小泉 和彦 院長の独自取材記事
小泉クリニック
(横浜市保土ケ谷区/星川駅)
最終更新日:2024/08/27
再開発で駅ビルや駅周辺の道路、施設が一変し、より暮らしに便利になった相鉄本線の星川駅から徒歩3分。ビル1階にある「小泉クリニック」は、この地域で60年以上続く地域密着のクリニックだ。内科全般の診療に加え、消化器内科やアレルギー科も標榜する同院の小泉和彦院長は「気軽に受診できるクリニックで、私が大学病院などで培った知見を生かした検査や治療を行うのが当院の目標です」と話す。「風邪や腹痛など一般的な症状から、胃がんや大腸がん、肝臓の病気の早期発見などで地域の皆さんの健康に役立ちたいと思っています」。そのために多機能な超音波検査装置、精細な画像が得られる内視鏡などを設置。同院の診療や検査の特徴、地域医療への思いなどを小泉院長に聞いた。
(取材日2024年7月24日)
内科全般に加え胃がんや大腸がんの早期発見に尽力
こちらは60年以上続くクリニックだそうですね。
ええ、相鉄本線星川駅のすぐ近くで父が小泉医院を開業したのが1955年頃で、主に内科と呼吸器を診ていました。その後、私が1997年に継いで「小泉クリニック」と改称し、現在は内科、消化器内科、循環器内科、アレルギー科などを専門にしています。風邪や腹痛など内科全般の診療に加えて、私が大学病院やその関連病院で得た知見を、気軽に受診できる街中のクリニックで生かしたいと考え、超音波検査装置や上部消化管・下部消化管内視鏡などの設備を充実させているのが特徴です。また、消化器の中でも特に肝臓は大学病院で専門的に診療・研究した分野で、近年増えている脂肪肝の正確な診断にも努めています。さらに自身の専門性を磨くため、日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医を取得しました。
超音波検査装置や内視鏡にはどんな特徴がありますか?
超音波検査装置は、肝臓などの消化器、心臓、首の部分の甲状腺や頸動脈の検査のほか、当院の装置なら心臓弁膜症などの検査が可能で、脂肪肝などの進み具合を簡易的に調べられます。患者さんの体を傷つけず手軽に調べられるのは大きなメリットで、特に肝臓は針を刺して検査する必要があるため、その前段階の検査として非常に有用だと思います。内視鏡は昨年に機種を更新し、以前の内視鏡よりも一層明るく鮮明な映像が得られるようになりました。鼻から入れる検査用ファイバーは太さ5mmほどですが、検査に十分な映像が映せますね。口から入れる検査用ファイバーは映像の拡大や特殊な光で病変を見つけやすくする機能もあり、どちらも検査精度の向上が期待できます。
循環器やアレルギーも専門にされているのですね。
地域に根差したクリニックとして、患者さんを広く診ていく中で必要と考えています。循環器は大学卒業後に東京女子医科大学循環器内科で研修を受けた経験もあり、高齢になると心臓の病気になる患者さんも多いので、超音波検査で早期発見をめざしています。特に不整脈の一種である心房細動が血液中に血栓をつくり、脳梗塞や心筋梗塞を起こすケースも考えられるため要注意です。また、アレルギーは当院で診療を始めた後、アレルギーに悩む患者さんの多さから横浜市立大学医学部でアレルギー専門医を取得しました。成人の気管支喘息の方などを診るほか、ダニアレルギー性鼻炎、スギ花粉症の患者さんに対する舌下免疫療法も行っています。
痛みに配慮して内視鏡検査を定期的に受けやすく
胃がんや大腸がんなどにはどう対処されていますか?
ヘリコバクター・ピロリ、いわゆるピロリ菌による胃の炎症が胃がんのリスクを高めることがわかっているため、当院ではピロリ菌の検査と除去を積極的に行っています。ただ、ピロリ菌に感染した方は未感染の方に比べると胃がんのリスクは依然として高いとされ、当院では除去後も年1回のペースで内視鏡による定期検査をお勧めしています。大腸がんは便潜血検査が一般的ですが、陽性判定後2回目の便を検査した結果が出血なしとなると、「治療の必要性がない」と勘違いして内視鏡検査を受けない方も多いようです。しかし、陰性でも出血の原因になった大腸ポリープはなくなるわけではありません。必ず内視鏡検査で確認していただくことが大切です。
ただ、内視鏡検査は痛みなどで敬遠する方もいます。
当院では食道や胃などの上部消化管内視鏡で、口からの高精細拡大ファイバーと、太さ5mmほどの検査用ファイバーを鼻から挿入して喉の嘔吐反射の軽減を図る経鼻内視鏡を選んでいただけます。また、大腸を含む下部消化管内視鏡検査の場合、患者さんが痛みを感じにくくするために炭酸ガスを使用し、鎮静剤も使用しています。大腸がんは日本人に増えているがんで、死亡数も多い一方、早期発見なら治療が可能な確率が高いのですから、より多くの方に定期的に検査を受けていただきたいですね。がんは基本的に胃や大腸の粘膜に発症し、次第に根が深くなって進行していきます。粘膜やその下層にとどまっている段階で見つかれば、内視鏡によるポリープ切除も図れますから、当院では明るく精細な内視鏡の映像と粘膜の病変を見やすくするための特殊な光も用いて、早期発見に努めています。
先生が専門とされる肝臓にはどんな病気がありますか?
肝臓に脂肪がたまりすぎた脂肪肝の患者さんが増えています。これまではアルコールによる脂肪肝が中心だったのですが、最近は生活習慣病などアルコール以外の原因で脂肪肝になる方が多いとされ、「お酒を飲まないから大丈夫」ではありません。脂肪肝は初期は痛みなどの自覚症状はなく、進行すると肝硬変や肝細胞がんになりやすいといわれ、動脈硬化や脳梗塞などのリスクも高めてしまいます。当院は超音波検査で肝臓の状態を確認し、肝臓の硬さを調べるためのエラストグラフィを用いるなど、肝臓を詳しくチェックして脂肪肝の発見につなげています。がんのリスクや肝機能障害など少しでも気になることがあれば、気軽に来院していただきたいです。
患者の話をよく聞き、わかりやすい説明を心がける
医師をめざされたきっかけやご経歴をご紹介いただけますか。
父が小泉医院を開業した後は、なんとなく「自分が継ぐのだろう」と感じ、医学部進学を決めたのは早かったですね。東京医科歯科大学卒業後は、父が心臓を患って入院していた縁で東京女子医科大学の循環器内科で研修を受け、その後に母校の第二内科に入局。さまざまな分野を内包する第二内科の中で消化器グループを選び、さらに肝臓を専門的に学びました。ちょうどC型肝炎の治療にインターフェロンが用いられるなど治療法が目覚ましく進歩した時期で、非常に魅力的な分野だと感じたからです。臨床では大学病院のほか地域や規模が異なる関連病院をいくつも回り、消化器の専門的な治療から内科全般の幅広い治療まで経験できたのは、今の診療にとても役立っています。ただ、私が当院を継いだのは父が亡くなった2年後で、直接教えてもらう機会がなかったのが残念に思います。
診療される際の心がけをお聞かせください。
数あるクリニックの中で当院を選んでいただいたのですから、患者さんの話をよく聞き、納得していただけるよう丁寧な説明を心がけています。インターネットの情報は、非常に詳しいサイトやバイアスがかかった書き方をするサイトなど玉石混交ですから、私は医学的根拠に基づく適切な知識の提供を重視しています。私の専門ではない分野のご質問をいただいた時も、専門ではないからと断らず、「調べて今度回答します」と正直に話して情報の提供をお伝えしています。新型コロナウイルス感染症が広まった時期には、クリニックとして発熱の外来を設けたほかに、当院のホームページからリンクしたブログに新型コロナウイルス感染症に関する情報を掲載していました。多くの英語の論文を読んで、皆さんが知りたいと思われる情報を図表を加えてわかりやすく紹介することで、少しでも安心していただければと考えたからです。
最後に地域にお住まいの方にメッセージをお願いします。
高血圧症の治療で通院している中で、医師に勧められて内視鏡検査をしたら大腸ポリープが見つかったケースなどは、いわば「一病息災」ともいえ、普段からクリニックに通っていることが病気の予防につながるかもしれません。もちろん病気のない方も、定期的に内視鏡検査を受けることはがんなどの病気の早期発見に役立ちます。当院は相鉄本線星川駅すぐの通いやすい場所にあり、検査機器も充実していますから、気軽に検査を受けていただければと思います。