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福永 惠 院長の独自取材記事

ふくながクリニック

(豊中市/桃山台駅)

最終更新日:2025/03/19

福永惠院長 ふくながクリニック main

豊中市東豊中町。人工透析内科と腎臓内科を標榜する「ふくながクリニック」は、2022年10月にオープンしたばかり。待合室は開放感あふれる吹き抜けの空間が広がり、リラックスできる雰囲気だ。福永惠院長は、慢性腎臓病だけでなく、プライマリケアの診療・総合診療の医師としても、さまざまな経験を積んできた。透析患者は、腎不全の他にもさまざまな疾患を抱えることが多い。全身の疾患にも目を配り、必要に応じて他の医療機関と連携。患者が迅速・適切な医療を受けられるよう努めている。患者との長い付き合いをめざし、「何でも相談できる医師でありたい」と言う福永院長に、診療方針や患者への想いなどを詳しく聞いた。

(取材日2022年11月15日)

腎臓だけでなく全身も診ていく診療を

10月に開業されたばかりということですが、とてもすてきな待合室ですね。

福永惠院長 ふくながクリニック1

透析を行うクリニックは一般のクリニックと違い、患者さんが来院される回数が1ヵ月で13回くらいと多いことが特徴です。少しでもリラックスしていただきたい、温かみも感じていただけたら、という想いがありました。内装は妻が担当しました。インテリアはお褒めの言葉もいただきますが、日本でも人気のある北欧家具の量販店の物が多いんですよ。

人工透析内科と腎臓内科を標榜されています。診療方針について教えてください。

腎臓だけを診るのではなく、プライマリケアの診療・総合診療を専門的に診る視点も大切にすることをモットーとしています。透析患者さんは全国で約35万人いると考えられていますが、3分の2が65歳以上と高齢の方が多いです。腎不全だけでなく、腰や脚、目の不具合や食が進まないなど、いろいろな困り事が増えてきます。そうしたことにも対応し、必要に応じて適切な医療機関を紹介しています。透析患者さんは週3回の来院が一般的なので、かかりつけ医としての責任があると思っています。通院の負担も減らせたら、と送迎も実施しています。実際の透析診療では説明をしっかりして、患者さんの特性や家庭環境なども考慮しながら、できるだけご希望に沿った医療を提供することを心がけています。

医療機器、設備などで工夫していることはありますか?

福永惠院長 ふくながクリニック2

透析室は20床と多くはありませんが、新鋭の透析機器を導入しています。操作性の良さや電子カルテとの連動など、スタッフの負担ができるだけ少なくなるような機器を選択しました。心にゆとりがないと患者さんの対応に影響してしまいます。満足して能力を十分発揮できるような環境を整えることも、経営者として重要と思っています。医師・看護師・臨床工学技士・事務スタッフ・看護助手と、それぞれのスタッフがプロ意識を持ってチーム医療を行うことが大切。協調性はもちろん必要ですが、プロとしての意見もしながら助け合う。最終的には患者さんの満足につながり、できるだけ日常生活に近いかたちで長生きしていただきたいという目的は同じですから。

患者が納得するような医療、チーム医療を大切に

豊富なご経験をお持ちですが、詳しく教えてください。

福永惠院長 ふくながクリニック3

1982年に大阪大学医学部を卒業後、母校と香川医科大学の医学部附属病院に勤務しました。1991年に米国に留学。テネシー州バンダービルト大学の腎臓病学部門研究員として1年2ヵ月過ごした後、ジョージア州エモリー大学へ。腎臓病学部門の研究員の後、教授の誘いで、助手、講師となりました。帰国後は大阪大学に戻り、その後香川大学医学部総合診療部に勤務しました。2005年に市立豊中病院の腎臓内科部長、人工透析部長となり、2014年、豊中市内の透析クリニックで院長を務めた後、開業しました。

2つの大学に留学されたのですね。

計5年近く留学しましたが、何よりも多くの友人ができたのが一番ですね。留学先には日本人も多く、帰国後も研究など人とのつながりで助けてもらい、勉強に励むことができましたし、今もお付き合いが続いています。豊中で診療するようになってからは医師会や近隣の先生方にいろいろ教えていただきました。私の年代ですと偉くなった先生も大勢いますが、ワンマンやカリスマは好きではなく……。「皆で仲良く」が好きで、チーム医療っていいなと改めて感じています。

日々の診療で患者さんと接する時、大切にしていることはありますか?

福永惠院長 ふくながクリニック4

しっかりお話に耳を傾けて、共感したり、的確にわかりやすく説明し、納得してもらって診療することですね。当院には以前の勤務先から引き続き10数年いらっしゃっている患者さんや、市内の神経内科からの紹介でいらした患者さんなどさまざまな方が来院されますが、慢性疾患を持つ方も多いです。他に疾患を抱えていても、「元気で長生き」を目標に。若い患者さんでは、結婚・出産・育児・仕事の継続などがかなえられるよう、望んだ生活が維持できるよう努めていく。他の透析医療機関では40年、50年と通院を続ける透析患者さんがいるという話も聞きます。患者さんに長く寄り添っていくのですから、上から目線でなく、お話ししやすいような雰囲気づくりも大切にし、より良い提案をしていくことに努めています。

腎臓内科を専門に選んだのはなぜですか?

母校の大阪大学医学部は当時、第一内科が心臓・腎臓・脳卒中と高血圧の循環器系と、糖尿病と消化器グループの代謝系に分かれていました。心臓や脳卒中の疾患は、「一刻も早く!」が勝負、ということがあります。そうではなく、時間をかけて論理的に、全体を診ながら考えを組み立てていくほうが自分に合っていると思い、腎臓内科を選びました。両親はどちらも普通の会社員で、私の想いを尊重してくれました。

「検尿から移植まで」をスローガンに、患者に寄り添う

この地に開業したのはなぜですか?

福永惠院長 ふくながクリニック5

実は開業したいという想いはあまりなかったんです。息子と妻が背中を押してくれたという感じですね。息子は現在医学生で、将来継いでくれるというので決断しました。豊中には両親が住んでいましたし、大阪大学豊中キャンパスにも通っていたので昔から縁があります。高齢者が多い地域ですが、全国的に見ても腎硬化症が増えています。加齢や高血圧などの影響もあると思いますが、潜在的に腎機能が悪い方が多いと感じます。50歳を過ぎると臓器は機能低下を起こしてくるものです。腎機能の低下は心血管疾患の加速因子ともいわれており、早期に適切な対応をすることが大切です。近隣には多くの基幹病院があり、循環器的な病気の治療を迅速に行える医療機関も多く、早期発見・早期対応も可能な地域といえます。

休日の過ごし方やご自身の健康法について教えていただけますか?

健康法は特にないですね。もともと小食で暴飲暴食もしないからか、留学中にアウトレットで買った服もいまだに着ていたりしますよ。長く使っているお気に入りのものを大切にするのが好きですね。中学生の時から使ってきたカメラもまだ現役ですし、オーディオ機器もまた修理して使いたいと思っています。

今後の展望についてお聞かせください。

福永惠院長 ふくながクリニック6

将来は息子が継ぐことになるので、まずは無事に継承できるようにすることですね。また、これからも基幹病院はもちろん、地域の開業医の先生方と密接な連携を図り、患者さんが迅速かつ適切な診療が受けられるよう努めていきたいです。腎臓は複雑な臓器。課題は再生医療に行きつきます。IPS細胞から作られた腎臓の移植が可能になれば状況は大きく変わると思っています。薬もさまざま出ていますが、日本は移植医療の分野で先進国に後れをとっていると感じており、腎不全に対する適切な治療法としての再生医療の進歩が望まれます。私もその研究に関心を持っていましたが、最終的に開業医の道へ進みました。素晴らしい研究をしている友人が数多くいるので期待したいです。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

腎臓を専門に診れる医師は少なく、開業医ではなおさらだと思います。患者さんが困らないよう病状をきちんと評価し、治療を行っていきたいです。また、腎臓だけでなく高血圧、プライマリケアが専門でもあるので、他に既往症を持つ方も気軽にご相談ください。白内障手術が必要になれば外来で日帰り手術ができる先生を、通所リハビリがつらければ訪問リハビリができるところをと、信頼できる多くの紹介先があります。症状がなくても進んでしまうのが慢性腎臓病のやっかいなところ。病気がわかるきっかけは比較的若い方なら検尿、中高年層では健診が多いです。「検尿から移植まで」をスローガンに、患者さんの人生の全体像を見ながら治療し、長いお付き合いができるよう、これからも努力していきます。

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