永井 盛博 院長の独自取材記事
ながいこどもクリニック
(丸亀市/丸亀駅)
最終更新日:2022/08/23
丸亀市の大型ショッピングモールから程近く、買い物帰りにもアクセスしやすい住宅地にある「ながいこどもクリニック」。院長の永井盛博先生は、地域の基幹病院で小児科医として経験を積んだのち、2022年4月に開院。勤務医時代は、香川小児病院(現・四国こどもとおとなの医療センター)で小児科医として経験を積むだけでなく、東京の国立精神・神経医療研究センター病院で「小児神経」領域を深く学んできた。その専門性を生かし、てんかんやけいれん性の疾患に対する治療にも注力。他院の医師とも密に連携を取りながら、地域の小児医療を支えている。「ここに来れば大丈夫と思ってもらえるような、地域に根差した医療をめざしたい」と優しいまなざしで語る永井院長。大切にしている治療方針や、今後の展望などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2022年7月13日)
地域の基幹病院と連携し、小児医療を支える
先生は、小児科の医師としてどのような道を歩まれてきたのですか?
私は、京都府北部の与謝郡という場所で生まれ育ちました。風光明媚な環境だったので病院も少なかったのですが、当時診てもらっていた先生がとても優しくて憧れていたんです。それで幼い頃からぼんやりと「小児科医になりたい」という夢を持ち続けていました。学生時代は医学部をめざし、縁をいただいた徳島大学へ進学。大学卒業後は京都府立医科大学附属病院で2年研修を受けてから、再び四国に戻ってきました。開院するまでは、香川小児病院(現・四国こどもとおとなの医療センター)で小児科医として勤務し、途中2年間、当時指導を受けていた医師からの勧めもあって東京の国立精神・神経医療研究センター病院に勤めました。この病院では「小児神経」を専門的に学び、日本小児神経学会小児神経専門医の資格も取得するなど、いろいろな経験をさせてもらいましたね。
丸亀という土地で開院しようと思った理由をお聞かせください。
前身の香川小児病院の頃から長く勤務していた、四国こどもとおとなの医療センターの医療圏内であることが大きいです。医療センター時代に通ってくださっていた中讃・西讃地方の患者さんたちを、引き続き診ることができますから。今でも同院と連携を図りながら診療しており、当院の休診日に患者さんのことを相談しに行くこともあります。丸亀を選んだ理由としては、地域の小児科医の先生方とのネットワークが強固であることも大きいですね。私が相談することもあれば、逆に専門の「小児神経」領域の相談をされることもありますし、お互いに協力し合っています。
感染症対策についてもお聞かせください。
小児科なので、感染症への配慮には特に気を配りました。体調を崩しているお子さんと、健診や予防接種で来院している健康なお子さんとで、入り口から動線を完全に分けるようにしています。また感染症の疑いがある患者さんは、個別で診療できるように個室を4室設けました。個室には、診療道具を入れたカートを引いて伺うようにしています。さらに少しでも感染のリスクが減るようにと、診察時間も分けて対応しており、14時〜15時30分の間は健診や予防接種の患者さんのみとなります。
信頼関係を大切に、子どもたちとひたむきに向き合う
どのような症状のお子さんが来院されていますか?
年代では、小学校に入る前の6歳未満のお子さんが最も多いですね。症状では発熱や咳、鼻水、嘔吐、下痢を伴った感染症の疾患などで来院されるケースが多い印象です。学校の健診で問題が見つかって、再検査に来られるお子さんもいらっしゃいますね。また、私は「小児神経」を専門にしておりますので、神経疾患を抱えたお子さんにもご来院いただいています。小児科というと「幼い子ども」というイメージがあると思いますが、基本的には成人になる18歳までが診療の対象ですので、お気軽にご相談ください。
ご専門にされている「小児神経」の治療について、詳しくお聞かせください。
専門の「小児神経」という領域では、神経や筋肉の発達に関わる疾患を治療しています。具体的には、てんかんやけいれん性の疾患などの神経疾患です。とても長い間お付き合いしていく病気なので、お子さん・ご家族とともに、根気よく治療に向き合い続けることが非常に重要です。中には治療が難しかったり、重い病状であったりする場合も少なくありません。小児科だけで解決できない場合には、信頼する他の先生方や、専門の医療機関などに相談や紹介をしています。すべては、お子さんの病状を良くするため。あらゆるネットワークを使って、お子さんが「最も良い治療」を受けられる体制を作っています。
治療をする上で、大切にされていることはありますか?
患者さんであるお子さんと、ご家族との信頼関係を築くことを最も大切にしています。そして、特に親御さんに納得・理解していただけるような治療を心がけています。診察が終わった時点で、「何か気にかかるな」「まだ納得がいかないな」という表情をされている場合も少なくありません。そんな時には、必ず最後に「何か気になることはありませんか」とお聞きするようにしています。そして、どんな些細なことであっても、しっかりと説明をするようにしています。不安が解消されることで、少しでも穏やかな気持ちで帰っていただけることが理想ですね。
住民に信頼される、地域に根差したクリニックをめざす
小児科医師として、どのようなところにやりがいを感じていらっしゃいますか?
小児科は患者さんがお子さんなので、「訴え」や「症状」が本当に正直なんです。「お子さん」と「疾患」、それぞれに真正面から向き合って治療していくところが難しさでもあり、面白さでもあります。それから特に神経疾患の場合は、たいへん長きにわたり患者さんとお付き合いをしていきます。お子さんが2、3歳の頃から15、6歳になるくらいまで一緒に歩んでいくので、お子さんの成長を見守っているような特別な感覚になるんです。そうやって、家族ぐるみで深い信頼関係を築いていけるというのも、小児科医の魅力ですね。
先生も2児の父親でいらっしゃるそうですが、お子さんとはどのように過ごされていますか?
なるべく子どもたちと一緒に過ごす時間を大切にするようにしています。家族みんなで、いろいろなイベントに出かけることも多いですよ。小児科医をしていると、子どもの成長がいかに早いかを思い知らされるんですね。今できることを、できるうちにしておけば、子どもたちが大きくなった時に悔いがないかなと考えています。子どもが生まれたのは小児科医になってからのことですが、自分に子どもができてから、これまでの診療の方向性や考え方、お子さん・親御さんに対する接し方が間違っていなかったんだな、と再認識できました。今はより自信を持って、診療に臨んでいます。
今後、どのようなクリニックにしていきたいとお考えでしょうか。
地域の皆さんに信頼していただいて、「ここに来たら安心だ」と思ってもらえるようなクリニックにしていきたいですね。一人ひとりの患者さんにしっかりと安心感を与えて、10年、20年……とたった時に、何かしらクリニックのことを思い出してもらえるような医療を提供できたらと思っています。私自身、子ども時代に医師に憧れて今の仕事をしているという経緯がありますので、ご来院いただいたお子さんから「医師ってすてきだな」と思ってもらえるような存在になりたいです。そして、このクリニックで過ごしたことがきっかけで小児医療の分野に進むお子さんがいれば、とてもうれしく思います。そんなかたちで小児医療の未来に貢献できたら、医師としてもたいへん幸せですね。