長嶺 憲作 院長の独自取材記事
ながみね歯科醫院
(札幌市白石区/白石駅)
最終更新日:2023/01/18

沖縄県出身の長嶺憲作院長が札幌市に「ながみね歯科醫院」を開院したのは2021年9月のことだ。北海道医療大学歯学部を卒業後、市内のクリニックに勤め、院長も経験するなど、多くの患者を診てきた長嶺院長。補綴治療を専門としており、現在でも技術を磨くべく日々勉強を重ね、勉強会に参加して知識を深めるなど研究に余念がない。しっかりとしたデータに基づいて治療を進めていきたいと、咀嚼機能の検査にも力を入れる。患者の状況や要望に応じて、適切な治療の提供に努める長嶺院長に、診療で大切にしていることや感染症対策についてなど、さまざまな話を聞かせてもらった。
(取材日2022年8月18日)
検査も活用して一人ひとりに適切な補綴治療を
力を入れる補綴治療について、先生のお考えを聞かせていただけますか?

お口の役割として咀嚼が一番大事だと考えています。その機能の回復をめざすのが補綴です。歯を失うと咀嚼機能が損なわれてしまうので、補綴治療で歯を補い、歯列を整え、機能の回復に努めていくという流れです。例えば虫歯などで抜歯せざるを得ず、歯をなくした場合に、インプラント治療や入れ歯治療に対応するのも補綴治療の一つです。患者さんによってそれぞれ異なる生活をしていますので、日々進歩する補綴治療の内容や、材料、技術を踏まえ、それを患者さんごとにどう合わせて選んでいくかが重要なポイントだと思っています。その際、どのくらい機能回復が必要かを探るべく、検査や診断をきちんとすることが大切です。まずは、エックス線で骨の状態を確認し、噛み合わせの状態を診るために歯型を採ります。型採りはかぶせ物を作るためだけではなく、治療前に今の状態を確認する目的もあり、そこから補綴物について考えていくのです。
補綴治療にはいろいろあるのですね。
そうですね。インプラント治療、入れ歯治療などの中から、その方の機能回復に何が適しているかを考えていくのです。かぶせ物にも種類があり、保険適用外のものもあります。患者さんの歯磨きの能力や生活習慣なども考慮して、どれが適切かを選んでお勧めしていきます。もちろん勧めたからと言って、それでないと駄目だということはありません。補綴物の設計をする際は、実際に患者さんの口の中を診るだけでなく、さまざまな角度からの噛み合わせについて検査画像の写真も見ながら考えます。その際、より良い選択ができるように、多様な検査も行っているんですよ。専用のグミを噛んで出る唾液からグルコース濃度数値を測る咀嚼能力検査、フィルムをお口に入れて噛んでもらう咬合圧検査、歯と歯がぶつかる場所を特定する咬合接触検査など、いずれも条件はありますが保険診療でできるものです。
そういった検査は以前からあるものですか?

はい。以前からある検査ですが、手間もかかるので大変かもしれません。ただ、こういった検査をきちんとやっていくことの重要性は、お世話になっている先生に教わりました。大変な面もありますが大事な検査だなと思っています。ただ、もちろんすべての検査を無理にやっていただくわけではありません。クリニックに通うというのは、忙しい日々の中でストレスになることもあるでしょう。だからこそ、できるだけ短期間で治療を終わらせたり、待ち時間を少なくしたりすることも大事です。まずは来た時の主訴をきちんとくみ取りたいと思っていますので、最初の来院時はそのための治療を行います。その上で、他に虫歯など気になる部分があれば、その情報をお伝えして、患者さんのご要望に応じて検査や治療を進めていきます。
患者・スタッフの安心を追求し感染症対策にも注力
感染症対策を徹底されているそうですね。

当院の設計は、補綴歯科治療の専門家としてご指導いただいている先生に監修をお願いしています。滅菌機器メーカーのインストラクターも務めている方なので、ユニットを選ぶ際の助言もいただきました。歯を削る時やうがいをする時に出てくる水がありますよね。そうした水にまで気を配り、きちんと管理できる設備を導入しているんですよ。ホースの中まで毎日しっかり洗浄して、衛生管理に努めています。
ステリライゼーションルームについて聞かせてください。
ステリライゼーションルームとは、消毒滅菌室といったものをイメージしてもらうとわかりやすいのではないでしょうか。当院ではスタッフが器具の滅菌消毒を全部やってくれています。「赤は汚染区域」「黄色は洗浄区域」「青は滅菌区域」と、目で見てわかるように区分けしているのですが、こうした設備が患者さんから見える場所にあるのは、珍しいかもしれませんね。患者さんが目にすることで安心できるかなと思い、当院ではあえて見えるようなところに配置しています。日本では滅菌施設についてのガイドラインがまだあまり整備されていませんが、例えばドイツではきっちりと決まっているそうです。そこで当院も、「これくらいでいいや」と曖昧にするのではなく、そうしたガイドラインに則って設計してもらい、活用しています。
患者さんから院内の広さで驚かれることがあるそうですね。

初めて来た患者さんからは、驚かれることがありますね(笑)。口の中を触るので、感染症対策という面からエックス線は部屋を移動せず撮れるようにしていますし、そのためにアシスタントが2人いても問題ないくらいの広さで設計しています。当院の患者さんは高齢層が中心で、補綴が必要な方が多いこともあり、なおさら感染症対策は大切だと考えています。診療が始まる前に滅菌機がちゃんと稼働しているか、毎日確認もしているんですよ。高圧の蒸気で滅菌するのですが、それがきちんと作動しているか確認する機械があるので、それでチェックしています。手間はかかりますが、開業する時に必ずこうした確認はしっかりやっていこうと決めたので、そのとおりにやっていますね。
患者のQOL向上のため、咀嚼機能の改善をめざす
沖縄ご出身ということですが、なぜ北海道で開院されたのでしょうか?

歯科医師をめざそうと思ったのは、高校3年生の頃でした。父親が歯科医師だったことが大きいと思います。沖縄には歯学部がないのでどこで学ぶか迷っていたのですが、親に勧められて北海道医療大学に進んだことで、それからずっと北海道です。開院にあたって、沖縄でも場所を探したのですが、広さといった条件に合うところがここでした。先ほどお話しした咀嚼機能検査や咬合圧検査といった機能検査をしているかどうかは、患者さんの治療に必要なのはもちろん、症例として研究する上でも重要です。機器や設備をそろえ、しっかり補綴治療をしていきたい。そんな自分の思いを実現するクリニックをつくるためには、広さが必要だったということですね。
患者さんとのエピソードについて聞かせてください。
まだ歯科医師になりたての頃ですが、私の治療にご不満を持った患者さんが帰ってしまったことがありました。「もっと技術と知識を磨かなくてはいけない」と心から思った出来事でしたね。もうそうしたことはもちろんありませんが、技術の向上には終わりがありません。まだまだ勉強していきたくて、今でも勉強会に出て、より良い削り方などを追求しています。開業前より、開業してからのほうがさらに練習することが多くなったと思います。患者さんが口の悩みから解放され、おいしく食べられるようになるとうれしいですね。患者さんの生活の質の向上に直接関われる仕事ですから、歯科医師になって良かったなと思います。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

どの患者さんも満足させてあげられるようになりたいと思っています。口の機能の中で、咀嚼は一番大事な機能ですし、よく噛めないと栄養も取れません。また、発音にも影響を及ぼし、うまく会話ができなくなることもあるんですよ。そこで、機能を維持したり改善したりするために重要なのが補綴なのです。近年は歯科医師も専門的になることが求められてきていますので、私も補綴の分野で専門家になることをめざしています。お口の中で困っていることや何かしっくりこない不具合を感じている、また具体的にここを変えたいと思っている、お口の中にストレスがあるなど、どんなご相談も受けつけています。ベストを尽くしますので、気軽にご来院いただけたらと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント:4万4000円~、セラミック:5万5000円~11万円程度