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千々岩 武陽 院長の独自取材記事

はこざき漢方内科・心身医療クリニック

(福岡市東区/箱崎駅)

最終更新日:2022/09/02

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JR箱崎駅から徒歩3分。医療モールの一角で漢方内科と心療内科を標榜するのが「はこざき漢方内科・心身医療クリニック」だ。千々岩武陽(ちぢわ・たけはる)院長は、日本東洋医学会漢方専門医、日本心療内科学会心療内科専門医などの資格を有し漢方薬による治療を得意とする。内科、心療内科の医師として臨床に携わる中で、病気や心理的ストレスだけではなく、季節や気温、湿度変化といった要因も心身不調の原因となり、それにアプローチできるのが漢方薬であると気づいたそう。「明らかに体調不良があるが検査では異常が見つからない。しかしそこで終わるのではなく体から心へのアプローチを可能とし、QOL(生活の質)向上に役立つのが漢方薬の大きな魅力です」と語る院長に心身医療と漢方薬の親和性の高さや治療スタンスなどについて聞いた。

(取材日2022年8月3日)

不調の原因をつかみ、漢方を用いてQOLの向上を図る

先生ご自身も、学生時代などに過敏性腸症候群などの症状に悩まされたことがあったとか。

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試験前におなかの調子が悪くなったり、季節の変わり目に体調を崩すこともありました。しかし当時はそういう症状を診てくれる病院はなく、「自分だけがこんな体質なんだろうか?」と不思議に思っていました。大学受験の面接で「医師になって何を学びたいか」という問いに「体と心の関わりを明らかにしたい」と答えたのは、そんな自分の経験があったからだと思います。卒業後、内科、心療内科の医師として勤務した飯塚病院の存在は大きかったです。飯塚病院で心療内科外来を担当する中で、全員が全員、心理ストレスによるうつ病や心身症で受診するのではないことに気づきました。今振り返れば当たり前のことですが、心療内科外来なのに、心理ストレスによって体調に不調を来す人ばかりではないことに驚いたのです。

例えばどんな原因があったのでしょうか?

今でこそ梅雨や雨降り前の「気象病」も知られるようになりましたが、私が飯塚病院にいた20年前も、季節、温度、湿度などの物理的・環境的変化が引き金となり、体調不良につながっているケースが多く見られました。これらには精神療法や向精神薬だけではカバーできません。そこで漢方薬が症状改善の一助になるのではと考えたんです。最初に漢方の手ほどきをしてくれた某漢方メーカーMR(医療情報担当者)さんとの出会いがあり、続いて当時の漢方診療科の部長であり、現・福島県立医科大学会津医療センター漢方医学講座教授の三潴忠道先生や、国内留学で、鹿島労災病院和漢診療センターでセンター長を務めており、現在は日本東洋医学会会長を務める伊藤隆先生に師事し、日本漢方を学べたのは幸運だったと思います。

先生ご自身が体調を崩しやすいタイプだったことも、患者さんの理解につながっているのでしょうか?

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同病相憐れむ(どうびょうあいあわれむ)という言葉がありますが、自分が同じ経験をしていることで、患者さんの症状に関して、より本質的な理解に近づけている感覚はあります。例えば腹痛に対して、消化器内科を受診した患者さんがいるとする。しかしエックス線やエコーなどの検査をしても何の異常も見つからない。けれど患者さんは本当に困っておられる。そういう“検査結果などの数値では見えない”場合でも、さらに一歩先へ踏み込んだ治療へとアプローチできることが、漢方薬の大きな魅力の一つだと考えています。漢方薬には患者さんのQOLをサポートする力があるのです。

原因不明の不調で終わらせないのが漢方の治療の魅力

具体的にどのような相談がありますか?

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PMS(月経前症候群)、気管支喘息、心臓の動悸、便秘や下痢、頭痛、めまい、アトピー性皮膚炎など、人それぞれに個性があるように、ストレスへの症状の現れ方も十人十色です。思春期のお子さんが朝、起き上がれず学校に通えない「起立性調節障害」は、体の成長に自律神経が追いついていないアンバランスさが引き起こす症状とも解釈できますが、漢方薬が役立つケースの一つです。心療内科のベースにあるのは内科なので、風邪やこむら返りといった、家庭の医学的な相談も多いですよ。東洋医学には「心身一如」といって心と体は一体であるという考えがベースにあり、一方心療内科の柱となる心身医学には、心と体は互いに関わり合っているという「心身相関」の考えがあります。このことからも両医学の親和性が高いことがおわかりいただけるかと思います。

つまり体の不調と心の不調はつながっているということですよね。

そうです。心と体、もしくはその両方からのアプローチを、TPOや患者さんの希望に応じて選択できるのが、当クリニックの漢方治療の強みであると考えています。加えて、漢方薬を処方して終わり、なのではなく、どのような症状があり、どのように発症、もしくは悪化するのか、それに心理社会的な背景がどう関わるのかを、患者さんとともにひもといていかないと、結局「検査結果に異常がないから安心してください」で終わるのと同じことになってしまいます。患者さんが抱える悩みの背景にある心理社会的、時には体質的な問題を、患者さんとともに理解し、アプローチを試みる。だから漢方薬を用いた心身医学的治療はオーダーメイドの医療だといえるのです。

抗うつ薬、睡眠薬などの西洋薬を避けたいという患者さんも?

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確かにおられます。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や精神安定剤では、依存性や、高齢者では夜間の転倒リスクにつながるという問題があります。患者さんもインターネットなどでそれらを調べて来ることも多いので、できるだけ体への負担が少ないほうを選びたいという方も多いです。そういう方や、前述したように検査結果に異常はないものの症状に困っている方たちの受け皿になれるのが、漢方薬を用いた心療内科治療の強みだと思っています。

患者が自分の主治医になれば、もっと生きやすくなる

ごく一般的な内科として活用する方もおられるそうですね。

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コレステロールや血圧を下げるための西洋薬などを求める方も、もちろんおられますよ。漢方薬と西洋薬のどちらが良いということではなく、その方が何を求めているか、どちらを勧めるべきなのか、状況に応じて処方していきます。例えば過敏性腸症候群の患者さんが「試験直前なのでどうにかして不調を止めたい」と相談されるとします。そこでどういう体質で発症の原因は何なのか、ゆったりと構えるのは患者さんのためになりませんね。まずは緊急避難的なお薬を処方し、症状や環境が落ち着いた後に、しっかりと背景まで探っていくというプロセスが大切です。この際、単純に「この症状にはこの漢方薬!」とはいかないあたりが、漢方治療の奥深いところであるとも感じています。

診察で心がけている点は何でしょうか?

初診は1時間の枠を取り、再診も完全予約制を取っています。コロナ禍では感染症対策にも役立ちますので……。漢方薬での治療を希望される場合、初診では舌診・脈診・腹診といった漢方ならではの診察も行うため、診察時間が長くなりがちです。加えて心理的・社会的な背景やその方のルーツなどもお聞きすることがありますが、それらを無理に聞き出すことはいたしません。医原的に患者さんが心の傷を負うことは絶対に避けなければなりませんが、かといって私が聞く耳を持たないとお話になりません。もしも患者さんが話したいことがあるならば、静かにそれに対して耳を傾けることが大事と思っています。いずれにせよ、患者さんが求めるものと私が提供できる治療選択肢においてベストマッチングを探すことが、重要だと思っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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自転車でも最初は補助輪が必要ですよね。それと同じで、患者さんお一人お一人が自立できるようにサポートし、クリニックの卒業まで導いていくのが当クリニックの役割だと思っています。ただ、最終的に自分自身への理解が深まらなければ、同じストレス症状を繰り返すだけではなく、ドクターショッピングをし続けることにも繋がるでしょう。しかし心身相関への「気づき」をひとたび得られれば、ご自分の健康を維持していく上で大きな一助になるはずです。最後に、ストレス疾患で悩む患者さんには、一人だけで悩むのではなく、ぜひ「助けられ上手」になってほしいと思います。心療内科外来を卒業する患者さんのほとんどが周りに対して甘え上手になっていくケースをたくさん見てきました。ですので、心身のトラブルに悩む際の「よろず相談所」兼「安全基地」として、当クリニックを利用していただければ幸いです。

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