松下登院長、松下真美副院長の独自取材記事

湊デンタルオフィス

(大阪市天王寺区／大阪上本町駅)

最終更新日：2025/10/07

大阪上本町駅より徒歩2分、大阪メトロ谷町線谷町九丁目駅より徒歩5分。2022年12月に開院したのが「湊デンタルオフィス」だ。院長を務める松下登先生は、大阪大学歯学部附属病院で、歯の失った部分をかぶせ物や義歯を用いて機能や見た目の回復をめざす補綴治療を専門としてきた。副院長を務める松下真美先生は、大阪大学をはじめ複数の大学病院で、大切な歯を口の中で維持・保存し機能させるため保存治療を専門としてきた。専門性の高い2人の歯科医師に加え、副院長の兄弟である婦人科、外科、眼科それぞれの医師が非常勤として連携し、チーム医療で患者の口腔内と全身の健康を支えている。落ち着いた優しさをまとい丁寧に言葉を紡ぐ登院長と、その場の雰囲気を明るくする人柄が魅力の真美副院長にクリニックや治療への思いを聞いた。

（取材日2023年1月14日）

専門性の高い治療を多くの人が気軽に受けられるように
各診療科の経験豊富な医師と協力して、患者に安心感を
患者にとっての「湊」のような存在をめざして

専門性の高い治療を多くの人が気軽に受けられるように

開業に至った経緯を教えてください。

【登院長】医科の大学病院など大きな病院は、それぞれ専門分野に分かれています。実は歯科も専門分野というのがあり、1人の歯科医師が全部治療するという形態ではなくて、それぞれの専門分野の歯科医師が、各分野に合わせて治療することで理想的で健康的な口の中に仕上がると私は思っています。そして今は人生100年時代といわれており、健康寿命＋5歳伸ばすためには「お口の健康」が鍵だと強く思っています。しかし、大学病院は終わるのが早いですし、土曜もやっていないなど、誰でも通えるわけではありません。多くの方に大学病院と同じような専門性の高い治療を気軽に受けてほしい、そんなクリニックを作りたいと思い開業しました。

開業まで大学病院でずっとお勤めだったのですか？

【真美副院長】患者さんが求めているのはただ優しいだけでなく、確かな知識とそれに裏づけられた技術だと思っています。そのため治療に関してはエビデンスに基づいた治療法を選択し、患者さんに提供するべきだと考えています。そのようなことを大切にしたいと考えていましたので、大学病院であればエビデンスに基づいた治療を習得できると思い大学病院で勤務し、長い時間をかけてしっかり学んできました。現状に満足せず、常にアップデートするために今でも徳島大学にも所属しており定期的に学びに行っています。先進の機器はもちろん素晴らしいのですが、それを最大限に生かす知識・技術を身につけることがより大事だと思います。最適な知識・技術で最適な治療を提供することを大切にしたいですね。

患者ごとの担当医制ではないのですか？

【真美副院長】そうですね。担当医制ではなく「担当分野」制となります。例えば私は、歯の保存を専門に学んできたので、専門ではない矯正治療を行うことはありません。ですから矯正治療は矯正専門の歯科医師に治療を委ねています。そのように各専門分野に合わせた治療を提供したいと考えるようになったのは、私の家族が疑問のある歯科治療をされていたことがきっかけです。多くの患者さんを診療してきて、「疑問のある治療をされていたのは私の家族だけではなかった！」ということに気づき、そのような患者さんを減らすために担当分野制のスタイルとなりました。
【登院長】複数の歯科医師の視点が加わることでより良い治療に昇華させることができると思っています。患者さんには複数の主治医がいると思っていただきたいですね。

各診療科の経験豊富な医師と協力して、患者に安心感を

医師とも協力体制をとっているのはどうしてですか？

【登院長】口内と体は密接につながっていますので、各診療科の医師と協力することが、患者さんにとって最適であると考えていました。最近「マタニティー歯科」ってよく聞かれるようになったと思いますが、一般的には歯科医師が対応しています。ただ、当院でそれを行うのであれば、その患者さんごとにいろいろなリスクがあるでしょうし、患者さんにとっては心配事などもたくさんあるでしょうから、それをきちんと産婦人科の医師と連携を取りながら進めたいと考えました。外科に関してもがん治療と歯科治療は相互に影響し合うので、治療中の合併症リスクを少しでも軽減するために外科の医師と協力体制を取るようにしています。今後はインプラント治療など手術の際に麻酔、鎮静を図る時も医師による麻酔管理を行うつもりですので、患者さんにより安心していただきたいですね。

各科連携をできるのは心強いですね。他にもクリニックの特徴はありますか？

【真美副院長】スタッフには看護師もいますので、例えば治療中で気分が悪くなった等のトラブルの際も安心していただけると思います。それから保育士の資格も持つ歯科衛生士もいますので、お子さんの治療等もお気軽に来てほしいです。私自身子どもがいますので、時間どおりいかないことや、忘れ物してしまうこともあり、いろいろと大変なことが理解できますので、当院に来る時くらいは「忘れ物しても大丈夫ですよ」と言いたいです。そのため、トイレにはおむつも用意しています。ミルクにお湯が必要であれば用意もできます。あとは、土足ではなくスリッパに履き替えてもらっているのですが、お子さんが地面に座ったり、寝転がっても衛生的に問題ないように配慮しています。院内の雰囲気はクリニックというよりは、「大切な方を自宅に招く」ようなアットホームな空間を意識しました。

こちらのクリニックの診療方針を教えてください。

【登院長】歯科は「痛い」とか「楽しくない」といったネガティブなイメージがあると思うので、「おいしい食事が楽しめる」、「自信が持てる」、「健康寿命が伸びる」といったポジティブなものに変えたいです。私たちが一方的に治療するというよりは、「二人三脚で一緒に頑張りましょう」という気持ちで行っています。それは治療計画でも同様で、保険診療なのか、自費診療なのかいろいろ選択肢を提示して、各々の事情に合わせた最適を一緒に考えていきたいです。
【真美副院長】それから患者さんには、「小さなことだから聞けない、怒られるかもしれない」と思われることなく、「わからないから先生に聞こう」と思ってもらえるような歯科医師でいたいと思っています。「聞いてスッキリした」と笑顔で帰ってほしいです。院長も経験豊富な歯科医師であり、とても器用なのですが、その上に落ち着いた優しさがありますので、何でも相談していただきたいです。

患者にとっての「湊」のような存在をめざして

院名の「湊」にはどんな意味が込められているのですか？

【登院長】院名には名前をつけることが多いと思うのですが、航海における、一時的な休息や、次の段階へ進むための準備をする場所、あるいは出会いや交流が生まれる場所となる「湊」をクリニックの名前にしました。船で旅に出ると、食料や物資など必要なものをそろえるために「湊」に立ち寄りますよね。だから患者さんも、何か困り事があればまずここに立ち寄っていただき、それらを解決して船出してほしいと思っています。患者さんにとって「湊デンタルオフィス」が人生の航海における「湊」のようにありたいという思いを込めました。

歯科医師をめざしたのはどうしてですか？

【真美副院長】家族が皆医療関係でしたので、医師や歯科医師になることに迷いはありませんでした。兄妹は医師ですが、私が歯科医師をめざしたのは、母から「あなたは手先がとても器用だから歯科医師がいいかもね」と言われたことがきっかけです。それから私は人と話をするのが大好きなので、コミュニケーションを多くとる歯科医師は天職なのではないかと自分で思っています。明るさが取り柄ですので、患者さんに「今まで歯科は嫌いだったけれど、先生がいるから来ています」と言っていただけたらうれしいです。今も大半の患者さんが病院の時から継続して来てくれています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【登院長】来てくれる患者さんを本当に大事にしたいですね。だからしっかり治療したいし、むやみやたらに多く診ることはできないと思っているので、一人ひとりにしっかり時間をかけたいです。それは今後どれだけ忙しくなっても変わることはありません。
【真美副院長】それからわからない時は、徳島大学やアメリカのテキサス大学の教授など、外の先生にも相談できる環境にあるのでしっかり適切な治療を提案したいと思っています。歯科治療を迷っている方や、先延ばしにしている方は気軽に一度相談いただけたらと思っています。まずは、お話を聞かせてください。解決策は一緒に考えていきましょう。