自分の歯で噛める喜びをめざす
欠損歯を補うための歯牙移植
道頓堀キムラ歯科クリニック
(大阪市中央区/なんば駅)
最終更新日:2025/05/15


- 自由診療
虫歯(う蝕)や歯周病などで歯を失った時、治療にはさまざまな方法がある。インプラント治療や入れ歯、ブリッジなどが一般的だが、意外と知られていないのが歯牙移植だ。自分の歯を利用して移植する方法で、親和性が良く自然な噛み心地をめざせるという。「いつまでも自分の歯でおいしく食べたいと誰しも思いますよね。歯を失くした時には、歯牙移植も選択肢の一つとして検討してみてほしい」と話すのは「道頓堀キムラ歯科クリニック」の木村沢郎院長。メリットが多い治療方法ではあるものの、一定の適用条件があること、得意とする歯科医師が限られていることもあって、治療を行うクリニックは少ない。また移植手術に対して不安がある人もいるだろう。今回は歯牙移植をはじめ多くの外科処置経験を持つ木村院長に詳しく解説してもらった。
(取材日2025年5月1日)
目次
歯周組織の再生も期待できる歯牙移植。できる限り自分の歯で噛める一生を過ごすためにも検討を
- Q歯牙移植とはどのような治療法か、簡単に教えてください。
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A
▲一人ひとりに寄り添った治療方法提案する
欠損した部分に自分の別の歯を移植する治療法です。歯を失った際の治療にはインプラントや入れ歯、ブリッジなどもありますが、「できるだけ自分の歯で噛むことをめざしたい」と思うのは当然のことです。当院の場合、まずは矯正でその隙間を埋めるよう図ることを検討しますが、時間がかかりますし、うまく適用するケースはまれです。そこで次に検討するのが歯牙移植です。一般的には使用頻度の低い親知らずを使って奥歯の移植をすることが多いですが、ほかの歯で行うこともあります。特に年齢がお若い場合にはまず歯牙移植を行い、インプラントなどの治療を先延ばしにすることで、長期的に歯の保存をめざすことにもつながります。
- Q歯牙移植はどのような方が対象になるのでしょうか?
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A
▲歯を失くした時の選択肢の一つとしての歯牙移植
まずはドナーとなる移植歯があることが重要です。骨の中に深く埋まっている歯も適応になります。また欠損した歯と移植する歯のサイズが適合しなければ移植は難しいといわれています。ですが、当院の場合は必要に応じて根っこを少し削るなど歯が抜けた場所に合わせた形状に加工することにも対応しています。年齢制限はないものの、やはり若い人のほうが早い定着が見込めます。しかし、親知らずや歯茎の状態さえ良ければ40代以上の方でも可能です。糖尿病や骨粗しょう症などの基礎疾患のある人は治療が難しい場合もありますが、歯科医師と医科の主治医の先生で協力して状態をしっかりコントロールすることで治療できるケースも多いですよ。
- Q他の治療と比べて、どんなメリットがあるのか教えてください。
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A
▲マイクロスクープを使用し、より精密な治療を行う
歯牙移植のポイントは、移植歯についている歯根膜ごと移植することです。それにより歯周組織の再生が望め、新たな骨も形成されやすく、うまくいけば天然歯と同じ感覚で噛むことが期待できます。10代で根が未完成な歯であれば神経を残したまま移植できるケースもあるといわれ、インプラント治療にはないメリットです。歯周病に対しても免疫が高いとされ、歯周病で歯を失った方はインプラントよりも歯牙移植のほうが向いているといえます。また費用面での負担が比較的小さい点もメリットといえるでしょう。一方で、デメリットは約2時間と長時間手術が必要になることですが、ほとんどの場合1回の手術で完了します。
- Q実際の治療はどのようなことを行うのでしょうか?
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A
▲長持ちさせるためには通常の歯と同じようなケアが大切
まずは歯科用CTやエックス線撮影、歯周検査、虫歯検査をして、適応条件の診断やドナーとなる移植歯の選定をしていきます。そもそも歯を失った原因を正さなくては、再び歯を失う恐れがありますので歯周病などの治療に時間をかけることも少なくありません。また当院は、手術では最初に移植する前のレプリカ模型を用いて、歯がちょうど適合する大きさに骨を形成します。その後、移植される歯の抜歯を行い、口腔外で根管治療を一度終わらせます。本来は、移植後に根管治療を行いますが、移植と同時に根管治療を行うことで難易度が高い親知らずなどの根管治療の成功率向上が見込めます。その後移植した歯の固定を行い経過を見ていきます。
- Q移植後に注意すべき点はありますか?
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A
▲移植手術に対して不安がある人も気軽に相談してほしいと話す院長
移植した直後は飲酒したり、長時間お風呂に入ったりすると、患部が腫れることがあるので控えましょう。しばらくはグラグラした状態ですので、術後2週間くらいは移植したほうの歯で噛まないように注意することが重要です。2~3ヵ月くらいたてば徐々に定着が望めますので、移植した歯で軽く噛んで食事できることが見込めます。しっかりとした定着につながるには1年ほどかかりますが、その間は半年ごとに歯科用CT撮影をして、骨の形成具合などを定期的にチェックしていきます。また長持ちさせるためには通常の歯と同じようにケアが大切です。3ヵ月に1回のペースで歯科衛生士によるメンテナンスを受け、清潔なお口をめざしましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/43万8000円~、根管治療(初回)/7万円~、精密根管治療(再根管治療)/9万円~、オールセラミック接着カンチレバーブリッジ/27万6000円~