渡辺 直孝 院長の独自取材記事
渡辺眼科クリニック
(安城市/三河安城駅)
最終更新日:2023/02/09

安城市と知立市を結ぶ県道298号線沿い、安城市篠目町にある「渡辺眼科クリニック」は2022年4月に開業した。院長の渡辺直孝先生は2002年に安城更生病院着任以来、20年以上眼科部門責任者として勤務し、白内障手術や網膜硝子体手術、緑内障手術など、多くの手術を執刀してきた。待ち時間の長い基幹病院での悩みを少しでも解消できないかと開業に踏み切った。更生病院から引き続き通院する患者も多い。若い世代の多い地域ということで、子どもの近視やものもらい、結膜炎といった疾患にも対応し、患者層が幅広いのも特徴だ。今までの経験を生かし「白内障などの日帰り手術に力を入れていきたい」という渡辺院長に、今までの経験やクリニックのことを聞いた。
(取材日2022年8月26日)
20年以上慣れ親しんだ土地で開業
先生のご経歴を教えてください。

親戚含め周りに医師が多い環境だったのもあり、自然と医師をめざすようになりました。大学卒業後、瀬戸市の陶生病院で研修医となり、その時に、専門を眼科、小児科、呼吸器科で迷い、その中で一番興味を持った眼科に決めました。その後、名古屋大学眼科学教室に入局し、大学院で医学博士号を取得し、江南市の厚生連昭和病院で勤めた後、安城市にある厚生連安城更生病院に長く勤務していました。そちらで20年ほど眼科専門の医師として経験を積んで、身近な病気から重症疾患、難治疾患、専門性の高い疾患まで幅広い眼科治療を担ってきました。眼科代表部長を経て、2022年4月に開業しました。
安城市に開業されたのはなぜですか。
僕は名古屋市出身で、三河というのは安城の更生病院に来るまで、あまりなじみのない地域でした。過ごしてみると、安城市は坂も少ないし、暮らしやすい、明るい町というイメージですね。公園もたくさんあって、子育てにはとても良い場所だと聞きます。更生病院に長く勤めていたこともあり、慣れ親しんだ安城市で開業を決めました。当クリニックのある三河安城駅周辺、篠目町付近は若い方が多く住んでいる地域のようですね。知立市と安城市を結ぶ298号線沿いでわかりやすい場所にあります。若いご家族や更生病院からの患者さんなど、幅広い年齢層の方が来院されています。
開業された理由を教えてください。

祖父は開業医でしたが、父は小児科で勤務医だったこともあって、もともと開業しようとは思ってなかったんです。でも眼科の医師というのは開業される方も多く、周りの影響もあって、50代になり、自分の病院をやってみようかと考えるようになりました。更生病院で長く勤務している中で、待ち時間が長いことや手術を何ヵ月もお待たせしてしまうこともあり、どうにかしたいという気持ちもありました。病院に勤務していた時は医療だけに集中していれば良かったのですが、開業すると自分で全部やらなくてはいけないので、大変ですね(笑)。でも、やらなくてはわからない世界をいろいろ知ることができて、開業して良かったと思っています。
基幹病院での貴重な経験を生かして治療に取り組む
開業されて変わったことは何ですか。

スタッフとの関わり方は変わりました。大きな病院では、看護師は看護師で上司がいるし、自分たち医師は自分たちでやっていて、転勤や配置の移動もあったりするので、あまり関係が深くなかったように感じます。でも今は看護師さん、視能訓練士さん、医療事務員さん、皆さんがしっかり働いてくれるから、僕の仕事が成り立つということを痛感するようになりました。スタッフは家族みたいな存在になっていますね。今は医療もサービス業になってきていると思うので、彼女たちのサポートにとても助けられています。良いスタッフたちが集まってくれたので、診察も円滑に行うことができ、とても感謝しています。
更生病院での経験は貴重なものだったのではないですか。
安城更生病院はこの地域の基幹病院なので、いろいろなことをやらせてもらう機会に恵まれ、さまざまな治療に携わってきました。例えば、未熟児の目の疾患にレーザーを当てるような治療は他の病院ではなかなか経験できないことです。今は注射など別の治療方法もありますが、当時そういった治療ができる施設は少なかったので、おそらく、眼科専門の医師になっても一生経験しない人もいるんじゃないでしょうかね。そういう特殊な治療もしてきたという自負がありますね。
手術の経験も豊富だと伺いました。

更生病院のような大きな病院では、いろいろな治療を満遍なくできなくてはいけません。特に白内障手術、網膜硝子体手術、緑内障手術は数多く経験してきました。白内障でも重い症状や難しい症例の方が病院に送られてくる場合も多かったので、そういった治療もしてきました。網膜硝子体手術は糖尿病の方が受けられたり、やはり目の手術は高齢の方が多いですね。僕が更生病院で働き始めた時は、まだこの周辺に眼科が少なく、結膜炎やいわゆる「ものもらい」といわれる麦粒腫(ばくりゅうしゅ)や霰粒腫(さんりゅうしゅ)の患者さんもいたのですが、最近では眼科もいくつかでき、そういった患者さんは開業している眼科で診るという時代になってきたので、更生病院ではどちらかというと重い症状の方を診ていました。今は白内障の手術で来られる方はもちろんですが、ものもらいや学校の検診での結果をお持ちになるお子さんの受診も多いですね。
白内障や緑内障などの日帰り手術にも対応
今後、こちらでは手術に注力されていくそうですね。

今も手術には対応していますが、今後、白内障手術や網膜硝子体手術、緑内障手術など、日帰りの手術がもっとスムーズにできるよう、設備を整えていく予定です。手術室も備えています。今でも更生病院の時の患者さんが来院されており、その方たちのクチコミで、白内障の治療に来てくれている患者さんも大勢います。まだ開院したばかりなので、これからスタッフや設備も徐々にそろえ、手術ができる環境を充実させていきたいと思っています。大学病院や更生病院などで経験してきたことを生かして高度な医療を提供していけるようにしていきたいですね。
最近、診療の中で思うことはありますか。
スマートフォンやタブレットの普及により近くでものを見る機会が増え、目が悪くなる若い人が増えましたね。少し前から小さなお子さんの近視が進行していると世界的にいわれています。昔と違って、小さいうちからスマホやタブレットで動画などを見ることが避けられなくなり、どうしても近視が増えてしまう。予防としては外遊びが推奨されています。太陽の光を浴びることが、近視の進行抑制に役立つといわれているんですよ。また、よくいわれているのが、近くを見た後は遠くを見ることですね。近視は遺伝的なこともありますが、環境も大きいです。親は目が良いのに、子どもが近視という家庭も増えています。
最後に読者にメッセージをお願いします。

患者さんの話をよく聞くようにしています。長くなっても、患者さんが思っていることに対してはきちんとお話をして、なるべく図などを用いて、どういうことなのかを見せてわかりやすく説明しています。患者さんが不安に思っていることが解決できるといいですよね。眼科は外科系なので、自分で診て、診断して、治療するという過程まで見届けることができ、やりがいを感じています。目のことでお悩みがあれば気軽にご相談ください。