方も多くて、それまで勤務していた基幹病院だけではなく、町のクリニックでもこの治療をもっと普及させていかなければと痛感したのです。南青山を選んだのは、港区民として地域医療に貢献したいという思いもあったからです。アレルギー疾患の治療はもちろん、当院の医師は小児科も専門領域ですので、風邪、腹痛などお子さんの体調不良時にも一般小児科としてお気軽にご相談ください。午前中は育児中の女性医師3人が交代で勤務していて、子育てのお悩みなども相談しやすいかと思います。発熱の外来もありますが別室対応とし、感染症対策もしっかりと行っています。

子どもにも大人にもアレルギーの標準的治療を広めたい

アレルギー疾患に対してどのような治療を行っているのか、クリニックの特色を教えてください。

飯野晃院長 青山アレルギークリニック3

食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支炎、花粉症、アレルギー性鼻炎・結膜炎、じんましんなどのアレルギー疾患に関して、ガイドラインに沿った標準的治療を、あらゆる世代に行っているのが特色です。小児科専門の医師、アレルギー専門の医師が専門性の高い医療を提供し、大学病院レベルの検査も一通りできるようになっていますが、基本的にすべて保険診療です。例えば、食物アレルギーならばまず原因物質を「どれぐらいまでなら食べられるのか」を特定する食物経口負荷試験を実施。現在では、かつてのような完全除去は行いません。特にお子さんは学校給食もあり、食べられる量を適切に知っておくことは重要です。

アレルギー疾患は、日常の中で注意すべき点も多々ありますが、生活指導はどのように行っていますか。

小児アレルギーを専門的に学んだ看護師2人が担当しています。食物アレルギーの子どもとそのご家族には食事指導のほか、場合によってはアナフィラキシーが起きた際のアドレナリン自己注射薬の打ち方などを指導。喘息ならば吸入ステロイド薬の使い方や生活環境の整え方、アトピー性皮膚炎ならばスキンケアの仕方などをわかりやすくお教えしています。これからも、より多くの医療関係者にアレルギー疾患を持つ子どもの生活の質を向上させるための専門知識が普及していくようにと願っています。

一方、大人のアレルギー疾患にも対応していると伺いました。大人はどんな点に注意したら良いでしょうか。

飯野晃院長 青山アレルギークリニック4

大人の方はアレルギー症状が出ていても放置しがちです。中高年になって初めて食物アレルギーと診断された例もあります。「この食物はなんとなく避けよう」ではなく、まず原因を適切に知ることから始めましょう。アレルギー疾患は軽症のうちに症状を抑えることが鍵。ですから、少しでも気になることがあるならば、早めに足を運んでほしいと思っています。強い症状に悩んでいたとしても、薬の開発も日々進んでいます。もし、長年どこかのクリニックに通っているにもかかわらず改善が見られないならば、ぜひ一度、ガイドラインに沿った標準的治療とはどのようなものなのか体験してください。

患者一人ひとりの人生を豊かにする治療をめざして

先生が治療で大切になさっていることを教えてください。

飯野晃院長 青山アレルギークリニック5

ガイドラインに沿った治療をしていくのは大前提ですが、それは誰に対してもまったく同じ対応をするという意味ではありません。患者さんの話に注意深く耳を傾けてそれぞれの背景を適切に把握しつつ、治療のバリエーションもある程度は必要です。一人ひとりのライフスタイルに合わせながら「やりたいことをできるようにする治療」をめざしたいと思っています。長い間アレルギー疾患に苦しみ続けてきた方にも、ライフスタイルに合わせた標準的治療でお力になりたいです。

ガイドラインに沿った治療の普及は今後も重要ですね。

特にアトピー性皮膚炎については今後も注力していきたい分野です。ステロイドに対する拒絶反応や「一度使ったら一生続けなければいけなくなる」という誤解はいまだに根強いようです。ガイドラインがなかった時代の誤用が悪影響を及ぼしているのだと考えます。副作用が出ないよう、量を加減しつつ、段階的に使用量を減らし、最終的には使わなくても良い状態にまで持っていきたいというのが本来のステロイド治療。重症ならばかゆみの要因をターゲットとする分子標的薬との併用もできますし、実は治療の選択肢も増えているということも広めていきたいです。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

飯野晃院長 青山アレルギークリニック6

「花粉症だから春はしょうがない」などと、アレルギー症状に対して諦めている人も多くいらっしゃいます。ですが、そのまま放置していると悪化させてしまう可能性も否定できません。スギ花粉症にはスギ花粉から作った薬を使った舌下免疫療法などもあります。症状がつらいけど我慢していたり、つらい症状に慣れてしまっている方にも、もう一段良い状態にするための提案ができる可能性は大いにあります。どんな些細なことでも、まずはお話を聞かせていただければと思います。

Access