肘から下の痛みやしびれがあれば
「手外科」専門の医師の診察を
むらた整形外科
(福岡市西区/今宿駅)
最終更新日:2025/10/15
- 保険診療
「握る」「つまむ」「書く」「顔を洗う」「食べる」など、肘から指先にかけての部位は、人間の行動と密接に関わっている。福岡市西区「むらた整形外科」の村田大院長は、これらの部位を主としたケガや病気を扱う「手外科」の領域を専門に研鑽。指に痛みやしびれが出て物がつかみにくくなる手根管症候群をはじめ、ばね指、母指CM関節症、指の靱帯断裂、グロムス腫瘍、へバーデン結節など、多くの疾患と向き合ってきた。同院では神経伝導速度を測定する装置を導入し、主観的になりやすい痛みやしびれなどの違和感を装置で計測して、客観的に重症度を評価するほか、日帰り手術にも力を入れている。今回は村田院長に、どんな症状を感じたら受診すべきかなど、手外科領域の疾患について解説してもらった。
(取材日2025年9月29日)
目次
肘から下の不調は「手外科」を専門に研鑽を積んできた医師の診療を受け、早期回復をめざそう
- Q「手外科」はどのような症状に対応しているのですか?
-
A
▲神経伝導速度測定にて詳しく診ていく
部位でいうと、肘から指先までが領域になります。症状は骨折をはじめ、切り傷などの外傷、靱帯損傷、しびれというように、多岐にわたります。徐々に親指側の3本半がしびれるようになる手根管症候群、小指側を中心にしびれてくる肘部管(ちゅうぶかん)症候群というように、しびれなどを感じる疾患は他にもたくさんありますし、ばね指、腱鞘炎、母指CM関節症、へバーデン結節といった、痛みが特徴の疾患も多数あります。同じしびれや痛み、こわばりでも原因が違うものも多いため、専門的に研鑽を重ねてきた医師に診てもらうことが大切。指先の爪辺りに痛みを感じるグロムス腫瘍も専門領域です。
- Qどんな症状を感じたら受診すべきなのでしょうか?
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A
▲早期に相談することが治療において重要
外傷に関しては左右比べて明らかに腫れているとき、手を握ったり開いたりが完全にできない場合は迷わず受診してください。これは早急に受診すべき目安となります。そのほかでは指にしびれやこわばりがある場合も該当します。また、日常生活に支障があるかないかも大切な指標。支障の有無や痛みの感じ方、その度合いは人それぞれですが、痛みを感じる原因は必ずあります。中には時間がたてば自然と改善するものもありますが、痛みが長引いたり、慢性化することも少なくありません。何かしら日常生活においていつもと違う違和感を感じたときは、早期改善につなげ安心を得るためにも、専門のクリニックを受診されることをお勧めいたします。
- Qこちらでは手の日帰り手術も行っているそうですね。
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A
▲同院か、連携する病院にて手術に対応している
手術は局所麻酔と、エコーを使用しながら腕全体に麻酔をかけていく腋窩(えきか)神経麻酔の2つを行っています。局所麻酔で行う手術は、ばね指、ドゲルバン腱鞘炎、グロムス腫瘍など。一方、腋窩神経麻酔の場合は、手根管症候群、靱帯損傷、腱損傷といった疾患の手術を行います。日帰りで可能な手術も多数ありますが、全身麻酔を使用するようなTFCC損傷、母指CM関節症、手のひらの腱膜が硬直していくデュピュイトラン拘縮といった場合の大きな手術は、以前在籍していた近くの溝口病院で執刀するスタイルを取っています。このように私が一貫して一人の患者さんを担当できる体制が構築できていますので、安心していただけるとうれしいです。
- Q手の疾患で必要な手術などは、他にどんなものがありますか?
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A
▲手術のできる環境を備えた診察室
大事な神経が欠損した場合に行う神経移植術やTFCC損傷に対する鏡視下TFCC縫合術、尺骨突き上げ症候群に対する尺骨短縮骨切り術、それから手の疾患で代表的なガングリオンも。中でも指先にあるガングリオンの摘出法は特殊で、専門性の高さや技術が求められる手術になります。私が手外科の手術を行うのは、良い結果につなげるための専門的な手術を提供できると思っているから。もちろん手術ができる医師は他にもいますが、手外科に関しては誰にも負けないという気持ちで取り組んでいます。手以外の手術に関しては、私は患者さんにとって最良の治療を受けてもらいたいので、各スペシャリストの先生を紹介しています。
- Qオーダーメイドのスプリントを作製されていると伺いました。
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A
▲患者と真摯に向き合う姿勢が印象的
はい。靱帯損傷や骨折をしたときに、水硬化性樹脂で型採りしたものを副え木にして包帯で固定するシーネ固定や、患部を全周性に固定するギプス固定を思い浮かべる方が多いと思いますが、両者とも基本自分での着脱ができませんし、固定自体が分厚くなります。当院ではCM関節症やTFCC損傷、手根管症候群、靱帯損傷、軽度の骨折などの可能な疾患であれば薄いプラスチックを加工し、マジックテープなどで固定するスプリント固定を行っております。これは患者さんの日常生活での負担を軽減することができ、場合によってはスプリントをつけたまま競技に復帰することができます。

