楠原 文 院長の独自取材記事
つるかわ楠原歯科医院
(町田市/鶴川駅)
最終更新日:2021/10/12
玄関を入った瞬間、ふわっと優しい香りに包まれた。かすかに甘く、安らぎを感じさせてくれるアロマのフレーバー。ラテンテイストのBGMも心地よい。「つるかわ楠原歯科医院」は、鶴川駅目の前に立つメディカルビルの1室。まるでエステサロンに来たような、おしゃれな雰囲気が漂う。「治療へのモチベーションを持っていただけるよう、常に患者さんに寄り添うことを心がけています」と微笑むのは楠原文院長。長年、インプラント治療に尽力、その確かな実績と豊かな経験は多くの患者から厚い信頼を寄せられている。さっぱりとして、それでいて情の深さをにじませるざっくばらんな語り口。思わずホッと心も和み、あたたかいお人柄を感じずにはいられない。「10年先を見据えた治療」が診療の基本という楠原院長。その揺るぎない思いや心強いスタッフのこと、歯科医師を志した理由やご自身の自由な時間の過ごし方などプライベートなお話まで、たっぷりと語っていただいた。
(取材日2014年8月22日)
こだわりいっぱいの空間で、常に10年先を見据えた診療を
すみずみまで気配りの行き届いたスタイリッシュなクリニックですね。
開業にあたり、私には「これからクリニックは自分の部屋よりも長く過ごす場所になるだろうし、支えてくれるスタッフや大事な患者さんをお迎えする場所として、どうしても妥協したくない」という強い思いがありました。明日までにデザインを決めなければというギリギリのときになって、雑誌で素敵なデザインのクリニックの写真を発見。「こんなふうにしたい!」とダメ元でそのデザイン事務所「オジデザインワークス」に連絡を入れたら、すぐに会いに来てくださって。結果的に、思い描いていた通りにできあがったんですよ。こだわりは他にもあって、例えばBGMは、親交のある音楽プロデューサーLAVAさんが提供してくださるラテンテイストをモチーフにした、ここでしか聴けない音楽。院内の香りも、お気に入りの"アローラ"というアロマを使っています。照明の光や、随所に飾ってある白いカラーの花など、五感に響くものは開業当時からずっと変わらないまま。患者さんの記憶の中で、いつも同じイメージであることが大切だと思っているんです。
どのような患者さんが多く来院されるのでしょう?
やはりお近くにお住まいの方が中心ですね。厚誠会歯科院長時代の患者さんを可能な限り診続けてさしあげたいとの思いもあってこちらで開院を決めたのですが、駅前という好立地に、「近くまで来たからちょっと顔を見に来たよ」と、気軽にいらしてくださる患者さんもいて、とてもうれしく思っているんですよ。実は、土日は30〜60代の男性の方がほとんど。継続性が必要になる歯科治療は、いわば一生のお付き合い。そうすると患者さんにとっても仕事場より自宅に近いクリニックのほうがいいですよね。また、「ちょっと仕事を抜けて治療に」というふうでは、大切なお話をしてもなかなか耳に入っていかないもの。ですから、仕事と離れた時間に落ち着いて、じっくり腰を据え、10年先を見越した丁寧な治療を受けていただきたいというのが私のスタンスでもあるんです。ただ、いつでも気軽にかかれる身近なホームドクターだからといって、きちんとした治療ができないというのは絶対に嫌なんです。都心や大学病院に行かないと受けられなかった高度な治療を、地元でも受けられるようにしてさしあげたくて、マイクロスコープや歯科用CTなど医療機器も最新設備を導入しています。「常に最先端で最善の治療を」、これも大事なこだわりのひとつですね。
先生はインプラント治療に力を入れていらっしゃると伺いました。
はい。ここ10年以上インプラント治療を中心に診療。ずいぶん経験も積んできました。失ってしまった歯をできるだけミニマムに治療するにはインプラントが一番。ブリッジや入れ歯では、ほかの歯にバネをかけるなどどうしても負担がかかり、必ず負の連鎖が起きてしまうのはわかりきったことですからね。患者さんのその後のQOLをより向上させるという面においてもベストな治療ではないかと思っています。加えて、今は徹底した歯周病治療、予防治療にも力を入れています。歯科治療そのものに対する意識の高い方はとても増えましたが、自覚症状のほとんどない歯周病に関しては、ご自身が患っていると気づいていらっしゃらない方がほとんど。かなりひどい状態まで進行してしまっていることも少なくないんですよ。いくらインプラントをしようと思っても土台部分がしっかりしていなければ、結果的にいい治療もできませんからね。どんなに「早くインプラントをして」とおっしゃられても、まずは歯周病治療が先決。きちんとお話すれば、患者さんはみなさん、ご理解くださいます。歯は毎日、そして一生使うもの。常に10年先を見据えれた治療を心がけていきたいと思っています。
インプラントとの出会いが歯科医師人生を変えるきっかけに
先生はなぜ歯科医師を志されたのですか?
私は新潟県出身なんですが、実は、自宅の一番近くにあったのが歯科大学だったから、というのが一番の理由なんです(笑)。ただ、意識したことはなかったけれど、小学校の作文で「将来は歯医者さんになりたい」って書いていたんですよ。父は大学教授でしたが元は獣医師、親戚にも医療関係者が多かったせいもあるのかもしれません。どちらかというと、一生懸命勉強するというよりは楽しく遊んでしまうタイプだったんですけど(笑)。でも今は、「この仕事を選んで本当に良かった」「ほかの仕事でなくて良かった」と、心から思います。スタッフや、もちろん患者さんと関わっている時間もすごく好き。今まで辞めたいと思ったことはありませんね。その大きなきっかけが、インプラントとの出会いだったように思います。
インプラントと出会われたのはいつ頃だったのでしょう?
もう14年ほど前になります。最初は先輩のインプラント治療を見ているだけだったのですが、「とっても良くなったのよ」と患者さんが話していらっしゃるのを聞いたとき、「私もこれを勉強したい!」と、思ったんです。私が作った入れ歯を長く使ってくださっている方もいるけれど、入れ歯であることにコンプレックスを感じたりストレスを抱えている方も多くいらっしゃいました。自信を持って患者さんにインプラントを提供できるようになり、「やはり劇的な変化をもたらすことができるんだ」と実感。これまで何千回と治療している中で、インプラントを入れなければ良かったという方に1人も出会ったことがありません。なかには涙を流して喜んでくださる方もらっしゃいましたよ。「入れ歯の苦痛から解放してくれてありがとう」と、初めて心の底から感謝していただけるようになったかな、としみじみ思います。実は、私自身もインプラント体験者。今、これだけナチュラルに笑っていられるし、食事もできて、本当にインプラントに感謝しているんです。確かにコストもかかりますが、一生のこと。「間違いないものだ」という確信を裏付けるほどの勉強と経験、時間を費やしてきましたから、これからも自信を持ってお勧めしていきたいと思いますね。
お忙しい先生。リフレッシュの源をお教えください。
旅行ですね。うまく休みが取れれば、思いついたら即行動で、パッと海外旅行に出掛けてしまいま す。今年もイタリアに行ってきました。ラファエロが好きで、見に行きたいなあと思ったんですよ。そして、私の最大の癒しでありエネルギーの源になっている のが、ペットの「ナノ」という名前のチワワ。4年前から飼い始めました。最初にうちに来たとき、本当にとっても小さくって。ナノサイズから取った名前なんです。今は3.5キロくらいまで大きくなりましたが、もうかわいくてたまらない(笑)。ナノのおかげで、「また明日もがんばろう」という気持ちになれているように思います。
統一感と安定感を忘れず、常に患者に寄り沿った治療を
スタッフの方々の温かい笑顔がとても印象的です。
ありがとうございます。みんな、本当に優秀で素敵な人ばかりなんですよ。例えば虫歯1本でも、歯科治療ってタイミングがとても大切。お仕事やご家庭といったまわりの状況に左右される部分も大きく、その方のライフスタイルのなかでタイミングがうまく合わないと、結局は通いきれなくなってしまいます。今、力を入れている歯周病も、これは一種の社会病。さまざまなストレスなども一因になるので、一歩踏み込んでじっくりお話することが必要です。また、長い治療期間中、モチベーションを保つために「この方は途中休憩が必要」といった判断も、何気ない会話のなかから察していかなければいけない。つまり、どれだけ患者さんに寄り添い、心許していただけるかが非常に重要なんです。当院の衛生士は、全員、家庭を持つ、人生経験も技術的実績も豊富なベテランばかり。常に患者さんを思いやり、細やかな心遣いで接してくれているので、本当に心強くて。4人の衛生士のうち、3人はママさん。出産前から働いていて、産休を取って戻ってきてくれます。産休制度を取り入れているクリニックは珍しいと思うので、そういった意味では女性が働きやすい環境といえるかもしれません。一番付き合いの長いスタッフは、もう17年になりますからね。みんな私の理念をよく理解し、ずっと支えてくれている。「幸せだなあ」と、心から感謝しています。
先生の理念、そして今後の展望をお聞かせください。
まず、自分の発信することはいつも、すべて、どんなことでも常に統一感を持たせ、私自身が安定感のある人間でいたいと思います。長くお付き合いいただくためには、こちらがコロコロとスタイルを変えていては絶対にダメですよね。診療をするうえで最も大切な信頼関係を築く根本も、私のぶれない姿勢にあると思いますし。大事なのは常にここにあり続けること。「鶴川に行けばつるかわ楠原歯科医院がある」と、安心して来ていただけるようなクリニックでありたいです。診療に関しても、これまでと同様、10年先を見据えた治療を提案していきたい。開業時、細部にまでこだわって理想に近いクリニックができたつもりですが、やはり大切なのは本質的な治療の部分。そこできちんと納得いただけることが何より重要だと改めて痛感しています。インプラントや歯周病、予防歯科に一層力を入れつつ、今後はできるだけ金属をさけたメタルフリーの治療を心がけていきたいですね。そしてもうひとつ、これからの私のテーマだと思うのは、積み重ねてきた経験を生かし、若いドクターや衛生士の育成に尽力すること。「もっと女医さんが活躍できるクリニックを作りたい!」と、本気で思っているんですよ。女性だからこそできることもありますし、「自分はドクターなんだ」と、どんなときも凛としていてほしい。私自身、日々、そうあり続けたいと思います。
お口の健康を守りつつ、明るく楽しい人生を送っていくため、読者にメッセージをお願いします。
歯科治療って、私たち歯科医師ができることはどうしても限られています。最終的には、ご自身で磨くことの大切さを理解し、自発的・積極的に治療に参加していただかなければ何も変わりませんからね。つまり、社会の第一線で活躍していらした方々の、その後の人生をよりよいものにしていくためのお手伝い。そのモチベーション作りがとても重要だと思います。ですから「一緒に同じ方向を向いてゴールを目指していかれる」と思えるドクターと出会えるかが、実は一番大事。とにかく、あきらめずにご自身に合うドクター探しをしていただきたいですね。「合わないな」と感じながら我慢して通う必要はないでしょうし、ただ、だからといって医師側がへりくだる必要もない。やはり治療する側とされる側というスタンスは絶対に維持しなければ、多分治療もうまくいかなくなってしまうはずです。難しいですが、双方ある意味、謙虚でなければ。私は「きちんと治してさしあげたい」と思うからこそ、かなりハッキリお話してしまうところもあって(笑)、なかにはストレートすぎると感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。でも、そこをきちんとお伝えし、患者さん自身に本気で治すつもりがあるかどうか確認するのも大事なこと。必ずモチベーションにもつながっていくと思うんですよ。私もスタッフも、常に「患者さんと手を取り合って頑張っていくには、どう話したらご理解いただけるか」を考えているつもり。ご共感いただけたなら、ぜひ、足を運んでいただけるとうれしいです。心からお待ちしています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/33万円~、審美歯科(セラミック)/〜17万6000円、ホワイトニング(上下前歯12本)/9900円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。