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梅川 淳一 病院長の独自取材記事

関東病院

(横浜市磯子区/磯子駅)

最終更新日:2019/11/18

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「医療とは何だろう?」「医療が人に果たすべき役割とは?」医療者であれば、誰もが問いかけ続けるこうした問いに、一定の気づきを与えてくれるのが、横浜市磯子区にある療養型病院「関東病院」だ。2013年に現在の地に199床へ増床移転した同院は、地域の高齢化ニーズに応え、120床の療養病床を完備。質の高いリハビリを担保しながら、地域の受け皿として患者本位の医療を提供し続けている。現在病院長を務める梅川淳一医師は、そんな病院の新築移転に際し、医療の見直しから院内インテリアに至るまでつぶさに関わりを持ってきた。「患者さんも、ご家族も『関東病院にかかって良かった』と思っていただける病院であるべき」と語る梅川病院長は、脳神経外科分野での30年以上に渡るキャリアを通じて、「医療のあるべき姿」を模索してきたという。「人はいつかは必ず死ぬ生きもの。だからこそ、患者さんが望む形の最期をサポートするのも、医療の持つべき役割の一つではないかと思うのです」とも。そんな病院長に病院の特色に加え、命と死、そして医療と人生についてなど、思いの丈を聞いた。(取材日2016年11月14日)

地域の受け皿として患者本位の医療を提供

「関東病院」はどのような病院なのでしょうか?

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もともと高齢で寝たきりの患者さんがほとんどの老人病院でした。急性期病院での治療が完了し、容態が安定したところで移ってこられる患者さんが多い病院ですね。積極的な加療は難しいけれど、本人にとって好ましいケア、すなわち本当の意味での「Best Supported Care」を提供する受け皿として、2013年の新築移転後は療養病床も増床してニーズに応えています。手術などの積極的治療は行われないとなると「手の施しようがなくて見捨てられた」と感じられる患者さんもいらっしゃるようですが、決してそうではありません。われわれが患者さんのためにできることは多くあると感じています。患者さんの生きる意欲に応える医療やリハビリ、そして私たちだからこそできる心のこもったコミュニケーションなどで、患者さんの療養生活を支えていきたいと考えています。

診療方針や院長ならではの医療方針などがあれば教えてください。

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病院のエントランスにもギリシャ哲学者の言葉をラテン語で掲げてありますが、「すべては患者様のために」のひと言に尽きます。日本医療の現状に目をやると、本人の望まない延命治療が患者を苦しめている現実にも気づきます。人間は年をとり死ぬことが当たり前の生き物。しかし、高齢者が食べられなくなると、救急搬送され病院で胃ろうや中心静脈栄養を施されるのが当然なのは、どこか間違っていると感じます。医療教育は単なるスキルにとどまってはならず、すべて「患者様のためになるか」という視点が必要です。医療行為を行うことだけが医療ではなく、不要な医療行為を中止することも医療なら、医療行為を離れて患者さんとお話しすることでその不安を取り除くこともまた大事な医療なのです。「すべては患者様のために」これが現在当院が最も大切にしている理念であり、それを院内にくまなく伝えるのが、院長である私の一番大切な役割であると考えています。

大切な理念を伝えるために、スタッフへはどのような働きかけを?

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まずは医師の意識を変えること。医局内でDNR(蘇生措置拒否)や尊厳死、延命治療について話すランチミーティングも行いました。経験や立場で意識はそれぞれ異なりますが、話す機会を持てたことがまず何より意義のあることと感じています。「患者様のための医療」を行うためには、医療者がその経験を基に丁寧に説明することで、患者さんや家族の方に現状や目の前にある医療の選択肢についてきちんと理解していただくことが必要不可欠です。入院時の病状説明や容体急変時のご家族への話などが少しずつ変わりつつあるようで、医師の意識変革が起こりつつあることを感じています。また、看護師が確たるスタンスを持って患者さんに接することも欠かせない要素です。バイタルの数値さえ戻せばQOLが向上する訳ではないこと、人生の最期をできるだけ穏やかに迎えられるように、患者のためにできることを模索すべきことなどは、折に触れて話すようにしています。

「患者のため」に、すべきことはさまざまですね。

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こうした方針を示して以来、現場でも色々と議論があったようです。答えはひとつではなく、現場は悩むことも多いでしょう。自分の経験を共有し、それぞれが答えを探すヒントになればと思います。また看取りの視点だけでなく、リハビリ分野では熱意あるスタッフが「患者様のために」摂食嚥下に注力し、嚥下困難だった方の回復に結果を出しています。転院前の病院で「食べると肺炎で死んでしまいます」と言われたという方でも、意欲と可能性を持っている方には積極的に働きかけて、中心静脈栄養や胃ろうなどからご自身で食べる形に戻せている方も多いのです。またリハビリは本来の目的は機能回復ですが、癌の患者様のように機能回復が困難でも、その想いをくみ取り努力を支えることで、生きている意味を引き出すことは可能。職種を越えたチームで「患者様のために」できることを模索するのが当院のスタイル。ノウハウが蓄積できたら、積極的に発信もしたいですね。

スタッフ一丸となって取り組んでいらっしゃる様子が伺えますね。

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院内の風通しの良さは当院の自慢です。リニューアル時の設計段階で、「院長室なんていりませんね」と当時の院長に提案したのは、何を隠そう私ですから(笑)。院長も医局で机を並べることで、ドクター同士の人間関係も把握できますし、ちょっとしたコミュニケーションも容易になります。看護師で資格を持っているものが、職員向けのアロマテラピー講座を開いたり、そうしたコミュニケーションは盛んな方だと思います。もちろん、患者さんを楽しませたいという思いも共有していて、クリスマスツリーや七夕のディスプレイや童謡を歌う会といったイベントなども、スタッフの方も楽しんで行っています。入院中はどうしても痛いこと、つらいことばかりになってしまいがちなので、こうした楽しみをご用意することも意外と大切なのではないかと思います。テラピードッグを招いてアニマルテラピーイベントなどもいずれはとアイデアは温めています。

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