柿原 由依 院長の独自取材記事
Teeth Me デンタルクリニック
(横浜市都筑区/センター南駅)
最終更新日:2025/09/03

センター南駅直結の医療モール内にある「Teeth Me デンタルクリニック」は、2023年3月に開業した。約2年が経過した現在、長期的なメンテナンスの重要性に共感する患者や、頼れるインプラント治療・審美歯科を探す患者が多く訪れているという。「口腔のトータルマネジメント」を重視する柿原由依院長は、モール内の医科の医師とも連携。口腔内のみならず体全体や精神まで含めた健康のサポートを志す。柿原院長に同院の現在地や展望について聞いた。
(取材日2025年5月13日)
長期的視点に共感する患者が数多く来院
これまでのご経験についてお聞かせください。

私は大学卒業後、千葉県袖ケ浦市の中村歯科医院に勤めました。同院では口腔内全体にわたる治療や、年単位の治療も多く経験しました。また勉強会なども充実した職場で、より良い治療のために技術や設備がアップデートし続けられていました。そういった姿勢から多くを学び、2023年3月に開業したのがこの「Teeth Me デンタルクリニック」です。開業後は10年近く経験を積んだインプラント治療や、得意分野の審美歯科に対応しつつ、虫歯・歯周病の予防や治療、小児歯科、根管治療、入れ歯治療など幅広い診療を提供しています。私が大切にしているのは、口の中全体を診て診断・治療する「全顎的な治療」。それを「お口のトータルマネジメント」と呼んでいます。
「お口のトータルマネジメント」とは、どのような考え方なのでしょうか。
悪くなった部分だけを診るのではなく、お口の中を一つの単位として捉える考え方です。虫歯や歯周病などの治療だけでなく、噛み合わせや顎関節の状態も含めた、口腔全体を見据えた治療を行っています。例えば、歯の痛みや噛み合わせの不具合があると、噛み方に癖がつくことがあります。その場合、筋肉の使い方を補正することで顎関節の負担軽減を図りますが、副次的に全身の不調軽減につながることも期待できると考えています。歯を1本ずつ治療するのではなく、機能的・審美的な面からトータルに治療していく。それは、患者さん自身の大切な歯を一生涯守っていく助けになるはずです。また、口の中全体を診ていくことで、患者さん自身が気づいていない症状が見つかり、早期治療につながりやすいメリットも考えられます。
開業から2年が経過しましたが、どのような患者さんが多く来院されるのでしょうか。

現代社会はSNSで多くの情報を取得できる時代であり、歯に対する知識に関しても意識が高い方が増えています。ただし、自分の習慣を本気で変えたい方や自分の歯の状態を正確に把握している患者さんが増えたわけでは決してありません。そのため、当院では情報の正確性を突合しながら、患者さんご本人の気づきを促し、診療・治療を続けるモチベーションを維持してもらえよう、密なコミュニケーションを心がけています。そうした診療を継続する中で、本気で歯の治療に取り組みたい方が多く来院いただけるクリニックになってきたと思います。
確かに「知識があること」は「治療を続けるモチベーションがある」ということとイコールではないですよね。
はい。私は診療方針として長期的な目線を重要視しています。痛みを一時的に緩和し、日常生活を円滑にするために短期的な処置を行うのは前提です。その上で、患者さんの健康や幸福を増進させるため、効率的なメンテナンスを継続的に提供することを目標にしています。現在、長期的な目線を共有してくれる患者さんが増えたことで、当院のメンテナンス力も向上しています。診療の質に加え、選択肢の幅も広がりました。また、各患者さんに合ったメンテナンス方法をオーダーメイドできるのも強みの一つです。
他分野連携で発展する「口腔のトータルマネジメント」
治療では具体的にどんなことを重視されますか?

専門性の高さと安全性です。例えばインプラント治療なら、より良い予後のために、インプラントとかぶせ物の位置を重視します。それには、歯科用CTによる3D画像をもとに、患者さんに適した治療をシミュレーションした治療計画をつくり、そのとおりの角度・深さで人工歯根を埋め込むシステムが必要です。さらに、歯科麻酔を専門とする歯科医師とともに静脈麻酔を行えば、より患者さんの負担軽減につなげられると考えています。一方、審美歯科では、見た目だけにこだわって不調が出ることのないよう、歯への負担も考えながら行っています。歯周外科では、クリーニングでの除去が難しい歯石やプラークを徹底的に清掃し、必要に応じて前歯部などの歯肉移植も柔軟に検討していけたらと思っています。そして、根管治療ではマイクロスコープによる精密な治療を心がけ、ラバーダムを用いて雑菌の侵入防止につなげていきます。
先生が重視されている事柄は、患者さんにとっても大きな価値ですね。
そう受け止めていただけるとうれしいです。これまで、インプラント治療のために複数の病院に通院されていた方が、最終的に当院で治療を完了できるよう、難易度が高いインプラント治療にも積極的に対応していきたいと思っているんです。例えば、他院で骨を作るための施術をしたものの、骨がなかなかできずにインプラント治療の予定が先延ばしになっているような、そうした難しい状況の患者さんでも、当院ではしっかり噛める状態をめざして治療を進めることが可能です。このほか、審美歯科のセラミックのかぶせ物を作製する場合も、形や色、機能性、安全性に対するトータルなこだわりを大切に、患者さんに満足していただける治療に努めています。
「お口のトータルマネジメント」を実践する中、開業後に新しい気づきはありましたか?

当院はモール内にあるのですが、そこで開院されている他分野の先生たちと連携を深めています。脳外科、整形外科、精神科の先生や理学療法士さんたちと、患者さんの症状について情報交換する機会も増えました。興味深かったのは、精神科に通院されていた患者さんの事例です。その患者さんは体の不調で耳鼻咽喉科や脳外科などを診療したのですが、最後まで原因を特定できませんでした。そこで精神科の先生から、モール内のネットワークを通じて当院に相談を寄せていただきました。結果、歯に原因があることがわかりました。近年では糖尿病と歯の関係は論文でも発表されていますが、口のケアが体のほかの患部だけでなく、精神的なケアにつながるというのは大きな学びでしたね。
患者が希望を失わずに済むよりどころになることが目標
今後は「お口のトータルマネジメント」をどのように発展させていく方針でしょうか。

小児科の先生たちと連携を強化していくことは、今後の目標の一つです。近年、多くの小児歯科医師たちは歯の健康と発達の関係に注目しています。私自身も、口の環境や呼吸の意識の向け方が、健康や脳の発達に少なからず影響を与えているのではないかと考えています。お子さんや妊産婦の患者さんの診療を通じて、歯科という立ち位置から新たなアプローチを模索していきたいですね。なお、大人も噛み合わせによって笑顔が変化したり、顎関節症のリスクの軽減が期待できたりします。理学療法士さんとの連携強化も、「お口のトータルマネジメント」をより発展させていく鍵になると考えています。
今後の展望についても教えてください。
まず、本気で歯のメンテナンスに向き合う健康意識の高い患者さんのニーズに応えられるように、提供するサービスの質を高めると同時に、選択肢の幅を広げていきたいです。また、複数の歯に重度のトラブルを抱え、他院で治療ができずに困っている方に対応できる体制をさらにしっかりと整えていきたいです。そのような患者さんは急患で来院されることが多く、治療に希望を失っている方がほとんどです。私たちは最後の最後まで放棄せず、希望を失ってしまった患者の皆さんから頼っていただける場所であり続けたいと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯は一生もの。ただ手をかけなければ失うこともあります。当院では、皆さんの大事な歯を大切に使っていくための知識を伝え続けていきたいと考えています。そして、皆さんのお口の中を一生涯良い状態で維持していくためのお手伝いをさせてください。病気になってからも治療はできますが、病気になる前にできることもたくさんあります。歯科医院も痛いから通う場所ではなくなってきています。患者の皆さんがお口はもちろん、健康について悩んだときにそばにいるクリニックでありたい、そう思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/44万円~、骨造成/5万円~、セラミックのかぶせ物/4万4千円~