木村 沢郎 院長の独自取材記事
道頓堀キムラ歯科クリニック
(大阪市中央区/なんば駅)
最終更新日:2025/05/20

大阪メトロ御堂筋線なんば駅から徒歩約3分。御堂筋沿いを進み、道頓堀川の手前を左に入った一角に「道頓堀キムラ歯科クリニック」はある。周囲には飲食店が軒を連ね、大阪でも有数の繁華街だ。「この場所で、もともと祖父母が水産物の卸業を営んでおり、その2階で父が歯科医院を開業していたんです」と語るのは、2022年に同院を開業した木村沢郎(きむら・さわお)院長。魚をモチーフにしたロゴマークは、絵を描くのが得意だった父が祖父母のためにデザインしたものを受け継いでいる。歯についての勉強がもはや趣味だという木村院長は、歯を失った際の治療にも精通し、遠方から相談に来る患者も多いという。わかりやすい説明で安心できる歯科医院をめざしている木村院長に力を入れている治療や患者への思いについて語ってもらった。
(取材日2025年3月28日)
もし歯を失ってしまった場合も、最適な選択肢を
この場所で開業した経緯をお聞かせください。

実は最初から歯科医師になるつもりはなく、大学では環境系の勉強をしていました。でも「人のためになる仕事をする」という目標に最も近いのは医療だと気づき、父と同じ道を選びました。遠回りでしたが困っている人を助けたいという気持ちを再確認して選んだ道は、正解だったと思います。大学卒業後は、近畿大学病院歯科口腔外科で研鑽を積み、近畿大学奈良病院の歯科口腔外科に2年間勤務しました。その後、歯科医院に5年間勤め、一般歯科やインプラント治療について深く学びながら、訪問歯科診療の立ち上げや、高齢者の摂食嚥下障害へのアプローチなども経験後に念願のこの場所での開業に至り、2年ほどたったところです。患者さんも増え、地域のかかりつけ歯科としてお役に立てている実感があります。
どのような患者さんが多いですか?
開業当時は近所の方たちが中心でしたが、最近の変化としては、紹介で来られる患者さんが増えたことです。「丁寧に説明してくれる歯科医院を探している」「痛みが少ない治療を受けたい」「できるだけ歯を残したい」といった希望がある方が多いですね。特に、何軒も歯科医院を回ったものの、「抜くしかないと言われた」「納得のいく説明がなかった」と悩んでいる方が、最後に当院にたどり着いたというケースが増えています。遠方から通ってくださる患者さんも多く、例えば、島根県にお住まいで、近くに希望する治療をしてくれる歯科医院がない方から、「月に一度大阪に来るタイミングで通いたい」と言われたこともありました。ご縁が広がることがうれしく、やりがいを感じています。
貴院の強みや診療方針を教えてください。

一般の歯科医院では対応できない難しい親知らずの抜歯などにも対応しています。また、歯を失った後の治療として、できるだけ歯を削らずに済む「オールセラミック接着カンチレバーブリッジ」や、親知らずを活用する「歯の移植」など、対応が難しい治療も提供しています。インターネットで調べて相談に来られる方もいらっしゃいます。治療プランは、できる限り歯を残すことを前提に、患者さんのご希望、ご年齢、歯の状態を総合的に考慮して立てています。そのため、マイクロスコープで撮影した動画を使って丁寧に説明し、各治療法のメリット・デメリットを細かくお伝えすることを大切にしています。この方針は、開業当初から変わりません。
高度な技術と豊富な経験で、難易度の高い治療を提供
患者さんと接する際に、気をつけていることはありますか?

歯科治療では、十分な説明がないまま歯を失ってしまったり、突然インプラントを勧められて戸惑うケースも少なくありません。当院ではそうしたことがないよう、まず患者さんのお話にしっかり耳を傾け、複数の選択肢をわかりやすくご説明することを大切にしています。歯科医療は全身の健康にも関わるため、できる限りご自身の歯を残すことを第一に考えています。やむを得ず抜歯が必要な場合は、まず歯の移植が可能かを検討し、それが難しい場合にはブリッジやインプラントをご提案します。インプラントは最終手段と位置づけ、年齢やライフスタイル、噛み合わせの状態などを踏まえた治療方法をご提案しています。例えば、20代の方には歯を残す治療を優先し、60代の方にはインプラントを含めた選択肢を提示するなど、長期的な視点で治療計画を立てています。
歯を失った時の選択肢の一つとなる「オールセラミック接着カンチレバーブリッジ」について教えてください。
従来のブリッジは両隣の歯を削る必要がありますが、カンチレバーブリッジは片側の歯だけを支えにするため、健康な歯へのダメージを抑えられます。「オールセラミック接着カンチレバーブリッジ」は、隣接する健康な歯の表面にセラミック製の人工歯を接着する方法です。このブリッジは、歯の内側の象牙質を露出することなく、歯の外側のエナメル質のみを削るだけで装着できるので、虫歯になりにくいことがメリットです。適用部位が限られるので慎重な診断が必要ですが、条件が合えば積極的に検討すべき治療法だと考えています。ただもちろん、簡単な治療ではありませんので、取り扱っている歯科医院は珍しいと思います。
その他「歯の移植」という選択肢もあるんですね。

親知らずなどの使われていない自分の歯を移植する「自家歯牙移植」という治療法があります。この治療法の特徴は、天然歯のみが持つ歯根膜の機能を最大限に生かす点にあります。歯根膜の働きには大きく2つあり、1つは力を受け止めるクッションの働き、2つ目は歯周病原菌に対して免疫の働きがあります。移植することで天然歯が持つ歯根膜を生かすことが可能。ただ、歯の移植には高度な技術が必要で移植する歯を傷つけず抜けるか、根管処置をいかに精密に行えるかで予後が大きく変わります。難症例の親知らずの抜歯とマイクロスコープでの根管治療を数多く手がける当院では、移植に対しても適用の幅が広いのが強み。一般的に移植した歯の定着率は40代以降徐々に低下するといわれますが、条件さえ合えば年齢関係なく自家歯牙移植をご提案できるのも、技術に自信があるからです。インプラント治療前の最初の選択肢としてチャレンジしていただけたらと思います。
丁寧な説明で、納得のいく治療計画を一緒に考える
設備についてこだわったところはありますか?

フルHDカメラが内蔵されたマイクロスコープは、肉眼では見つけにくいようなごく小さな虫歯まで確認できるため、患者さんに対してより正確で、納得いただきやすい説明が可能になります。撮影した口腔内写真やレントゲン画像は患者さんのスマートフォンのアプリに転送することで、どこでもご覧になれます。また、日本では成功率が低いといわれている根管治療では、マイクロスコープの他にラバーダムやCTを使用することで、世界基準の治療をめざしています。歯に関する勉強はもはや趣味のようなものです。セミナーなどに積極的に参加し、最新の機器をチェックしては、優れたものを見つけ出しています。出会った中で、より新しく優れたものをピックアップし、患者さんのさまざまな症例に対応できるよう、常に最適な器具をすぐに実践できるよう取り入れています。
「歯の勉強が趣味」とのことですが、休日はどのように過ごされていますか?
休日はスタディーグループの勉強会に参加することが多いですね。幅広い分野において自分が目標とする歯科医師がたくさん参加していて、そういった先生から学んだことを自分の治療に生かしていけるのですごく楽しいです。ただ、家にいる時間が減ってしまうのが悩みの種ですね。子どもが3人いるので、父親としてできるだけ子どもと過ごす時間を大切にするようにしています。家庭菜園をやっていて、野菜嫌いだった子どもが自分で収穫したキュウリは食べられたんですよ。食育の面でも役立っているようです。
読者へメッセージをお願いします。

なんとなく選んだ歯科医院で納得できない治療につながることが多いのではないでしょうか。私たちは、患者さんが納得できる治療を提供し、後悔のない歯科治療を最優先にしています。そのためには、納得のできる説明を行い、患者さんに選択肢を広く提供することが大切だと考えています。当院では、口腔外科や矯正、インプラントなど、治療の範囲が広いため、患者さんには、ご自身に合った治療法を選んでいただけます。信頼できる歯科医院に出会えるかどうかが、歯の健康、ひいては全身の健康寿命にも大きく影響します。特に、抜歯を勧められて迷っている方や歯を失った後の治療について悩んでいる方は、ぜひお気軽にご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/43万8000円~、根管治療(初回)/7万円~、精密根管治療(再根管治療)/9万円~、オールセラミック接着カンチレバーブリッジ/27万6000円~、ワイヤー矯正/78万円~