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中村 仁 院長の独自取材記事

安佐南在宅・痛みのクリニック

(広島市安佐南区/緑井駅)

最終更新日:2022/08/03

中村仁院長 安佐南在宅・痛みのクリニック main

患者とその家族の心に寄り添った在宅医療を提供する「安佐南在宅・痛みのクリニック」。複数の大規模病院で麻酔や集中治療、疼痛分野など多様な経験を積んできた中村仁(なかむら・ひとし)院長が2021年に開院した。一般的な内科診療に加え、患者のQOL(生活の質)を高めるため、痛みのコントロールに注力しているのが同院の大きな特徴だ。訪問看護師やケアマネジャーなどと連携し、24時間365日対応。団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題を間近に控え、社会の高齢化がますます加速する中、同院の存在感は一層増すことになるだろう。中村院長に同院が行う在宅医療の特徴について話を聞いた。

(取材日2022年6月14日)

疼痛の知識を生かし、QOLを高めるための医療に注力

まずは、医師をめざしたきっかけを教えてください。

中村仁院長 安佐南在宅・痛みのクリニック1

人生の先輩であり医師の先輩でもある父の影響が強いと思います。医師として忙しく働く父の姿を幼少の頃より見てきました。休日にも病院に電話をしたり医学書を読みあさったりする父にその理由を聞くと、「患者さんは常に苦しんでいるんだから医師にも休みはないんだよ」「病気に休日はなく患者さんは常に苦しんでいる。医師は常に勉強して最善の治療を提供しなければいけないんだよ」などと教えられました。幼少期に父に遊んでもらった記憶はなく、寂しいと思ったこともありましたが、子ども心に父を誇りに思い、私自身も医師という職業に憧れを持つようになりました。同じように父の後ろ姿を見てきた兄が一足先に医学部へ進んだのも、影響していると思います。

在宅医療のクリニックをこの地で開業した理由は?

呉共済病院に勤務していた時は、休日はよく広島の街中に出てきました。また、妻の実家が安佐南区であるというご縁もあります。安佐南区は比較的在宅医療をするクリニックが多いんですが、広範囲にわたるエリアですし老人施設が多く、ニーズもあります。私も何らかのかたちで地域医療に貢献できるのではと考えここに決めました。この辺りはご高齢の方と若い方がバランス良く混在しているような地域です。すぐ近くの緑井付近は多くのお店が立ち並んで活気があり、この辺りは住宅や田畑がある落ち着いた環境です。住みやすい街で、私自身とても気に入っています。

ご専門は麻酔科とのことですが、なぜ麻酔科に?

中村仁院長 安佐南在宅・痛みのクリニック2

医師免許を取得後、最初に勤務した病院では一通りの科を回るのですが、その中で救急医療を経験して興味を持つようになりました。ただ日本における救急は、救急で完結するのではなくどこか専門に振るという認識なんです。そのため別に専門を持つ必要があったのですが、疾患の種類に関わらず救急医療に通じている科と考えたんです。救急では人工呼吸器の挿管や、点滴のルート取りなど、全身管理のすべてが麻酔科の役割です。そういったことから麻酔科に進みました。麻酔科としては中四国の中でも豊富な実績を持つ岡山大学麻酔科に入局して経験を積めたことは非常に大きかったと思います。

「ペインクリニック」は最近耳にするようになった言葉ですが、具体的にはどのようなことをするのですか?

言葉どおり痛みにアプローチする分野です。ただし目的は痛みを全部取ることではなく、日常生活に支障が出てきている人の日常生活を維持できるようにすることです。VASという痛みの強さの指標があるのですが、例えば「VASを40以下くらいに下げて日常生活を送れるようにしましょう」というのが目的なんです。痛みを緩和するために最初は内服療法をして、効果がなければ神経ブロック療法をします。痛みは侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、精神的なものの大きく3種類あるのですが、それらが相互に関係してくるため、痛みには波があるんです。一方人間は一番いい時を指標にするので、当初の目的まで痛みが緩和されても、次は20に10に、最後は0になることが目的になってしまう。そうすると点滴してブロックしての繰り返しで、だんだんきつい治療になりリスクも高くなります。それをコントロールすることもペインクリニックの役割です。

傾聴、協力、地域貢献、教育、発展をコンセプトに

こちらのクリニックの特色を教えてください。

中村仁院長 安佐南在宅・痛みのクリニック3

在宅医療を行っているクリニックはまだまだ少ないですが、ニーズは高く、これから増えてくると思います。そんな中で当院の特色はというと、やはり神経ブロック治療などで痛みのコントロールに力を入れていることかなと思っています。また、当院は在宅療養支援診療所であり、24時間365日対応しています。夜間などに何かあった場合に対応できるのも大きいのではないかと思います。あと、メインはあくまでも在宅医療ですが、予約をいただければ一般的な内科疾患の外来診療も可能です。

在宅医療ではお看取りもあると思いますが、最後はやはり自宅が理想でしょうか?

個人的には在宅医療だけが幸せのかたちではないと感じています。在宅医療は患者さんだけでなくご家族の負担も非常に大きい。私たち医療職の人間は人が痩せ細っていく姿を多く見てきているのですが、ご家族にしたら初めて痩せ細って弱っていく人の姿を目の当たりにすることになる場合もあるわけです。身近な人が弱っていく姿はある種残酷なところもあります。病院だったらそのつらさはほとんどありません。そこをしっかり理解しておかないと誰も幸せになれないように思います。そこで私ができることは選択肢をつくっておくこと。状況が変化したら病院という選択肢もある。家族の負担が大きくなって生活ができなくなるなら、病院に変えるべきだと思います。

診察で心がけていることは?

中村仁院長 安佐南在宅・痛みのクリニック4

当院の医療理念は、傾聴・協力・地域貢献・教育・発展の5つです。まず「傾聴」ですが、在宅医療の患者さんの中には十分にお話ができない方もいらっしゃいます。また、同じ在宅医療でも末期がんの患者さんもおられれば、足腰が弱くなって通院が難しいといった方、ご家族と同居の方、一人暮らしの方などいろいろおられます。さまざまな状況の方に適切な在宅医療を行うには、ご本人やご家族のお話をしっかり聞く必要があります。また当然ですが、医師だけで在宅医療を支えられるわけではありません。そこで大事なのが「協力」です。訪問看護師さん、ケアマネジャーさん、ヘルパーさん、そしてご家族がしっかりと連携を取り、協力し合う必要があります。

「地域貢献」についてはいかがですか?

このエリアに限らずですが、日本はこれから社会の高齢化が加速し、ますます在宅医療が重要になっていきます。在宅医療を必要とする人が増えるというだけではなく、社会保障費も限界にきており、病院に入院するより在宅医療のほうが医療費を抑えられるという国の考えもあるんです。在宅を望まれる患者さんのためにも、国の課題解決のためにも、いち開業医として地域貢献していきたいと考えています。

患者の目線に立ち、心に寄り添う医療を

残りの2つ「教育」「発展」についても教えてください。

中村仁院長 安佐南在宅・痛みのクリニック5

スタッフだけではなく訪問看護ステーションの看護師さんだとかに、医療を提供する上でお教えすることはいろいろあります。訪問看護師さんと一口で言っても、急性期で勤めていた方もおられれば、あまり慣れていない方もおられます。あとは一般的な勉強会なんかもしています。「発展」についてはあえて意識するものではなく、職種関係なく同じ志を持つ仲間で在宅医療を提供するうちに、自然と発展していくものだと思っています。

印象深いエピソードはありますか?

勤務医時代に救急当直をしていた時、30~40代の女性が来院されました。胸部写真を指示し一息ついていると、患者さんが大きな声で怒っていて看護師が謝罪しても落ち着く様子がありません。お話を聞くと、撮影時のガウンに前に使った男性のにおいが残っており、不快で怒っておられたのです。私がすぐに謝罪すると、医師が医療以外のことで頭を下げるとは思っておられなかったのか、「先生は別に悪くないですから」と表情も穏やかになって許してくださいました。近年、訴訟が取り沙汰され、安易に謝罪するのを避けるべきといった風潮があります。訴訟とは別の問題として、まずは患者さんと向き合い、不備があれば謝罪することが大切だと感じた一幕でした。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

中村仁院長 安佐南在宅・痛みのクリニック6

当院は開業してまだ間もありませんが、超高齢社会を支える医療機関の一つとして安佐南区を中心に地域医療に貢献していきたいと考えていますので、ぜひよろしくお願いいたします。また、予約を入れていただければ外来診療も可能です。まずはお電話でご相談ください。

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