河野 洋二 院長の独自取材記事
こうの呼吸器クリニック
(高松市/仏生山駅)
最終更新日:2023/02/20

琴電琴平線仏生山駅から徒歩10分、門前町の趣を今に残す町中にある「こうの呼吸器クリニック」。県道12号線沿いにあり車でのアクセスも良好だ。院長の河野洋二先生は長年にわたり高松市立みんなの病院に勤務してきたが「地域医療に貢献したい」という思いを胸に2022年10月に開業した。呼吸器内科を専門としながらも、風邪や生活習慣病など近隣住民の多様なニーズに応える医療の提供に努めている。喘息を抱える小学生から、働き盛り世代、高齢者まで幅広く対応している。看護師として同院を支える妻がデザイナーと考案した内装は木目調でやわらかな雰囲気。植物や上品な絵画も配置され患者がリラックスして過ごせるように配慮されている。今後はオンライン診療などにも注力していきたいという院長にクリニックの特徴などについて話を聞いた。
(取材日2022年11月29日)
呼吸器に関する専門的な治療と一般内科の二本柱が強み
まず、開業したきっかけを伺わせてください。

開業を考えて長年勤務した高松市立みんなの病院を退職したのが2022年3月。翌4月にたまたま、この場所で約20年の長きにわたってクリニックを営んでいた先生から「閉院するつもりだが、良かったらここを使わないか」と、誘っていただいたんです。前任の先生は内科、呼吸器科内科、アレルギー科などを標榜していたのですが、そんなクリニックがなくなってしまったら近隣の方も困りますよね。高松市立みんなの病院からも近く、提携しやすそうなのも決め手でした。自宅から通いやすく、子どもの保育園送迎に便利なのも良かった。看護師として手伝ってくれている妻がデザイナーと相談して内装も一新。「かわいくなった」と、若い女性にも好評です。私が植物好きなのでロゴマークもボタニカルな感じで作ってもらい、気に入ってます。車いすトイレを設置するなどバリアフリー化し、大学病院と同レベルのCT検査機器も導入しました。
クリニックの特色について教えてください。
日本呼吸器学会呼吸器専門医が開業する場合「呼吸器内科クリニック」を名乗ることが多いのですが、当院は「呼吸器クリニック」。院名をできるだけ短くわかりやすくしたかったんです。でも、もちろん内科も診ています。やはり、地域の方々のニーズは内科一般が多いですからね。風邪、生活習慣病など内科一般に関して幅広く対応しているので、気軽に来ていただければと思います。一方で、呼吸器内科に関しては専門的な医療を提供しているという二段構えなのが当院の特徴といえるでしょう。CT検査、気管支鏡検査、肺機能検査、肺の検診なども実施しています。今は喘息、睡眠時無呼吸症候群の患者さんが多いですね。小学生から高齢者まで患者層は幅広いです。
開業して発見などはありましたか。

大きな病院は初診料もかかりますし「咳が出る」というだけで来る人はあまりいません。ところが、こうして町のクリニックを開業してみたら「咳で困っている人が、じつはこんなに多かったのか!」というのに驚きました。咳と一口にいってもさまざまな原因があります。風邪、咳喘息などの他にも、アトピー咳嗽(がいそう)というアレルギー性の咳もあるんです。最近では新型コロナウイルス感染症の感染後咳嗽に悩んでいる人もいますね。その他、鼻炎、逆流性食道炎、睡眠時無呼吸症候群でも咳は起きますし、肺がんの可能性もゼロではない。タバコを吸う習慣があり、同年代よりも息切れが著しく、なおかつ咳が長引いているようでしたら、一度受診してみてはいかがでしょうか。
喘息や睡眠時無呼吸症候群に悩む患者にこまやかに対応
現在の専門的医療の柱の一つ、喘息治療ではどのような点を大切にしていますか。

喘息で困っている小学生も多く来院するので、看護師をはじめとしてスタッフ一同、できるだけ丁寧に接するようにしています。喘息は一つの検査で陽性判定できるような疾患ではありません。検査結果だけではなく症状や経過を長い目で観察していく必要があります。吸入薬による治療がカギになりますが、吸入薬は内服薬よりも習慣化するのが難しいというデメリットも。処方して終わりではなく「なぜこの薬が必要か」「どのように使うのか」を、薬局と連携してしっかりと説明するようにしています。結構、使い方を間違えている人もいるんですよ。また、喘息に慣れてしまい週に2〜3回小さい発作があっても放置されているケースも、残念ながらあります。そういった方たちもできるだけ定期的に受診するよう啓発していきたいと思っています。
もう一つの柱、睡眠時無呼吸症候群の治療に関して教えてください。
いびきをかきやすく、昼間に眠気をよく感じる40代以上の人は多かれ少なかれ睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。働き盛り世代の男性がかかりやすいので通院時間も確保しにくいかもしれませんが自宅でできる簡易検査もあるので、できるだけ早めに相談してください。睡眠時に鼻に装着したマスクから気道に空気を送るCPAP治療を主に実施しています。睡眠時無呼吸症候群は自覚もないまま重症という例もあり、そうなると5年以内に脳卒中、心筋梗塞になる可能性が非常に高くなる。軽症でも不整脈、居眠り運転による交通事故などを引き起こすこともあるので注意が必要です。
今後はどのような診療に注力していきたいですか。

現在、オンライン診療のための環境を整えています。やはり、睡眠時無呼吸症候群は若いサラリーマンの方も多いので、仕事の合間でもスマホ一つで受診でき、なおかつ毎月気軽に経過観察できるような体制を整えたいと思っています。新型コロナウイルス感染症の流行下で国が電話診療、オンライン診療を推進しているので、活用できればと思っています。オンライン診療に対応している電子カルテ、オンライン決済の準備も整ったので、間もなく実施する予定です。
呼吸器内科は天職。これからも患者に寄り添いたい
先生がやりがいを感じるのはどんな時ですか。

やはり、病気が快方に向かった患者さんに感謝された瞬間でしょうか。以前、お手紙を頂いた時などは、呼吸器内科を選んで良かったなと思いましたね。じつは父が消化器外科を専門としていて同じ道をなんとなく考えたこともありましたが、呼吸器内科のほうが性分に合ってたなと実感しています。自分では大雑把な性格のつもりなのですが、妻にいわせると「相当細かい」と(笑)。そんなところも、呼吸器内科向きだといえるでしょう。呼吸器内科は喘息、肺気腫など長く付き合っていかなければいいけない病気も少なくありません。これからも、しっかりと患者さん一人ひとりに寄り添っていければと思っています。
先生ご自身の健康維持法、リフレッシュ法などがありましたらお聞かせください。
開業して困ったのが運動不足です。総合病院に勤務していた頃は階段も使ってあちこちの病棟を行ったり来たりしていましたが、ここではほとんど座ったまま。肥満予防のためにも、休日は子どもと一緒に山登りをしています。先日は屋島に登りましたが、日山にもよく行きますね。子どもが生まれる前は休日は妻と2人でサイクリングなどしていましたが、今はもっぱらハイキングです。また、リフレッシュには庭いじりですね。植物が大好きなんですよ。庭にりんご、梨、ぶどうなどを植えていてちょっとした果樹園みたいになっています。
最後に地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

総合病院にいた頃よりも、町のクリニックでは患者さんといろいろな話ができるのをとても楽しく思っています。患者さんがご家族やお知り合いを紹介してくださることも多く、うれしいですね。今でも毎週火曜日は高松市立みんなの病院で外来を担当しているので、専門的な検査や治療をご希望の方はつなげることもできます。一方「猫にひっかかれた」という患者さんの外傷を診た経験もありますので、当院でもどんな些細なお悩みでも問題ありません。誰でも気兼ねなく立ち寄れる町のかかりつけ医として、尽力していきたいと思っています。