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安田 雅美 院長の独自取材記事

はっぱ歯科

(福岡市東区/奈多駅)

最終更新日:2022/12/14

安田雅美院長 はっぱ歯科 main

奈多駅から徒歩2分。白いスッキリとした外観の建物が「はっぱ歯科」だ。内装には木材をふんだんに使い、待合室には院長が描いた漫画やイラストなどが飾られ、まるでカフェのような雰囲気に驚く。「通いやすい歯科にしたいと考え、このような雰囲気になりました」と人好きのする笑顔で語るのは院長の安田雅美先生。開業前はJA広島総合病院の歯科口腔外科に勤務。歯科領域の疾患のみならず、あらゆる疾患により手術が必要となった患者の口腔内管理に数多く携わった。「医療の本質は患者さんの命を最優先に考えること。かかりつけのクリニックでもそれは変わりません。歯科治療で悩んでいる方はまずざっくばらんにお話ししましょうね」とフランクに語る院長に、アートと歯科治療の関わり、がん拠点病院で学んだ医療の形などについて話を聞いた。

(取材日2022年11月18日)

アートと医療を融合させた「遊びにも行ける」歯科

カフェのような、良い意味で歯科らしくない空間ですね。コンセプトや成り立ちをお聞かせください。

安田雅美院長 はっぱ歯科1

広島県廿日市のがん拠点病院であるJA広島総合病院、その歯科口腔外科で口腔管理を担っていたのですが、母のケガをきっかけに福岡に戻ってくることになりました。いくつかのクリニックに勤務医として務めたのですが、医療とは何か、という点をもう一度じっくり考えてみたいという思いもあり、開業に踏みきりました。“歯科のクリニック”の色を抑え、もっと気軽に患者さんが足を運べる雰囲気にしたかったので歯科の友人に相談し、デザイナーさんを紹介してもらい、自分の考えなどを伝えてデザインしていただきました。そうしたら想像以上にセンスの良い空間ができあがり、私も驚いています(笑)。

飾ってあるイラストは先生が描いておられますね。ホームページでは漫画でクリニックの紹介もありますし。

ええ。漫画にも書いていますが、娘の宿題の音読カードへサイン代わりに絵を描き始めたのがきっかけで。その音読カードも待合の棚に置いています。それまでは漫画を描いたことはなく、正真正銘あの漫画が処女作です。待っている間に患者さんが漫画を見ておられることも多く、絵によって「敷居を高くしたくない」という思いが成功しているのではないかと感じることも増えてきました。待合室ではぬり絵もできて、特にお子さんに人気なんです。そうしているとふいに、イラストや芸術を医療に役立てることも可能なのでは、と思い至ったんです。

歯科治療の一貫としてアートを用いる。斬新ですが親しみやすいですね。

安田雅美院長 はっぱ歯科2

ヨーロッパなどでは実際そういう治療も進んでいるようです。患者さんに絵を描いてもらうアートセラピー、医療スタッフや作家などさまざまな分野の専門家と話し合い、アート作品を媒体にしてより豊かな医療を提供できる空間をつくりだすホスピタルアートなど、やり方はいろいろあるようなので、治療と平行してそういった道も模索しています。例えば近隣大学の生徒さんの作品を待合室に展示するイベントを開催するとか、コラボなども良いかもしれませんね。イベントのために歯科を訪れるということがあってもいいと思うんですよ。もしかしたらそれこそが、本当の意味での「敷居が高くない歯科」の姿なのかもしれません。それをきっかけに歯科へ通うようになってくださるかもしれませんし、「遊びに行ける歯科」という場所があってもいいんじゃないかと。

医療の本質は「命を助けること」にある

どのような患者さんが来ていらっしゃいますか?

安田雅美院長 はっぱ歯科3

隣に小児科のクリニックがあるからか、お子さん、学生、そしてその親世代という比較的若い層が多いですね。虫歯や歯周病治療、入れ歯の作製などの一般歯科のほか、フッ素塗布などのお子さんの予防もあります。当院としては幅広く、どんな患者さんも受け入れていく心構えです。私はトンビにパンを取られた拍子に口内をケガしてしまった方の対応もしたことがあるのですが、海外在住の4歳のお子さんで、ふいに「海外在住なら破傷風のワクチンを打っていないかも?」と気づき、急きょ医科に紹介したこともあります。

その発想に瞬間的に思い至る方は、少ないのではないでしょうか。

当院の歯科衛生士も驚いていましたが、こういう反射的な発想は病院での経験によるものなので、私にとっては常に引き出しにあるんですよ。私が勤めていた口腔外科では、口腔がんだけではなくあらゆる疾患の周術期(入院、手術、術後回復、退院、社会復帰までの手術前後を含めた一連の期間)の患者さんのケア、親知らずの抜歯、口腔内の腫瘍の手術などを、院内のさまざまな先生方とチームを組んで行っていました。なので、クリニック勤務の歯科の先生方よりも生死に関わる場面の経験がとても多かったと思いますし、医科の先生と情報交換・連携をする機会も非常に多かった。そういう日々の積み重ねが、先ほどの発想につながったのだと思います。

一般的な歯科のクリニックと救急病院では、対応する内容がまったく違うのですね。

安田雅美院長 はっぱ歯科4

医療において最も優先すべきは「命を守ること」。その次に後遺症が残らないようにすることが優先され、そのまた次に命に直接影響を及ぼさないケガ・疾患と続きます。街のクリニックで行う歯科治療は、基本的には命に直接は関わりません。当院が基本的に保険診療で対応するのもそういう理由で、医療人としての価値観を大切にしているからなんです。優先するのは命を守ること、後遺症を残さないことです。もちろん必要であればインプラント治療なども行いますが、無理に自由診療を勧めることは絶対にありません。命に関わることではないからです。患者さんの治療を支えているのは、先に旅立っていった方々の命であり、その方々の「人生」という物語があるからこそ。先達に報いるためにも、彼らの人生をしっかりと受け止め、そこで得た知識を今を生きている患者さんに還元する必要があると、常に心に刻んで診察にあたっています。

立場を問わず意見を伝え合うクリニックをめざす

先ほどのような、特別な注意がいるケースはほかにもありますか?

安田雅美院長 はっぱ歯科5

検査結果や状況から必要な情報をピックアップする点で言えば、SLE(全身性エリテマトーデス)という自己免疫疾患を抱えた患者さんが当てはまるかもしれません。長期的にステロイドを使っておられますが、副作用である骨のカルシウム流出を抑えるための骨粗しょう症治療薬が注射薬の場合、お薬手帳には記載されません。そのためご本人のお話をよく聞き仮説を立て、患者さんにしっかり確認することが大事です。広島時代は毎日のようにこういうことをやってきたので、その方が歯科以外で受けている治療に合わせた歯科治療の計画の提案も得意です。お薬手帳だけでは必要な情報の全体像は見えてきません。患者さんのお話を聞き、生活スタイルや好きな食べ物・飲み物などをヒントにCTなどの情報をさらに分析し、総合的に判断した上で、疾患の原因を見極めることが重要だと思います。

会話以外で、患者さんと接する際に心がけていることは何でしょうか?

平易でわかりやすい言葉でお伝えすることです。説明も例え話を使いながらわかりやすく伝えるようにしています。難しい言葉を使ってもそれは医師の自己満足で、患者さんのためにはならないですから。処置中は実況していて、「いまぐるっと回って残りは20%です」などとずーっと喋っているので、患者さんもわかりやすいかもしれないです(笑)。あとは説明の声は大きめに。患者さんが聞き取りやすいようにという意図と、スタッフに聞こえるようにという2つの意図があります。聞こえれば「先生、あの説明はわかりにくかったですよ」と言ってもらえますよね。医療はチームで行うもの。職種の区別なく、皆が対等に意見を出せる環境が大事だと、広島時代に学びましたから。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

安田雅美院長 はっぱ歯科6

昨今、歯科においても自由診療がかなり浸透してきました。自由診療には素晴らしい技術があります。ただ私は「命に関わるかどうか」を重視するので、矯正や提案された治療内容に疑問がある・相談したいという方の、問題の本質を探すお手伝いができるのではないかと考えています。患者さんにとって、そのとき、最も望ましい治療は何かを、患者さんやそのご家族と一緒に探していきたい。そしてアートと歯科治療という斬新な組み合わせだからこそ実現できる本来の「医療」を、スタッフと、時に患者さんと模索しながら、このクリニックで実現していきたいですね。いま計画しているのは絵本制作です。お子さんにも医療のあり方、物事の本質の見極め方を、易しい言葉で伝えていきたいと思います。

自由診療費用の目安

自由診療とは

インプラント治療/35万円~

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