“磨いてるのに虫歯”はなぜ起きる?
親子ではじめる予防ケア
別部歯科医院
(横浜市港南区/港南台駅)
最終更新日:2025/12/04
- 保険診療
「治療に至らないようにするための予防歯科」を大切に、日頃から患者一人ひとりの将来を見据えたサポートを重視している「別部歯科医院」。虫歯や歯周病のリスクが増える中高年はもちろん、歯が生え始めた子どもたちのケアにも力を入れている。「子どもたちには、まず歯科医院が怖い場所ではないとわかってもらうことが大切です」と話すのは、齋藤孝平院長。虫歯になる前の段階で予防的に受診することによって、歯科医院への抵抗をなくしたいと語る。また、それぞれの食生活や歯の状態、癖などに基づき、リスクや適切な歯磨きの方法などを知ることも重要だという。「親子で受診して、一緒に歯の大切さを知ってもらいたい」と話す齋藤院長に、虫歯を予防するために日常生活でできることや、親子受診のメリットなど詳しく話を聞いた。
(取材日2025年11月20日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qなぜ虫歯になってしまうのでしょうか?
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A
歯に付着した汚れに潜む菌が、虫歯の主な原因です。そのほかにも食生活をはじめとした生活習慣や、歯並びや歯の質、唾液の量といったその人の口腔内の特徴など、さまざまな要因が複合的に関わってきます。そのため、こうしたリスクについて把握できていないと、毎日しっかり歯磨きしていても虫歯になってしまうことがあるのです。特に食事を取るタイミングはとても重要です。食事をすると口の中が酸性に傾くのですが、その頻度が1日に4回以上だと虫歯のリスクが高まるとされています。例えばお子さんの場合、1日3食の他におやつや野菜ジュースを口にすることもあると思いますが、その回数が多いと虫歯になりやすいため注意が必要です。
- Q子どもの受診はいつ頃から考えたほうがいいですか?
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A
早ければ歯が生えてきたら、遅くとも歯が生えそろう2歳から3歳までには、一度受診していただくのがベストかと思います。なぜ早めの受診が大切かというと、虫歯になってからではお子さんが治療や歯科医院に対して「怖い」というイメージを持ってしまう可能性があるからです。虫歯になる前の段階で足を運んでもらうことで、お子さんには歯科医院が怖い場所じゃないことを伝え、「歯をきれいにして、気持ち良くなれる場所なんだ」と感じてもらいたいですね。また、お子さんを持つお父さんお母さん世代は、ちょうど虫歯や歯周病のリスクが高まるタイミングであることから、ぜひお子さんと一緒に受診していただきたいと思います。
- Q親子で受診してもらう際、大切にしていることを教えてください。
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A
お子さんについては、まずは無理に治療を進めるのではなく、歯科医院の雰囲気に慣れてもらう所から始めます。メンテナンスに使う器具や歯ブラシを見せてあげたり、実際に動かしている所を見てもらったりして、わかりやすい説明で興味を持ってもらえるよう働きかけます。この際、先の尖った器具など不安をあおるものは見せません。そして、親御さんが受診している姿をお子さんに見てもらうというのもポイント。大人がメンテナンスを受けている様子から、治療とは異なるということや、定期的に受診する重要性などを学ぶことができるからです。親子での受診を通じて、ご家庭全体の健康意識の向上につなげていければと考えています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1まずは問診からスタート
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一日の食事回数や間食の有無などの食生活を中心に、生活習慣、睡眠、全身疾患、アレルギーの有無、歯科への苦手意識など幅広くヒアリングが行われる。子どもの場合、姿勢や口呼吸、指しゃぶりなどが将来的な歯並びに大きく影響するため、そうした癖がある場合は細かく伝えることも大切だそう。
- 2検査で口腔内の状況を確認
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口腔内スキャナーと必要に応じてエックス線を用いて、歯並びや汚れの状態、噛み合わせ、歯や骨の状態など、肉眼では見えない部分まで立体的に確認。口腔内スキャナーは口の中を小型のカメラで撮影するだけなので、嘔吐反射の強い人や型採りが苦手な子どもでも負担が少ない。撮影した3D画像やAIによる口腔内の分析レポートは、患者のスマートフォンにも共有が可能だという。
- 3検査結果の説明
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検査データをもとに虫歯リスクや原因を、歯科医師や歯科衛生士から説明され、その人に合った予防の取り組み方が提案される。予防歯科は 「親子で愛情をもって口腔内に向き合うことが大切」という同院の考えから、子どもに対しての自宅での声がけ方法やセルフケアのコツ、歯磨き粉の選び方・使い方などについても具体的なアドバイスがされる。
- 4予防歯科の実践
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クリーニングや染め出しを行い、歯磨き指導がされる。歯科衛生士または歯科医師がチェックに入り、磨き残しの傾向や癖をふまえた改善ポイントを伝えてくれる。同院では日常生活で無理なく続けられるよう「その人専用の予防スタイル」を一緒に作っていくことを重視しているそう。特に子どもには、染め出しや写真での比較などを用いて、磨けていない場所が視覚的にもわかるような工夫も。
- 5定期メンテナンスで虫歯を予防
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汚れが付きやすい場合には1ヵ月から3ヵ月に1回、そうでない場合は半年に1回のペースでメンテナンスを受けるのが理想だそう。「歯科医師の9割が磨けていない」と言われるほど、専門家であってもセルフケアだけで完全に汚れを磨き取ることは難しいため、定期的にプロの清掃を受けることが重要となる。クリーニングだけでなく、長くいい状態を保てるように歯の状態の変化や課題を指摘・アドバイスもされる。

