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齊藤健太郎 院長の独自取材記事

恵比寿 山の診療所

(渋谷区/恵比寿駅)

最終更新日:2019/08/28

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恵比寿駅西口から歩いて2分、恵比寿神社の近くにある「恵比寿 山の診療所」を訪れた。山のイメージで統一された院内は、木目を基調にしたシンプルな内装の心癒される空間だ。院長である齊藤先生は、日本登山医学学会に所属する登山のプロフェッショナルでもある。誰とでも付き合うことができるボーダレスな性格を生かし、患者一人ひとりの症状にじっくりと向き合っている。院内では内科の診療も行っているため、偏りのない全人的な医療を受けることができる。ライフスタイルにあった治療内容を相談することも可能だ。気さくな雰囲気で語る齊藤院長に、理想とする診察やリハビリについてお話を伺った。
(取材日2011年3月25日)

都心にある、「山の診療所」のようなやさしいクリニック

診療所内はログハウスのような雰囲気ですね。

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うちは「山の診療所」ですので、木などの自然なイメージを大切にしています。ちなみに、クリニックのロゴマークには赤岳のシルエットが入っています。ストレスを多く抱えるこの都心に、山壊に抱かれるようなやさしいクリニックを開設しました。日本のスタンダードな精神科はディフェンシブというか、使用する薬をあまり変えたりはしないなど、新しいことに積極的に取り組む姿勢がなかなか見受けられません。「ことなかれ主義」とも言えますが、そのような風潮とは正反対のスタンスを持っている診療所です。ヨーロッパやアメリカのような雰囲気と言えばわかりやすいでしょうか。患者さんにはよく「今までお世話になった病院とは違う」と言われますが、気に入ってくださる方も多く、通院のために遠方からでも足を運んでくださいます。

先生はよく山登りをされるそうですね。


もともとはスキー部に所属していました。今でもたまに、ワンダーフォーゲルの指導をしています。登山は10年くらい前から始めました。初めて登った山はキリマンジャロです。結構難しい山だと思われる方もいらっしゃるようですが、あの時は「キリマンジャロに登ってみようかな!」くらいの軽い気持ちでチャレンジしていました。雪山はいつもスキーで滑っていましたので、似たようなものだろうと思ったんです。ほかにも世界中を冒険しながら、いろいろな山に登りました。最近は、日本登山医学学会が行っている国際山岳認定医の研修を受けたりもしています。これが結構大変なんですよ。雪山に行った際に凍傷になる人が出たり、ロッククライミングやアイスクライミングをやらされたり……過酷な研修ではありますが、充実した時間を過ごすことができています。

治療的な観点においても、山登りが精神面に大きく作用することがあるようですね。

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頂上まで登った時の達成感はすごく大きなものです。1回でも高所登山を達成すれば、そのショックを体感できますよ。この時に受けるショックは、精神科の治療にある「電気ショック療法」と似ていると思います。薬が発明される以前からある治療法ですが、電気ショックにより脳内物質を活性化させるものです。山に登ることでセロトニンという物質が多く分泌されます。このように、山登りには治療と同じような作用があるということは、日本登山医学学会でも発表されています。当院では今後、リハビリの一環として山登りを導入してみたいと考えています。今年の秋には患者さんと八ヶ岳にチャレンジしてみようかと、計画を立てているところでした。山登りのために日々トレーニングを行うのも良いことですしね。まだまだ構想段階の計画ではありますが、良い結果が期待できそうです。

内科医の視点を生かすことで、全人的な医療の本質に迫る

小さい頃は海外で生活されていたそうですね。

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3歳から小学校2年生の頃までアメリカで過ごしました。アメリカは子どもの教育方針をはじめ、日本とは異なる文化を持っている国です。育った環境のせいなのか、昔からどんな人とでも話すことができます。どんな国の人や宗教の人でも、オタク気質の人やグレてしまっている人とでも、仲良くすることができるんです。よく友達に「ボーダレスな人間」とか言われますね。やることもボーダレスで、臆することなくいろいろなことにチャレンジしています。精神科の医師であるためには、仕事でもプライベートでもたくさんの経験を積むことが大事です。ボーダーや偏見がある人には向いていない職業だと思いますよ。患者さんもいろんなタイプの人を診ていますが、自分のボーダレスな性格と技術を併せながら、良い医療を提供していきたいと考えています。

精神科を志されたきっかけは?


もともと面倒見のいい性格で、周囲の人間の細部まで気に留めるようなところがあります。子どもの頃からそういう一面を持っていました。障害者の面倒をみたりもしていましたね。とにかく「困っている人を助けたい」という気持ちをいつも持っていました。精神科は全人的な医療です。人間の全体を診ることが要求されるため、このような自分の持ち味を生かして仕事ができるのではないかと考えたのです。ただ、医療の基本は内科なので、まずは内科の認定医の資格を取るために勉強し、一度は内科医として臨床診療にも携わりました。その後、昭和大学精神医学教室に入局。精神科医としても研修や臨床診療の経験を積み、当診療所の開設に至りました。

治療のモットーをお聞かせください。

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一人ひとりを細かく診るように心掛けています。治療方法の追及はもちろんのこと、リハビリや身体管理など、普通の精神科医が避けるような部分にも積極的に取り組んでいます。また、精神科医の多くは内科的な部分を診ませんが、治療する上でも薬を処方する上でも、内科の知識は必須だと考えています。内科的な問題の有無など、身体の状態を総合的に把握してからでないと、精神科の治療は行えないはずです。大学病院などの大きな機関では、まず身体的な問題を除外してから精神科の治療に入るところも多いですが、一般的なクリニックでは比較的そこまで手厚くやっているところは少ないです。適切な診断とともに発病予防やリハビリ、再発防止を踏まえた治療を行っています。メンタルヘルスケアから身体的な問題まで、全身をしっかりと見つめながら診療しているところが当クリニックの特徴です。

自分に合った医師に出会うことが、改善への近道

リハビリで山登り……難しそうに思えますが、大丈夫なのでしょうか?

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山登りは最もハードルの低いスポーツで、誰にでもできます。散歩の延長くらいのことだと捉えて大丈夫です。実際、リハビリの登山には誰でも連れて行こうと思っていますから。当院の受付スタッフも、いきなり山に連れて行きました。1キロも走ったことがないような人が、雪山にも登れましたよ。気軽にできることなんです。もちろん、患者さんを連れて行く時はメンタリティの治療に適したガイドに同行してもらう予定です。山は日常とかけ離れた場所なので、地球や宇宙を感じることができます。その点ではとくに冬山がお勧めですね。ゴールデンウィークの残雪期は雪崩も起こりにくいし、暖かいので簡単に登れます。天気さえよければTシャツでも登って行けますから。本当に大丈夫ですよ、治療の方が山登りよりよっぽど大変です(笑)。僕は冒険家でもあるので、リハビリではその辺りの経験も生かしながらやっていきたいと考えています。まずは患者さんに、脱日常的な経験を通してライフスタイルが閉塞的になっていることを気づかせる。それと同時に、閉塞的な日常のなかではどのような心掛けをすれば良いかということもアドバイスしていきたいと思います。リハビリに関してはいろいろ模索している途中ですが、普通の精神科医が考え付かないようなことをやっていくかもしれませんよ。

治療には前向きな姿勢で取り組みたいものですよね。


そうですね。生きていて「辛い」と感じるようなことがあったら、気軽に精神科を訪れてみてください。実は、精神科の病気は改善するものが多いです。ただ、医師の資質によって治療の方法や治り方もまったく変わってしまうものなので、クリニックの選び方には注意が必要です。たとえば、担当の医師とはコミュニケーションが良く取れているかという点。先生に質問ができないとか、一方的に指示されるなど……こういった悩みを抱えてしまう患者さんはたくさんいるようです。コミュニケーションが上手く取れない先生からは、自分に合った治療はのぞめません。そのような場合はクリニックを変えたほうが良いでしょう。

読者のみなさんにメッセージをお願いします。

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当クリニックには高校生から老人まで、幅広い年代の患者さんが訪れます。また、社会的にもさまざまな立場の方がいらっしゃいます。患者を選ぶ先生も多いようですが、僕はボーダレスな性格なので、どのような方でも受け付けています。ぜひ気軽に足を運んでください。治療手段の選択は、患者さんと一緒に考えながら決めるようにしています。ちゃんと納得していただくために、説明に時間をかけることも惜しみません。薬だけに頼らずリハビリや生活の注意点を踏まえたアドバイス、認知行動療法なども導入しながら、多角的な視点で改善を試みています。患者さんが「自由で豊かな生活を送れている」と実感できるようになるまで、誠心誠意手を尽くしていきたいと考えています。また、東日本大震災で被災された方の医療支援を、所属する「日本登山医学会」のメンバーらとともに現地で行っています。今後も継続的に被災地を訪れ、支援活動を行っていく予定です。

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