早坂 啓太 院長の独自取材記事
南平岸ミュー歯科
(札幌市豊平区/南平岸駅)
最終更新日:2024/02/27

札幌市営地下鉄南北線・南平岸駅から徒歩5分ほど、国道453号平岸通手前にある「南平岸ミュー歯科」。2022年7月に診療を開始した歯科医院だ。院長の早坂啓太先生にとって、クリニックのある豊平区は子どもの頃から親しんできた地元だ。大学を卒業して研修を終え、出身大学の医局で働くうちに、いつか自分のクリニックを開業したいと思うようになった早坂院長。臨床の修行と開業準備のため、街の歯科医院で5年の勤務医生活を送り、念願かなえての開業となった。真新しいクリニックに早坂院長を訪ね、これまでの経験や専門分野、治療に懸ける思いなど、ざっくばらんに話を聞いた。
(取材日2022年7月21日)
1本の虫歯のために噛み合わせがずれることもある
開院したばかりだそうで、とてもきれいな院内ですね。

新型コロナウイルス感染症が流行する時代ですから、内装の美しさだけでなく衛生的であることが視覚的にわかるように設計してもらいました。換気がいいように診察室や待合室はできるだけ広々とさせ、さらにスタッフの動線を考えながらユニットを配置しました。ユニットは4台ありますが、歯周病の切開手術などをすることがあるので、1台は個室にしました。専門性の高い手術を外部の歯科医師を招いて行うこともあるので、個室は広くしてあります。全体の設計は木を多く使って温かい感じに。待合室から眺められる坪庭や、キッズスペースもあります。坪庭には植物もあしらう予定なんですが、まずは1年過ごしてみて、雪がどれくらい積もるか見てから選ぶつもりです。
開業のいきさつや、こだわりのポイントがあれば教えてください。
開業はいつか絶対にすると決めていました。大学病院時代は、重い症例の患者さんと一時的なお付き合いになることが多く、次第に自分が診た患者さんとは一生のお付き合いをしていきたいと思うようになったんです。この場所を選んだのは、僕の地元だからです。特にこだわったポイントは機材で、歯科用3DCTとセファログラム(頭部エックス線規格写真)を導入しました。セファログラムは横顔のエックス線撮影ができる機械で、親知らずを抜くときや噛み合わせを確認するときも役に立ちます。噛み合わせは口の中だけの問題ではなく顎の形や骨の凹凸も関与していますので、優れた機材を活用して、より質の高い治療をしたいと思っています。
診療方針についてもお聞かせください。

問題の起きている歯1本だけを診るのではなく、包括的にお口の中を診て、治療することです。その歯と顎との関係性、他の歯との関係性を確認し、体に悪い影響が起きないよう考えながら治療します。例えば噛み合わせの問題は肩凝りや頭痛など不調の原因となることがあります。1本の歯を治すことによって口腔内や全身の他の部分も良くなるのが理想の治療ですね。そのためには、痛くなった原因は本当に虫歯だけなのか、その歯にだけ力がかかったのではないかなど、そもそもの原因を探らなくてはいけません。大げさに聞こえるかもしれませんが、痛みがある1本の歯のために、無意識に噛み合わせをずらしてしまい問題を大きくしていることもあるんですよ。治療の際はいきなり削ることはほとんどありません。
治療を終えた歯を再治療にしないため、必要なこと
ご専門にしているのは、どのような分野ですか。

歯周病については、勤務医時代から長く専門にしてきました。歯周病の原因の一つとして噛み合わせの問題があるので、噛み合わせの分野についても関心があります。歯周病は患者さんが気づかぬうちに進行し、症状がはっきりと現れた時には抜かないといけないところまで進行しているケースが多いです。そうなる前に歯周病に気づいてもらえるよう工夫をしています。また患者さん自身の口腔内の画像をお見せして視覚化し、問題の歯がどのように悪くなっていくかを説明してから治療を進めます。治療そのものの基本は昔も今もやることは同じですが、新しい機材が出て便利になりました。写真は治療後にも撮らせてもらっていて、治療前の写真と併せてお見せしています。
日頃の診療で気をつけていることはありますか。
診察の場面では、患者さんとお話ししながら顎の動きや顔の傾け方を見て、噛み合わせを知る手がかりにしています。でも「こういう癖、ありますか?」「右側で噛むことが多いですか?」などと聞くと、患者さんが意識しちゃうんですよ。だから、自然体でお話ししながら観察して、最後にお尋ねします。ちなみに、いつも同じ側の肩でかばんを持つ、片腕をよく使うスポーツをしているなども噛み癖に影響することがあります。治療の際にできるだけ痛みを少なくすることは、心がけというより、もう当たり前のことですね。治療や歯科医師が怖くて通えなくなっちゃう方もいますから。だからといって、メンタルが強そうな患者さんだからと無駄に力を入れて治療することもありませんから、安心してください(笑)。後は、疲れているときや眠いときでも、なるべく笑顔でいられるように気をつけています。
予防歯科にも力を入れているそうですね。

一回悪くなった歯を二度と再治療にしないことが、当院のめざす治療のゴールで、僕が一番やりたいことなんです。ご自身の天然の歯は削らないほうが強度が保たれるものですから、残っているに越したことはありません。再治療になったら大事な歯をさらに削らないといけません。患者さんご自身が予防を十分にしていれば歯を守っていける、そういう状態にまで治療を進めるのが目標です。そのためには、患者さんも歯科衛生士とともに頑張って、お口の状態に合ったやり方でブラッシングをする必要があります。歯ブラシは種類が多いですし、歯間ブラシやデンタルフロスなどどんな道具を使うか、自分にはどんな道具が合っているかは判断がつかない方も多いです。そういう知識や情報は、僕らが提供していかないといけません。でも、あんまり複雑だとやりたくなくなっちゃいますから、ご自身がケアしやすいやり方を指導しています。
おいしく食べてよく笑えるよう、歯を守っていきたい
歯科医師の仕事を志したのはどうしてですか。

実家は薬局でしたが、おじが歯科医師だったんです。そのおじに紹介された歯科医院で、子どもの頃から矯正や治療に通っていました。優しくて好きな先生だったし、治療でも嫌な思い出はほとんどないんです。矯正の先生もやわらかい物腰の素晴らしい方で、中高生になって歯医者に行くのが面倒くさいと思ったこともありましたが、それでも通いやすい雰囲気でした。歯科医師になろうと思ったのは高校生くらいの時ですね。兄が薬学部に進んでいたので、実家を継ぐ必要もなさそうだし、兄と同じ仕事はしたくないと思ったのも理由です。兄とは子どもの頃から仲がいいんですが、同じ仕事をすると意見の違いでけんかになることもあるかなと考えたんです。おじやお世話になった先生の印象が良かったので、歯学部に進むことにしました。
休日はどんなふうに過ごされていますか。
学生時代はバンドをやっていて、ドラムを担当していました。今はなかなか時間が取れませんし、楽器も実家に置いてあるので難しいですね。ピアノとトロンボーンもやっていたのですが、続いたのはドラムだけでした。開業してからは勤務医時代と違って新しい医療情報が手に入りにくいので、最近は休診日も勉強です。歯科医学もどんどん新しいものが出てくるので、論文や文献を読み、研究会やスタディグループに行きます。僕くらいの年齢になると後輩のほうが詳しいこともありますが、年齢にこだわらず、教えてもらう立場からも視野を広くもって勉強しています。
読者にメッセージをお願いします。

口の中の健康状態が、全身の疾患や健康寿命に関わっているのは、ずいぶん前からわかっています。おいしく食べてよく笑うことで健康寿命が延びると僕も思っているので、そのためのお手伝いをしていきたいですね。虫歯や歯周病などの歯科疾患は、悪くなるまで気がつかない方も多いのですが、そうなってからだと治療が大変です。当院には1歳から90代までの患者さんが来院していますが、特に噛み合わせの問題や歯周病のご相談は30代から50代の方に多いです。働き盛りで忙しい世代の方も、年を重ねても自分の歯で食べられるように、予防できるところは予防していきましょう。南平岸は僕の地元ですから、地域の皆さんとは長いお付き合いをさせていただいて、ご家族皆さんで笑顔になってもらえたらと願っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは審美歯科:ホワイトニング オフィス(上下)/3万3000円~