松本 哲彦 院長の独自取材記事
きりしま歯科口腔外科クリニック
(霧島市/隼人駅)
最終更新日:2025/05/19

自然豊かな霧島の地に「きりしま歯科口腔外科クリニック」はある。歯科口腔外科で長く研鑽を積み、多くの症例を手がけてきた松本哲彦(まつもと・あきひこ)院長が2022年に開業。今も知識や技術のアップデートに勤しみ、歯周組織再生療法にも取り組むなど、診療に真摯に向き合っている。2025年10月にリニューアルを控える同院では、より質の高い歯科口腔外科の治療を患者に提供するために、手術室や勉強会のためのスペースを増設する予定だ。「より多くの患者さんに、培ってきたものを還元したいのです」と語る松本院長。スタッフも増員し、患者が受診しやすい環境整備を推し進めている。たゆまぬ努力で地域における歯科口腔外科の基盤を築く松本院長に、開業までの思いや同院の強み、今後の展望など、時間が許す限り話を聞いた。
(取材日2025年4月22日)
質の高い歯科口腔外科の治療を多くの患者に届けたい
2025年10月にリニューアルを予定されているそうですが、進化を遂げる点や思いをお聞かせください。

開業以来、患者さんの数が急速に増え、予約が取りづらくご迷惑をおかけしている状況が続いていました。そのため、当院を必要としてくださっている患者さんにより多く対応できるようにしたいというのが、大きな目的としてありました。また、当院は歯科口腔外科を専門としており、外科処置を得意とする歯科医院ですので、専門性をさらに深めて患者さんに還元したいという思いも強くなっていきました。そんな折、偶然にも隣の土地とご縁がつながり、増設の運びとなりました。新しい建物には個室の手術室を作りますので、より整った環境でリラックスして手術を受けていただけると思います。また、スタッフルーム、勉強会などを開くスペースも設ける予定です。4月から常勤の歯科医師も増え2人体制となり、患者さんが受診しやすい環境整備を推し進めています。
高度な医療を支えるため、設備も充実していますね。
当院では、幅広い分野で高度な診療ができるよう先進の設備を導入しています。まずは歯科用CTですが、これは普通のエックス線検査だけではわからないことを3次元的に把握ができる装置です。骨の密度や厚みまで見ることができるのでお口の状態を詳細に知ることができます。次に口腔内スキャナー。このスキャナーを使うことで、患者さんの負担を軽減し、従来の時間のかかる型採りをしなくとも、かぶせ物やインプラント上部構造を製作することができます。これは今後、主力になっていく設備だと考えています。あとは安全性を考慮し、洗浄機や滅菌器、口腔外バキュームを導入しています。治療時に飛び散ってしまう唾液や血液、粉塵の対策を徹底し、感染リスクを抑えるための対策を行っています。
歯科口腔外科を専門とする同院で、お任せできることとはどんなことでしょうか?

一般歯科では難しい重症炎症や外傷の治療など、幅広く対応ができます。予防、治療や手術はもちろん、術後の機能回復面のケアへのフォローも行い、生活で困らないところまで機能を回復させてあげたいという思いで日々診療にあたっています。手術の内容によって難しい場合は、連携している大学病院にご紹介できる体制を取っています。歯科に限らず、地域のクリニックとの連携、医科と歯科の連携、高次機関との連携、一般歯科との連携も大切にしています。一つのクリニックでできることは限られていますが、さまざまな医療機関と連携することで、治療の選択肢も増え、地域の医療のためにもなると考えています。
インプラント治療に注力。歯本来の機能回復をめざす
歯科口腔外科ではどのような治療を行うのですか?

虫歯治療をはじめ、歯周病治療、小児歯科など一般歯科の診療が中心ですが、私の専門の歯科口腔外科は、お口の中、顎、顔面領域の疾患全般を扱う診療科です。難易度の高い抜歯、外傷や腫瘍、口腔がんをはじめとするお口の中の病気などの治療、がん検診、インプラントの手術も行います。年齢を問わず痛みへの相談も多くあります。原因不明の痛みは、歯ではなく神経からきている場合や、顎関節の痛み、歯茎の腫れによって起こっている場合もあります。さまざまなケースが考えられますが、当院には看護師が常駐していますので、全身に疾患がある方も、より安心して治療を受けていただける環境にあると思います。
松本院長がこれまで積まれてきた経験を教えてください。
大学病院で長く研鑽を積んできましたが、がんなどの大きな手術から小さな手術まで、かなりの数の手術を手がけてきました。全身麻酔の手術や、お薬をたくさん服用されていて全身管理が必要な方、術後のフォローが必要な方などの手術も多くあたっていましたね。その後はインプラント治療にも深く携わり、専門性の高い治療にあたってきました。得意な治療は保険診療でいえば親知らずの抜歯になりますが、保険外ではインプラント治療、とりわけ骨造成を一番得意としています。インプラントは、骨さえ作れたら可能となるケースは非常に多いんですね。難しい症例にはなりますが、可能性を見出すことができるかもしれませんので、例えば骨がないからインプラントは難しいと言われた場合など、セカンドオピニオンでもぜひご相談ください。
インプラント治療に注力しているとか。

虫歯や歯肉の病気、事故などで歯を失った際、インプラント治療は歯の機能を補うための一つの手段だと考えています。定期的なメンテナンスを続ければ、自分の歯のように食事を楽しめるようになることも期待できます。質の高いインプラント治療を提供するためにには、インプラントを支える骨を頑丈にすることが一番大事です。先ほどお話ししたご自身の骨を再生し増やすための治療を施すことで、困難な症例でもインプラント治療が可能になることが望める場合があります。また、処置中の不安を少しでも減らせるように、鎮静麻酔法を用いて、眠っているような状態でインプラント治療を受けることもできます。開業前に勤めていた鹿児島大学病院には、現在も義歯インプラント科の客員研究員として在籍し、難症例の臨床や学生の指導を行っています。インプラント治療に精通しているからこそ、インプラントが本当に必要かどうかの見極めもお任せいただければと思います。
アットホームな雰囲気を大切に安心できる空間をつくる
診察で大切にしていることは?

クリニックの方針として、きちんと納得してもらった上で治療を行うこと、治療内容や現状を理解してもらえるように説明すること、専門用語を使わずわかりやすく話すこと、この3つを心がけています。口腔外科は、病気などでマイナスの状態の方をゼロにすることをめざす診療科ですが、インプラント治療に限っては、ゼロの状態をプラスにするための治療だと考えています。患者さんの期待値が高くなる分、それだけ治療も難しくなりますので、一人ひとりの患者さんとしっかり会話することを重視しています。そのため、アットホームな雰囲気を大切にして、相談しやすく安心できる環境づくりをクリニック全体で取り組んでいます。居心地が良いと思ってもらえるよう、「患者さんファースト」で診療に取り組んでいこうと、スタッフとも意識を共有しています。
歯周病治療についても深く学ばれていると伺いました。
お口の中で起こることはすべてつながっており、お口の環境を整えることがたいへん重要です。このお口の環境と歯周病は、切っても切り離せない関係です。そのため、外部の勉強会に出向き、歯周病についての知識と技術を磨き込みました。歯周病の手術は、失われた組織をいかに戻していくかというものになります。この治療はどこでもやれるものではなく、外科の知識と技術が不可欠です。つまり、歯科口腔外科の得意分野にあたります。当院の強みである歯科口腔外科の専門性を最大限生かし、歯周病治療への取り組みを強化しています。
今後の展望をお聞かせください。

地域の医療機関と引き続き連携を強化しながら高度医療機関である大学病院や医療センターなどの架け橋になり、地域の拠点を担う歯科医院をめざしていきたいですね。その中で、歯科口腔外科としての役割をしっかりと果たしていきたいと考えています。また、開業医として、患者さんが求めている治療にどう寄り添っていけるか、それを一番大事に治療に臨んでいます。私自身の引き出しがあればあるほど、そこに近づいていけますからね。当院は大きな歯科医院ではありません。ですが、目の前の患者さんのお口の状況を少しでも改善できるように、今後も一つ一つ丁寧に、実直に取り組んでいきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/35万円〜
GBR(骨造成術)/5〜10万円
ブロック骨移植/10万円
サイナスリフト/18万円
ソケットリフト/5万円