めざすは口腔筋の育成と悪癖改善
小児矯正のMFTと咬合誘導
藤崎かねこ歯科クリニック
(福岡市早良区/藤崎駅)
最終更新日:2025/03/14


- 自由診療
マウスピース型の装置を用いた矯正の普及により、より身近になった歯列矯正。ただ、大人になって初めて矯正をした人の中には、歯が並ぶスペースを確保するため、抜歯を余儀なくされたという人もいるだろう。しかし、小児のうちに顎の成長を促すトレーニングや矯正を行うことで、将来的な抜歯リスクを大きく下げることが期待できるという。そのトレーニングが、口腔筋機能療法(MFT)やマウスピース型装置を用いた咬合誘導だ。口周りの筋肉を鍛え、口呼吸や指しゃぶりといった歯列の悪化につながる口腔習癖の改善を図り、歯が並ぶための環境を整えていく。口呼吸は歯列だけでなく、前身の健康にも重要な要素となっているそう。そこでMFTや咬合育成に積極的に取り組んでいる「藤崎かねこ歯科クリニック」の金子宗嗣院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2025年1月31日)
目次
子どもでも取り組みやすいトレーニングで将来の口腔環境を整えることをめざす
- Qこちらのクリニックの小児矯正の特徴について教えてください。
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A
▲成長発育を考えた小児歯科
矯正治療というと、ワイヤーを使って歯列を整えるというイメージがあるかと思いますが、当院の小児矯正では最初のアプローチとして、顎や口周りの筋肉を鍛えて成長を促していくMFT(口腔筋機能療法)を行っています。これは口呼吸や指のおしゃぶりなど、歯並びが乱れる原因とされる口腔習癖の改善を目的とし、トレーニングを通して舌や唇、頬などの筋肉の使い方を覚えていきます。また、これと併せてマウスピース型装置を用いた咬合誘導を行う場合も。日中の1時間以上と就寝時に装置をつけるだけなので、小さなお子さんでも取り組みやすいです。装着中は喋ることがNGなので、ゲームをしている時や動画を見ている時などがお勧めです。
- Q歯並びや顎のバランスが悪いと将来どのような影響がありますか?
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A
▲小児矯正の開始時期は、子どもの個々の状況によって異なる
顎の成長が不十分だと、単純に歯がきれいに並んでくれない可能性が高くなります。歯の大きさは遺伝的に親と変わらないといわれており、顎が小さいままだとどうしても歯が収まりきれずガタガタになってしまいます。それに歯並びが悪くなってしまうと清掃性や噛み合わせにも問題が生じ、磨き残しによって虫歯を発症したり、将来的な歯周病のリスクが高まったりします。だからこそ小さい頃からMFTを行い、顎の成長を促していく必要があるのです。また、歯列を悪化させる要因でもある口呼吸は、それが続くと睡眠時無呼吸症候群を発症する危険性も高まります。睡眠時無呼吸症候群は時に命に関わるケースも出てくるため、早期の対応が欠かせません。
- Q矯正開始の目安となる年齢はありますか?
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A
▲早期に対処することで効果的な改善も期待できる
一般的には5歳から8歳の間が推奨されていますが、基本として顎の成長が固まっていない小学校低学年までに受診するようにしましょう。もちろんそれ以前に相談いただいても構いません。MFTと並行して行われることがある咬合誘導の装置が使えない年齢だとしても、早めに受診いただくことで口呼吸などの習癖に注意を促すことができますし、お口の中の状態を見せていただければアドバイスできることもあるでしょう。推奨年齢を過ぎたからといって治療できないわけではないので、まずはご相談いください。ただ、いわゆる受け口と呼ばれる「反対咬合」の場合は要注意。骨格に問題がある場合、成長して骨が固まると治療が難しくなってしまいます。
- Q子どもの時に矯正治療を受けるメリットは何でしょう。
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A
▲小児矯正は顎の成長のコントロールを図りやすいという特徴もある
最も大きなメリットは、大人になって矯正治療が必要になった場合、抜歯の回避が期待できることです。顎の成長が不十分だと歯がきれいに並ぶためのスペースが足りず、歯を抜くことを余儀なくされる症例が多々あります。しかし、子どものうちに矯正で顎の成長を促してスペースさえ確保できていれば、その分、歯を抜くリスクも小さくなります。また、ケースによってはMFTだけである程度歯列が整うようなことも見込めます。もちろん、歯並びの美しさという観点から見れば、人によって求める歯列が違うため一概には言えませんが、清掃性や噛み合わせといった機能面については問題ないレベルをめざすことは十分期待できると考えています。
- Qお子さんの診療で大切にされていることを教えてください。
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A
▲気軽に専門の歯科医師に相談してほしいという金子院長
歯科に対して苦手意識を持たないように、痛みや恐怖に対しこまやかに配慮することを心がけています。いきなり治療したり、器具を口の中に入れたりせず、治療のステップを細かく設定しています。例えば、親御さんの膝の上に座った状態で私たちとやりとりができるか、診療台に座れるか、診察の間じっとできているかなど、各ステップを踏まえてから治療に移行します。矯正に限らず、虫歯があるからといってすぐに治療を始めるわけではないのでご安心ください。お子さんの治療では本人だけではなく、親御さんも不安だと思いますので、治療の流れや状況をこまめに説明して安心していただけるように努めていますので、一緒に頑張りましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた小児の咬合誘導/22万円〜
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。