大野 晋治 院長の独自取材記事
札幌おおの眼科
(札幌市東区/元町駅)
最終更新日:2022/06/07

札樽自動車道・伏古ICから車で約3分の場所にある「札幌おおの眼科」は、2022年5月に開業した医院だ。すぐ隣に併設されている約50台分の無料駐車場が利用でき、車でのアクセスが便利。院長の大野晋治先生は、眼科医として働きながら大学院などで研究をしてきた努力家だ。優しい口調からは患者を第一に考える真摯な思いが伝わってくる。院内は、待合室の大きな窓から光が差し込む明るく広々とした空間で、手術室やエレベーターも備える。一般の眼科疾患の診療はもちろん、コンタクトレンズの処方や白内障や緑内障などの日帰り手術にも対応可能。地域の医院ならではの小回りの利く体制で、患者目線での医院づくりをめざす。できるだけ地域の医療ニーズに応えたいと話す大野院長に、診療ポリシーや今後の展望について聞いた。
(取材日2022年4月25日)
地域の医療ニーズに応えたいと開業
この地域に開業を決めた理由は何でしょうか。

この近くで比較的大きな眼科医院があったのですが、そちらが閉院してしまい通院していた患者さんが行き場に困っているという話を聞いたからです。そういった事情もあり、前勤務地である旭川よりも札幌のほうが眼科の医療ニーズも高いと考えこの地に開業を決めました。開業にあたっては、先輩医師たちにお願いして10ヵ所近くの医院を視察させていただきました。各医院の良いところを参考にして、患者さんがすごしやすい空間になるように内装を工夫しています。
手術室を備えているそうですね。
はい、1つの医院で検査・治療・手術がすべてできたほうが患者さんにとっていいと思ったので、私の専門でもある網膜硝子体手術を含め、幅広い治療に対応できるよう手術設備を整えています。もちろん手術にはリスクがつきまといますし、設備投資も必要になってくるので手術対応は簡単ではありません。ですが患者さんのニーズがあるのなら、私は開業しても手術対応を続けたいと考えました。開業の利点は院長の私が思うとおりの医療ができることですから、大学病院では難しかった細かなニーズに応える医療を当院で実現し、患者さんに寄り添った医療をめざしたいと思います。
眼科の魅力はどんなところにありますか。

患者さんに治療後の変化を感じてもらいやすいところが眼科の魅力ではないでしょうか。眼科の手術では、落ちてしまった目の機能を手術によって回復させることが望めます。目は外からの刺激の大部分を受けとる大切な器官ですから、当院での治療や手術によって患者さんの生活の質が上がればいいなと思います。ほかには、顕微鏡を活用した細かな作業が多いのも眼科の手術の特徴です。ほかの科の手術に比べてミクロレベルの繊細な目の組織にアクセスできるところが眼科の面白いところだと思います。
エビデンスに基づいた治療をめざす
これまでのご経歴をお伺いします。

親は公務員なのですが親戚には何人か医師がいたこともあり、医師という職業はわりと身近なものだったと記憶しています。高校までは帯広で過ごし、旭川医科大学医学部に進学しました。卒業後は2年間研修医をした後、大学病院などで経験を積みました。それから再び大学院に戻って、外来で週2日働きながら残りの3日は研究に明け暮れるという生活を4年間続けました。大学院で専門にしていたのは網膜という目の奥の組織です。ちょうど私が眼科医になった頃、網膜の病気の新しい注射薬が出たことによって、早期発見・早期治療で視力の維持や症状の抑制がより期待できるようになりました。そこで興味をもって研究し開業した今でも専門としています。大学院での研究や大学病院でたくさんの症例にふれて経験を積めたことは、開業した今でも強みになっていると感じます。
網膜に関する病気について詳しく教えてください。
網膜は、目の奥側の壁にくっついている組織です。カメラに例えるとフィルムの役割をもつ部位で、ここが悪くなると他の組織が正常でも物が見えなくなるという大切なところです。網膜は基本的に再生することはないので、一度症状が悪化してしまうと治療が難しいともいわれています。現在、一部の網膜疾患の治療の主流となっている注射の治療では、目薬で麻酔を行った後極細の針で注射するので、治療の時間も比較的短く済みますし患者さんの負担も減りました。ただ、現状では治療後の状態を長期間維持することは難しいので、投薬のタイミングを調整して定期的に治療を行います。難しいところは患者さんによって最適な投薬のタイミングが違うことですが、これまでの経験を生かして投薬間隔の見極めを行っています。
診療ポリシーはありますか。

今、世界でトレンドとなっている先進の眼科治療を患者さんに提供したいと思っています。最近では、エビデンスのある治療がより重視されるようになってきました。標準治療ともいうのですが、例えば「こういう治療をするとこういう結果になる」という一つの基準をもとにして治療を行う方法です。ただし治療のトレンドは5年もすると新しいものに置きかわることも多く、情報収集が欠かせません。院長の私を含めスタッフ全体で常に研鑽と勉強を重ね、患者さんのニーズに応えて新しい医療の提供をめざしていきたいと思います。患者さんに求められる医療の提供が第一ですから、治療の幅も狭めずに、一般的な眼科疾患からコンタクトレンズの処方、専門的な手術までできるだけ幅広く対応できる体制構築に努めています。
患者のためになる医院でありたい
患者第一を大切にしているのですね。

「通院しやすい眼科」をめざしているので、患者さん目線の医院づくりが大切です。インターネットの予約システムの導入も、患者さんの待ち時間を短縮し時間を有効活用してもらうことが目的です。検査から治療まで間隔が空いてしまうと症状が進行することもあるので、患者さんの状態を見ながら、可能なら検査当日に診断・治療を行いますし、別日でもなるべく早く治療を行うように努力しています。患者さん一人ひとりの声をしっかり聞くことも大切にしています。たとえ同じ視力や同じ検査結果でも、患者さんによって感じ方はまったく違います。医師としてリスクを含めた情報の提供やアドバイスはもちろん行いますが、まずは患者さんのお話にしっかり耳を傾けて患者さんの生活スタイルや背景を理解した上で、ご本人が求めている医療の提供に向けて治療方針を一緒に決めていきます。
医師としてのやりがいはどんなときに感じますか。
治療や手術を行って、患者さんから感謝してもらえることが一番のやりがいですね。目という器官の中でも専門は細かく分かれていて、ミクロレベルの小さな組織にアクセスするので治療も難しいですが、その分やりがいも大きいと個人的には感じます。患者さんによって状態もさまざまで治療や手術もオーダーメイドなので、常に緊張感をもって診療にあたっています。時には以前手術をした患者さんのご家族が来院していただけることもあって、信頼していただいていることをうれしく思います。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

当院では、地域の方に信頼していただけるような眼科をめざしています。患者さんのニーズに応えるために、スタッフ全員で日々研鑽に励みスキルアップを図ってまいります。院長の私自身も積極的に勉強会などに参加しています。当院では地域でできるだけ質の高い医療を受けていただけるように、検査から治療・日帰り手術まで対応いたします。入院が必要な場合には提携している総合病院をご紹介することも可能です。通院しやすく気軽に相談してもらえるような医院づくりに取り組んでいるので、日常生活でお困り事や少しでも気になる症状があれば、お気軽にご相談いただければと思います。