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林内 優樹 院長の独自取材記事

わかば歯科 小児歯科

(広島市南区/向洋駅)

最終更新日:2022/09/26

林内優樹院長 わかば歯科 小児歯科 main

東本浦町の歴史ある住宅街に2022年4月19日に開院した「わかば歯科 小児歯科」。院長の林内優樹(はやしうち・まさき)先生は障害者歯科の専門的な知識を持ち、広島大学病院でも障害者の歯科治療に携わってきた。同院では、障害の有無に限らず、すべての人が通いやすく一人ひとりに合った歯科医療を提供することを理念として掲げている。「歯科治療が苦手な方や痛みに敏感な方の不安を払拭できるよう、事前にきちんと説明をすることを大事にしています」と林内院長。話しやすく聞き上手な対応から気さくな人柄が垣間見える林内院長に、開院までの経緯やコンセプト、障害を有する患者を診療する際の工夫など、たっぷり語ってもらった。

(取材日2022年6月2日)

すべての人が通いやすく一人ひとりに合った歯科医療を

開院されるまでの経緯についてお聞かせください。

林内優樹院長 わかば歯科 小児歯科1

大学は東京の昭和大学に進学し、卒業後は広島に戻ってきて広島大学病院でキャリアをスタートしました。研修期間中にさまざまな診療科をローテーションするのですが、その中で一番興味を惹かれたのが障害者歯科の分野でした。その道に進みたいと思い、障害者歯科の教授に相談をしたら大学院への進学を勧められ、大学院で学びながら大学病院の障害者歯科に入局しました。5年間、障害者の歯科治療の経験を積んだ後、院長が大学の先輩にあたる「高橋歯科医院」に勤務。その後、僕の専門である障害を有する方や小さなお子さんの歯科治療も専門的に行える環境を整え、今年4月に「わかば歯科 小児歯科」を開院しました。

こちらのエリアを選ばれた理由は? またどのような患者さんが通われていますか?

家族ぐるみで子どもからご年配の方まで幅広く関わっていきたいという気持ちがあったので、必然的に住宅街を選びました。地域の方も患者さんも優しい方が多いので、本当に良かったと感じています。患者さんは近隣の方はもちろん、遠方にお住まいの方や、僕が勤務医・大学病院時代に担当していた患者さんも来院されています。その中でも特に思い入れが強い患者さんで、自閉スペクトラム症を有する方がいます。大学病院の障害者歯科で出会い、その後、現在に至るまで月に一度必ず定期検診で通ってくれていて、その時から自分の歯科医院を開院する時は「カルテの“1番”はこの人にする」と決めていたんです。そして、実際一番に来院していただきました。なぜそこにこだわったかというと、その患者さんが第1号であることは、「すべての人が通いやすく、一人ひとりに合った最適・最善な歯科医療を提供する」という当院の理念の体現化につながると思ったからです。

こちらならではの治療はありますか?

林内優樹院長 わかば歯科 小児歯科2

緩い全身麻酔に分類される笑気麻酔というものがあるのですが、大学病院の障害者歯科と同様のやり方で当院も実施しています。治療の時に鼻から、鎮静・麻酔作用を持つ笑気ガスを吸入してリラックス効果を図るというものです。笑気の鎮痛作用は弱いのですが、基本的に、鎮静作用時に見られるほほ笑んだ状態、例えば空きっ腹にビールを飲んだ時の高揚感と似たようなイメージで治療を行うことができます。短時間で作用し、すぐに覚める笑気麻酔は、歯科業界では長く使用されており、安全性に配慮して使用できるので、歯科治療に不安感や恐怖心が強い方にも「笑気麻酔やってみましょうか」とご提案することもあります。

視覚支援などを取り入れて、安心できる診療を

障害を有する患者さんを積極的に診療したいと思ったエピソードはありますか?

林内優樹院長 わかば歯科 小児歯科3

大学病院に入職する前に勤務した地域のクリニックで自閉スペクトラム症のお子さんを担当したことです。その子の口の中を診させてもらったら、とてもきれいだったんですよ。虫歯もないですし、歯並びも問題ない。「この子に僕は何をやったらいいんだろう」と悩み院長に質問しました。すると院長から「口の中だけでなく、その子の歯磨きの習慣や生活環境を診てあげてほしい」と指導されました。歯磨き回数、日常生活の過ごし方をヒアリングして、口の中だけではなく、体全体・患者さん自身を診ることが大切だと教えてもらいました。一般的な歯科医院でも治療の技術は学ぶことができますが、このような考え方を専門的に学び、歯科治療に取り入れたいと強く感じました。そこに面白さを感じたのが、最初のきっかけだったと思います。

障害を有する患者さんの診療で、やりがいを感じるときは?

患者さんのできることがだんだん増えていく姿を見るときでしょうか。知的能力障害や発達障害などを有する方は、その特性から治療への取りかかりに時間がかかることがあります。最初は大暴れしてチェアに座ることもできなかったような子が、来院を重ねるごとに落ち着いていき、そのうち自分でスタスタ歩いてチェアに座ってくれるようになったりすると感動しますし、すごく達成感を感じます。保護者の方もすごく喜ばれますし、ありがたいことに僕たちにもすごく感謝してくださるんです。やはり、それは本当にやりがいだと思います。歯科治療ができるようになると、それまで難しかった小児科の診察も受けられるようになったり、予防接種で暴れなくなったり、そういった波及効果も期待できると思います。

診療で特に工夫されていることはありますか?

林内優樹院長 わかば歯科 小児歯科4

障害には、身体障害、知的能力障害、精神障害、発達障害などさまざまなものがあります。それぞれの特性を正しく理解して、その方の状態に合わせてアプローチを考えていきます。しかし、これは障害を有する人だけではなく、お子さんの診療にも同じことが言えます。発達年齢や理解力に合わせて言葉がけや対応法を工夫していくことと同じなんですよ。理解を進める工夫として「絵カード」を導入しています。今日する診察内容を絵で描いて、目で見て理解を促します。僕たち大人も一緒ですが「次に何があるのか」「今日の終わりはどこなのか」見通しがつくと安心ですよね。特に自閉スペクトラム症の方ではTEACCHプログラムを応用した治療スケジュールの構造化、つまり視覚的な提示があると理解しやすいといわれています。そういった障害の特性を知っているということが、すべての患者さんに安心して治療を受けてもらえる環境をつくっているのかもしれませんね。

父と同じ医療人としての生き方に憧れて

診察の際に大切にされていることは?

林内優樹院長 わかば歯科 小児歯科5

患者さんに安心して診療を受けていただくために説明をしっかりして、安全な歯科治療をお一人お一人に丁寧に行うことです。月並みですが、それは本当に大事にしたいと思っています。当院では初診の時間を長めにとり、お口の中を診る前に、まずは患者さんとたくさんお話をします。これまでの歯のことに加えて、体全体のことを聞いています。持病や生活習慣について入念にヒアリングし、患者さん自身を見ることを大切にしています。また、治療については選択肢を複数提案するようにしています。通院できる回数や、痛みへの耐性、経済状況などもお一人ずつ異なりますので、まずは考えられる選択肢を提示して、患者さんとしっかり話し合った上で治療方針を決めていきたいと考えています。

歯科医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

僕の父は獣医師で、福山で動物病院を開業しており、家業を継ぐために獣医師になりたかったんです。でも、ちょっと恥ずかしいんですが獣医学部が難しくて、実は歯科大学は滑り止めで受かったんです。ですので、大学入学当初はモチベーションが上がらない時期もありました。ただ、職種は違いますが医療人としての父の姿をずっと見ていました。休みの日でも急患に対応したり、常に勉強を続けていたり……。子ども心にも「すごいなぁ」と思っていました。最初は動物が好きだったので農学部などへの進学も考えましたが、やはり医療人になることに魅力を感じました。これは父からの言葉ですが「人の痛みが取れることはすごいことだ」と。また、将来的には独立もできる仕事である点も視野に入れて、歯学部に入ったという経緯です。

読者へのメッセージをお願いします。

林内優樹院長 わかば歯科 小児歯科6

皆さんには、お口や歯のトラブルがあった時にいつでも相談できるかかりつけの歯科医院を持ってほしいと思います。初めて来られる患者さんや一回限りの患者さんだと、歯科医師は、その日の状態からでしか状況を判断できません。やはり、適切な治療やアドバイスをするには、その方の口腔内だけでなく患者さん自身について深く知ることが大切で、一人の患者さんと長く関わり続けることがとても大事だと僕は思っています。ですので、読者の皆さんには一生付き合える歯科医院を見つけていただきたいですね。

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