内視鏡検査はなぜ必要?
未来のがんを予防するための最初の一歩
宇都宮消化器・内視鏡内科クリニック
(宇都宮市/宇都宮駅)
最終更新日:2025/03/13


- 保険診療
内視鏡検査によって早期診断と治療が可能になった今でも、大腸がんは日本人の死因で高い割合を占めるといわれており、女性ではがんによる死因の中で大腸がんが第1位だという。消化器内科、特に内視鏡分野を専門として研鑽を積んできた「宇都宮消化器・内視鏡内科クリニック」の土田幸平理事長は、内視鏡検査へのハードルの高さから検査を敬遠する人が依然として多く、それががんの発見の遅れにつながることが理由の一つだと語る。内視鏡検査へのハードルを上げる理由は検査中の苦痛や忙しさ、大腸内視鏡の場合は恥ずかしさなどが挙げられるが、同院はさまざまな工夫を凝らすことで、疾患の発見率も重視しつつ、患者が安心して内視鏡検査を受けられる環境づくりに注力している。今回は理事長に、内視鏡検査の詳細や一度は受けることの重要性を聞いた。
(取材日2025年2月27日)
目次
苦痛や恥ずかしさ、働く世代の忙しさなど、検査へのハードルを上げる理由を減らした環境で患者を迎える
- Qまずはこちらの内視鏡検査の特徴を教えてください。
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A
▲同院はスタッフとのチームワークも抜群
内視鏡検査に苦手意識がある方も検査を受けていただきやすいよう、鎮静剤を用いた検査を採用しています。眠ったような状態で検査を受けられることが望め、検査時の苦痛緩和に努めています。現在在籍する医師全員が日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医ですから、医師の経験が豊富なことも当院の強みです。忙しい働き世代の方はどうしても検査を避けがちなので、平日に加え土日も検査を実施しており、ウェブで24時間予約が可能です。大腸内視鏡検査中に腺腫(ポリープ)が発見された場合はその場で切除することができますし、ほかに異常が見つかれば必要に応じて、獨協医科大学病院をはじめとする地域の基幹病院へ速やかな紹介が可能です。
- Q内視鏡検査の設備にもこだわっているそうですね。
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A
▲患者に寄り添い、負担の少ない内視鏡検査を心がける
苦痛が少ないことにのみこだわるだけでなく、診断精度も重視しています。検査の目的は、がんなどの疾患を見逃さずに発見することですから。診断精度には内視鏡の画質も大きく影響するため、先端の内視鏡設備を導入し、検査時にブルーライトを使用することで病変の視認性向上を図っています。また、大腸がんの前兆である腺腫の発見率(ADR)を医師ごとに管理しています。腺腫というと、わかりやすく出っ張っているイメージがあるかもしれませんが、中にはまるでカメレオンのように周りと一体化したものもあるのです。これを見逃すと将来的にがんになるリスクが高まりますので、機器の精度と医師の目で発見率向上に尽力しています。
- Qどんな症状があれば内視鏡検査を検討したほうがいいですか?
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A
▲男女別の準備室と専用トイレも備える
胃の内視鏡については、胃の痛み、吐き気、胃もたれ、げっぷ、体重減少などがある方は早急に検査を検討したほうがいいと思います。大腸内視鏡については、血便があった方にはできるだけ早く検査を受けていただきたいです。血便がなくても、おなかの張りを感じたり、急に便秘が続くようになったりという異変を感じた場合も検査を検討すべきでしょう。当院は内視鏡検査だけでなく、消化器や肝臓、循環器についてもそれぞれに特化した外来を開設しています。おなかの不調があるが内視鏡検査が必要かわからないという方は、まずは外来で医師に症状を伝えた上で、内視鏡検査が必要かどうかを相談するのがいいと思います。
- Q内視鏡検査を受ける頻度について伺います。
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A
▲トイレは男性用、女性用、多目的用を設置
内視鏡検査は毎年必要なものではなく、ピロリ菌感染があって胃がんリスクが非常に高い人などを除けば、3年に1度くらいで問題ありません。ただし、今まで一度も検査を受けたことがない人には、ぜひ一度検査を検討していただきたいと思っています。一度も検査を受けていないということは、自分の体の中がどんな状態でどんなリスクがあるかを把握できていないということです。特に大腸がんには腺腫という前がん病変がありますので、腺腫のうちに切除しておくことで、将来的にがんによる死亡率の大幅な低下が望めます。40歳を過ぎて内視鏡検査を受けたことがない方は、がん予防という観点でも一度受けておくと安心ではないでしょうか。
- Q女性の中には大腸内視鏡に抵抗がある人も多いと思います。
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A
▲広々としたリカバリールーム
当院には女性医師が在籍しており、スタッフも全員女性ですので気兼ねなく受けていただけると思います。大腸内視鏡検査の際に院内で下剤を飲んでいただくこともできるのですか、下剤を飲む部屋は男女で分かれており、トイレも患者さん専用でほかの人と共用することはありません。女性ではがんによる死因の中で大腸がんが第1位といわれていますが、その原因は、女性は内視鏡検査に対する抵抗感が強く検査を受けていないからだと考えています。早期に発見すれば、大腸がんの死亡率低減にもつながりますからね。私たちクリニックに求められるのは「この環境だったら受けてもいい」と思ってだける内視鏡検査を提供することだと思っています。