河津 嘉孝 院長の独自取材記事
かわつ歯科医院
(米子市/東山公園駅)
最終更新日:2022/11/10
2022年5月、米子市上福原に「かわつ歯科医院」が新たに開業した。のどかな田畑や住宅街が広がる道路沿いに位置する同院は、白を基調にした外観と大きな窓が印象的で、まるでおしゃれなサロンのような空間だ。そんな同院で歯科医療を提供するのは、米子市で生まれ育ち、同院からも近い福生東小学校、福生中学校を卒業した院長の河津嘉孝(よしたか)先生。河津院長は、歯学部への進学とともに故郷を離れ、九州山口などで研鑽を積んできた人物で、豊富な経験の中で重視するのは「予防を重視した歯科治療」だ。「たくさんの思い出が詰まったこの地へ、歯科医療で貢献することにより恩返ししていきたい」と話す河津院長に、診療のコンセプトや歯科医院のこだわりなど、語ってもらった。
(取材日2022年9月21日)
これまで培った経験を生まれ育った地域に還元したい
歯学部進学に興味を持ったきっかけを教えてください。
一番最初のきっかけは、実は「野球」なんです。私は子どもの頃から野球少年で、小・中・高校を通して野球部に所属していました。そして、進路を考える際にいろいろな大学を検索する中で、たまたま歯学部だけの野球大会があることを知りました。「歯学部だけの野球大会なら日本一になれるのでは」と思ったわけです(笑)。そうした思いがきっかけでしたが、歯学部について本屋などで調べるにつれて学問そのものに興味が湧くように。「スポーツする上で噛み合わせも大切なんだ」と知ったりと、そこには今まで考えもしなかった新たな気づきがあふれていました。実際にマウスピースを作って、野球をプレーするときに試したりもしましたね。知れば知るほどに「歯はこんなに奥が深いのか!」と、歯そのものに夢中になって「歯についてもっと知りたい」「また解明されていないことを研究してみたい」という思いを持ち、徳島大学歯学部へ進みました。
最初は研究職にご興味があったそうですが、臨床医になったのはなぜですか?
補綴治療を通じて、失ったものを回復させることの醍醐味を感じたからです。きっかけは歯学部6年生の実習でした。実習の中で、実際の患者さんへの入れ歯や詰め物・かぶせ物といった補綴の治療を経験させていただき、歯や口はもちろんですが、欠損の形も一人ひとり違う点に奥深さを感じました。一人ひとりに合う補綴を作り入れること、そして治療によって患者さんのQOL(生活の質)が向上していくことに、やりがいを感じました。その経験から大学の研究職ではなく、臨床の歯科医師へ進むことを決め、九州大学病院にて口腔総合診療科の医局に入りました。
先生は根管治療のご経験も豊富だとお聞きしました。
最初に勤務した山口県宇部市の石川歯科医院で、マイクロスコープを使った根管治療に出合ったことがきっかけですね。根管治療で歯の根っこの部分を徹底的に掃除し無菌状態にしてあげることで、将来の歯の喪失を防ぎ、多くの歯を救うことにつながると知り、「補う技術も素晴らしいが、できれば失う前に予防したい」と考えるようになりました。その後、山陰に帰ってくることをきっかけに、出雲市にあるみやまつ歯科クリニックに勤務しました。そこの院長は口腔外科のエキスパートでいらっしゃるので、院長のもとで外科的な知見を学ぶことができました。糖尿病をはじめとした投薬中の患者さんの内科との連携といった全身管理の部分についても学ばせていただき、ここでも多くの経験をさせていただきました。そして、これまで培った歯科医療の経験を生まれ育ったこの地に還元し、地域に恩返しができればと、5月に開業しました。
予防を重視した、再発の少ない精密な歯科治療をめざす
貴院のコンセプトをお聞かせください。
当院は予防を重視したクリニックです。まずは、ご自分の口の中の状態をしっかりと確認していただいてから、治療に取りかかることを大切にしています。そして、そもそも治療へとつながってしまわないように、しっかりと予防をしていくことを理想としています。また、もし治療になったとしても、再発しないような治療を提供することを心がけています。コンセプトに予防治療を掲げるにあたって、根管治療と歯周病治療の2つは重要な土台です。当院では、まず最初にしっかりと検査をし、目に見えるかたちで現状を確認していただくことを大切にしています。やはり患者さんは何をされているかわからないと不安になりますし、治療へのモチベーションも上がらないと思います。ですので、今のお口の中の状態や、この後どう治療を進めていくのかなど、丁寧にご説明していきたいと思っています。
建物や設備はどんな点にこだわりましたか?
まず、こだわったのは駐車場の止めやすさです。小さなお子さん連れの方も車のドアを大きく開けやすいように、ゆったりとスペースを取りました。また、院内はバリアフリー設計になっており、土足のまま入室できます。靴の脱ぎ履きは子ども連れの方もご高齢の方も大変ですし、車いすやベビーカーもそのまま入れるように、院内はゆったりと広い造りにしました。また、キッズルームも広めに取り、そこから診察室に行ける動線もつくっています。また、設備面では、根管治療に不可欠と考えているマイクロスコープと歯科用CTをはじめ、先進の機器をそろえるようにしました。また、クラスBレべルの減菌対策を行っているほか、ユニットから出る水を除菌する装置をつける、口腔外バキュームを各席ごとに1台ずつ設置するなど、感染症対策にもこだわっていますね。
歯周病治療にも注力されているのはなぜでしょうか?
歯周病は進行すると歯の骨を溶かしてしまうリスクのある病気です。虫歯を治しても、どんなにいいかぶせ物をしても、根管治療をしっかりとしても、歯を支える骨がなくなるとどうにもなりません。また歯周病は、糖尿病や血管系の病気、認知症などにも関与してきます。特に歯周病にかかりやすくなる40代以降の方には、歯周病ケアをしっかりとしていただきたいですね。当院の歯周病ケアは、まずは患者さんにご自分の歯周ポケットの状態をしっかりと確認していただくところから始めます。そして、見えている部分だけではなく、歯茎の奥深くの部分の歯石までもしっかりケアします。一般的な歯周病ケアより時間は少しかかりますので、患者さんにはしっかりと説明することを歯科衛生士も含め共通認識としています。
予防の原点は乳児から。大人から子どもまで幅広く対応
小児矯正にも注力されているのですね。
7歳8歳くらいの前歯が生え替わるタイミングから矯正を始めると、永久歯を抜くことなく、比較的負担なく歯並びを整えることが期待できます。当院では、夜寝るときに装着する治療システムを導入しています。舌の位置や口周りの筋肉の状態などを適切な状態に導くことで、口腔機能を向上させるための治療方法で、歯や口の正しい成長を促すことで歯並びを整えていくことをめざします。こうした予防歯科と組み合わせた小児期からの矯正のアプローチで、幼い頃から口内環境を整えてあげることで「生涯にわたってトラブルの少ない、丈夫な歯を育みたい」と思っています。また、歯科とは少し離れますが、私は「足に合ったサイズの靴を履くこと」も重要視しています。足は体の土台。足の歪みは姿勢、ひいては噛み合わせにも影響を及ぼすことも考えられるためです。健康なお口・歯を保つための「口育」「足育」を勧めていきたいですね。
お子さんの健康の歯のために、他にアドバイスはございますか?
3歳の歯の健康や、食生活の大切さを知ってほしいですね。3歳まで虫歯がなければ、その後も虫歯にならない確率が高くなるといわれています。その理由の一つは、幼い頃の食生活がその子の味覚の形成につながるとされているため。3歳までは、チョコレートや飴、ジュースといった甘いおやつはあまり与えないようにしてあげてほしいです。小さなうちに、甘い物や間食へのコントロールができていれば、自然と「虫歯になりにくい状態」にしていけると思っています。
今後の展望や読者の方へメッセージをお願いします。
開院から3ヵ月ほどたちましたが、ケアを目的に再来院くださる患者さんが増えてきました。これからも地域の皆さまの歯の健康を促進させるために、予防やメンテナンスの価値を伝えていけるような存在でありたいと思っています。そのために、治療についての丁寧なご説明やこまめなお声がけを大切に考え、安心して通っていただけるような歯科医院にしていきたいです。お口を通じて全身の健康につながる歯科治療を提供していけたらと思っています。