天野 辰哉 院長の独自取材記事
くすのきクリニック
(横浜市港南区/港南台駅)
最終更新日:2024/10/02

横浜市内でも暮らしやすさが人気のエリア、港南台駅の目の前にある「くすのきクリニック」。ここで20年以上にわたり、内科のかかりつけ医として地域の健康に貢献してきた前院長の勇退を経て、2024年4月から天野辰哉院長が新たに継承し、高血圧症・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病から専門性の高い心不全や不整脈などの循環器内科、胃腸炎などの一般内科、インフルエンザなどの感染症による発熱の診療、予防接種や検診まで幅広く対応する。今後は訪問看護や介護にも手を広げ、「より患者さんの人生に寄り添ったトータルのケアができる医療スポットに発展させたい」と理想を語る。そんな天野院長にクリニックの指針や将来のビジョンを聞いた。
(取材日2024年6月7日)
急性期病院での豊富な経験を地域の医療に生かしたい
2024年4月に院長に就任されるまでの天野院長のご経歴を教えてください。

2012年に香川大学医学部を卒業した当初は、小児科に進もうかと考えていました。でも、東京都新宿区にある国立国際医療研究センターで2年ほど研鑽を積んでいる間に、人の生死に直結する診療科である循環器内科の重要性を実感したんです。患者さんの治療の経過を目の当たりにしたことも大きかったですね。私も「自分の手で患者さんを治療する医師になりたい」という気持ちが大きくなり、循環器内科を専門としようと志しました。そこで心臓カテーテル治療を得意としていた新東京病院を勤務先に選び、6年半ほどで、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や、心臓弁膜症、四肢末梢の血管の疾患の診察・治療を経験することができました。しかし、不整脈への対応の経験が足りないと思い、実績のある葉山ハートセンターに移って3年半ほど学びました。一通りの経験を積めたと感じて開業を決意し、そのタイミングでこちらのクリニックを継承したんです。
診察内容が幅広いですが、どういった患者さんが多いですか?
前院長を慕って通ってくださっていた患者さんも多いので、やはり高齢の方が多いです。前院長も優しい方でしたが、そういった患者さんに「今度の先生も優しくて良かった」と言っていただけるのはうれしいですね。その期待を裏切らないように、専門である循環器内科だけではなく、生活習慣病や一般内科も引き続き、しっかりと診察をしていきたいです。高齢者が多いので、傾向としては高血圧症や糖尿病、脂質異常症の生活習慣病の患者さんが比較的多いのですが、胃腸炎や甲状腺の病気などの一般内科も幅広く診療します。私は日本循環器学会循環器専門医の資格を取得する過程で一般内科もしっかり勉強しました。日本内科学会総合内科専門医の資格も持っていますから、安心して受診していただければと思います。
継承開業してから新たに取り組んでいることはありますか?

大きな病院ではないからといって診察を諦めてしまうのではなく、自分たちでできる限りのことはしたいという気持ちから、検査についてはしっかりと行うようにしています。これについてはスタッフとの意識を共有できています。特に、循環器全般については専門の医療機関で経験を積んできた自負もありますから、私自身で超音波検査を行い、適切な評価をして、病気の見落としがないように心がけています。また、発熱患者さんを診療する外来についても前院長が設けていた時間帯と人数の制限をなくして、できる限りの対応をするように努めています。
かかりつけ医として気軽に通えるクリニックづくりを
地域の患者さんに安心してもらうために、心がけていることはありますか?

患者さんのお話をしっかり聞くことです。ご自身の病気へのご理解の仕方は患者さんによってそれぞれですし、医師の視点から見て誤解しているなと思うようなことでも、頭ごなしに否定するのではなく「医学的には、こんな症状のときはこうするのがいいとされていますが、どうしましょうか?」というように、かみ砕いてわかりやすく表現して、患者さんと相談しながら診療を進めていくようにしています。もちろん医学的なガイドラインは大事ですが、それがすなわち患者さんの幸せにつながるとは限りません。できるだけ希望に沿う診療ができたらいいなと思っています。
地域のかかりつけ医としてどんなクリニックでありたいですか? 理想像を聞かせてください。
「こんな相談は先生に怒られてしまうかな」といった心配が無用なクリニックでありたいです。当院では在宅医療にも力を入れていこうと思っているんです。病気さえ治療すれば患者さんが幸せになるわけではないと考えるからこそ取り組みたいと思っています。体調が改善につながったとしても「この先、一人で暮らすのが不安だ」という悩みを抱える患者さんもいらっしゃる。そんな時に「病気とは関係ないから」と切り捨てるのではなく、ご自宅の環境を整えるようなことをお手伝いできる存在でありたいんです。そういったクリニックになるべく、その環境づくりの一貫として、この秋には仲間とともに訪問看護ステーションを港南台に開所予定です。現在、横須賀市で障害者向けのグループホームを運営しているのですが、将来的には横浜市内にもグループホームを開設したいなという希望を持っています。
駅からのアクセスはもちろん、患者さんの通いやすさも意識されているそうですね。

クリニックの強みはなんですか? とよく聞かれるのですが、やはり駅直近のショッピングモール内にあるというアクセスの良さだと思っています。さらに、夜7時まで診療を行っていることも患者さんのメリットの一つになっていたらいいなと思います。会社帰りなど、診察終了の7時ギリギリになって駆け込んでくださる患者さんも多くいらっしゃるんですが、そういった場合も快く診察させていただいています。ウェブやメッセージアプリケーションからも予約が取れるので、若い患者さんも増加の傾向にあります。「ちょっと体調が悪いな」と思ったら、ぜひ気軽に受診していただきたいですね。
患者に安心してもらえる存在でありたい
幅広い診察内容に対応する中で、新しい医療の知識はどのように採り入れていますか?

医師同士のコミュニティーがあるので、そこに参加して勉強しています。例えば港南区には若手医師の集まりがあり、定期的に持ち回りで自身の専門分野について勉強会を開いているんです。先日は過敏性腸症候群の勉強会に参加しました。私自身が、不整脈の心電図の読み方などを他の診療科の医師に指南したりといったことを勉強会で発表することもあります。オンラインでも同様に開業医が持ち回りで勉強会を開くコミュニティーがあるので、そういったところでも自分の専門分野以外の知識を再確認したり、先進の医療を学ぶようにしています。
入院や手術が必要な場合、大きな病院との連携はどのようにしていますか?
港南区の大きな病院としては、当院からほど近い場所に済生会横浜市南部病院があり、また隣の本郷台駅近くには横浜栄共済病院があります。両病院ともに連携先として登録がありますので、患者さんのご希望に沿って紹介しています。また、済生会横浜市南部病院とは、年に4回ほどある勉強会にも今後参加して、さらなる連携を深めていく予定です。そういった面でも、患者さんの不安がないように取り組んでいきたいと思っています。
地域の患者さんへのメッセージをお願いします。

私自身、開業医としては年齢が若いと思うんです。患者さんや周りの開業医にそう言われることもありますから。若いから経験が不足しているのではないかとご不安に思われないような実績を重ねてきたつもりです。勤務医時代は土日も祝日もなく、毎日のように患者さんと向き合ってきました。かなりの数の患者さんを診てきましたし、学びも深めて資格の取得にも邁進しました。「地域の方のために心を尽くして働きたい」という前院長の思いはしっかりと受け継ぎつつ、検査や検診、予防接種など新しい診療内容にも取り組んでいます。また、今後もできることを増やしていく予定です。病気に限らず、ご自身の身の回りのことでお困りのことがあれば、遠慮なく相談してもらえるクリニックをめざしてまいります。ぜひ、お気軽にご来院ください。