宿南 仁志 院長の独自取材記事
兵庫町歯科
(高松市/片原町駅)
最終更新日:2025/08/05

高松兵庫町商店街で2013年に開業し、2023年には10周年を迎えた「兵庫町歯科」。ブロック調の壁にガラス窓を合わせた外観は、都会的で洗練された印象だ。穏やかで物腰やわらかな宿南仁志(しくなみ・ひとし)院長は、日本歯科大学新潟歯学部 (現・新潟生命歯学部)を卒業後、父親の運営する歯科医院で10年間、研鑽を積んできた。開業後は痛みに配慮した、極力抜かない・削らない治療を心がけながら、口腔内を総合的に診断し治療を進める包括的歯科医療を推進。高松市の中心部という地域に根差し、地域のニーズに応える歯科医院をめざす宿南院長に、診療方針から今後の展望まで幅広く話を聞いた。
(取材日2024年11月28日)
歯科治療を通じて、QOL(生活の質)向上を図る
歯科医師をめざしたきっかけと、開業までの経緯を教えてください。

歯科医師の父の仕事ぶりを近くで見ていましたので、自然と「自分も歯科医師になりたい」と考えるようになっていました。患者さまに堂々と接している姿は、家で見る父の姿とはまた違っていて、憧れのような気持ちを抱いたんです。大学は父と同じ日本歯科大学を志し、新潟市にキャンパスを置く新潟歯学部に進学。卒業後は同大学の総合診療科で1年間研修を受け、その後は父の歯科医院で10年間勤務しました。当初はこのまま父の歯科医院を継ごうと考えていたのですが、次第に違う土地に行って、自分の力で地域貢献をしていきたいと考えるようになり、開業へ。父は少し寂しがっていましたね。
特に多く経験してきた治療があればお聞かせください。
広くさまざまな治療を学んできましたが、勤務していた父の歯科医院はご高齢の患者さまが多かったので、入れ歯の治療経験は豊富だと思います。入れ歯を作った患者さまに心から感謝していただくと、歯科治療は患者さまの人生を変えるもの、QOL(生活の質)を向上させるものだと実感しました。しかしながら、入れ歯はうまく噛めない、よく外れるといったお悩みがつきものです。私は少しでも患者さまに合わせた入れ歯を作りたい、他院にはないような新しい技術を取り入れたいと考えて、歯科先進国のスイスを会場とした、義歯作製システムを学ぶプログラムにも参加しました。この当時に学んだ、機能性や審美性を追求した入れ歯を作る技術や知識は、今でも大いに役立っていると思います。
こちらに来られる患者さんは、どのような方が多いですか?

ビジネス街に近いという土地柄か、近隣にお勤めの方が多いという印象です。お勤めの方がお仕事の後に来られるよう、当院は診療時間を20時までに設定しており、土日も18時まで診療を行っています。主訴は虫歯の治療や、定期検診・クリーニングのご要望が中心ですね。企業検診のご依頼も増えています。理事を務める妻の意見で、内装にアンティーク調のインテリアを取り入れているためか、近年は若い女性の患者さまも多いです。廊下に配置した大きな鏡を見れば、治療後もすぐに身だしなみをチェックできますし、デンタルユニット(歯科診療台)は歯科医師側の使いやすさよりも、患者さまの座り心地を優先しました。治療はプライベート感のある完全個室、メンテナンスは3部屋ある半個室で実施しています。
口腔全体のバランスを考える「包括的歯科医療」を実践
診療のコンセプトをお聞かせください。

痛みに配慮した、極力抜かない、 削らない歯科医療がコンセプトです。当院では治療のために麻酔を行う場合、必ず表面麻酔を施します。麻酔の針を刺す前に、麻酔薬を塗布するということです。麻酔の針も極細のものにして、麻酔をする際の痛みが最小限になるよう注意を払っています。さらに患者さまのお気持ちに寄り添いながら、患者さま本来の歯を守るため、残せる歯はできるだけ抜かないこと、初期の虫歯は可能な限り削らないことも重視しています。歯は、削れば削るほど寿命が短くなるといわれていますので、たくさん歯を削らなくても済むように、定期的に歯科医院へお越しいただきたいです。
こちらでは、「包括的歯科医療」も実践されているそうですね。
包括的歯科医療とは、一本一本の歯を治療するのではなく、お口全体を1単位として見て治療をするものです。例えば「右下の歯が痛い」と言う患者さまが来られた場合にも、「その原因は他の部分の噛み合わせかもしれない」などと他の要因を検討し、お口の中を全体的に詳しく調べます。そして痛みのある部分だけでなく、要因の一つと考えられる部分まで治療を行っていきます。詰め物やかぶせ物一つ取っても、お口全体のことを考えずに入れてしまうと、また痛みが出たり、詰め物やかぶせ物が外れたりしてしまうかもしれません。包括的歯科医療の考え方はまだまだ浸透していないので、ピンポイントで「この部分を治してほしい」と言う方が多いのですが、当院では包括的歯科医療の必要性を随時、患者さまにご説明しています。
歯科矯正にも注力されていると聞きました。

包括的歯科医療を実践するための選択肢の一つとして、歯科矯正も取り入れています。歯科矯正を通じて噛み合わせの改善を図ることで、顎の関節や奥歯などの症状の緩和が見込めるケースもあるでしょう。ワイヤー矯正は抵抗があるという方が多いので、当院ではマウスピース型装置を用いた矯正のみに対応しています。この方法での改善が難しい場合には、矯正歯科を専門とする先生にご紹介するという流れです。歯科矯正の希望者は30~50代の女性が多く、昨今はさらにそのニーズが増えてきましたので、人員を拡充しつつ対応したいと考えています。今後は、就寝時の歯ぎしり防止を目的としたマウスピースの作製にも取り組んでいきたいです。
誰もがおいしく食事をし、楽しく過ごす手助けがしたい
診療する際に心がけていることを教えてください。

患者さまのお気持ちを大切に、なんでも相談していただける雰囲気を心がけています。大切なのは、皆さまとの信頼関係です。歯科衛生士にも、「お口の中だけでなく、人としての患者さまを見て接してください」と指導しています。それからお忙しい患者さまが多いので、予約時間にきっちり診療を始めることと、予定どおりの時間にしっかり診療を終えることを鉄則としていますね。丁寧に治療することが大前提ですが、予約枠を調整することで、患者さまの待ち時間が延びないよう努力しています。ウェブ予約は開業当時から導入していますし、現在はコミュニケーションアプリでの無料相談や、スマートフォンで受診いただけるオンライン診療も可能です。
お忙しい日々の中、プライベートの時間はどのようにお過ごしですか?
マッサージや温泉に行ったり、ラーメンの食べ歩きをしたりすることが好きです。あとは、開業する1年ほど前から犬を飼っていますので、毎日の犬の散歩も欠かしません。現在、当院は木曜午後と金曜を休日に設定していますが、2021年以前は、定休日が1日だけでした。週休2日制にすることでオンとオフを切り替え、診療のクオリティーアップを図っています。医療を提供する側が健康的な生活を送ることは、継続的な医療の提供にもつながっていくでしょう。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

開業から10年が過ぎましたが、ありがたいことに多くのご予約をいただいており、皆さまから頼りにしていただけるようになりました。私は患者さまに「ありがとう」と言っていただける瞬間が一番うれしく、歯科医師としてのやりがいを覚えます。最近は急激に寒くなったせいか、知覚過敏の症状が出ている方が多いようです。「歯がしみるというだけで、歯科医院に行っていいのかな」と思われるかもしれませんが、どうぞ気軽にご相談ください。虫歯になっていた場合も、早期に発見できれば大きな治療にならずに済みます。痛みが出てからでは遅い場合もありますので、少しでも「違和感があるな、おかしいな」と思われたら、ぜひ受診していただきたいと思います。皆さまがおいしく食事をして、人生を楽しく過ごす手助けが少しでもできれば幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正/部分矯正:22万円〜、全体矯正:66万円〜
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。