江藤 哲哉 院長の独自取材記事
せたがや下馬クリニック
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2022/03/29

東急田園都市線と東急世田谷線が乗り入れる三軒茶屋駅から歩いて11分ほど。日本大学のキャンパス横に建つ、真新しい茶系ツートンカラーの建物が「せたがや下馬クリニック」だ。消化器内科を専門に内科全般を扱うクリニックで、2022年2月14日に開院したばかり。院長は勤務医として約30年ものキャリアを持つ江藤哲哉先生だ。実はこの地、江藤先生の父が院長を務め、85歳で引退するまで長年地元に愛されてきた「歯科江藤」跡地なのだそう。江藤先生自身も、幼少期には友人と日が暮れるまで遊び歩いたというなじみ深いこの地で、医師として新たなスタートを切った想い、そしてどのような診療を行っているのか話を聞いた。
(取材日2022年3月9日)
なじみ深い「下馬」の地でスタートする第2の医師人生
開業の経緯をお聞かせください。

もともとこの地で父が歯科クリニックを営んでおり、地元の方々がたいへん大事にしてくださっていたことを肌で感じていました。また、近隣にクリニックがほとんどなく、皆さんが困っているという話も聞いていました。そこで父の引退後、息子として少しでも恩返しができたらと、開院を決意したんです。同時に、両親がこの地で暮らしたがっていたので、クリニックの2階部分を住居スペースにし、住んでもらいました。もちろん開業は私自身も望んでいたことです。1992年に東京慈恵会医科大学を卒業し、約30年勤務医をしてきましたが、その中で、患者さまにより近いところで診療したいという想いを持ち続けてきました。なじみのあるこの場所で開業できるのはうれしい限りです。
こちらではどのような検査や治療が受けられるのでしょうか?
専門は消化器内科ですが、内科全般を診療いたします。できる検査としては、上下部消化管の内視鏡検査、腹部のエコー検査、胸部と腹部のエックス線検査。それ以外にも、一般的な採血検査や心電図、尿検査、また新型コロナウイルスのPCR検査が1時間で行える機器も導入しました。内科でしたら急性期疾患も慢性期疾患も、ほぼ全般的に対応していきます。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喘息などの初期治療もお任せください。また、オンライン診療も行います。感染症が気になるご時世ですし、利便性の面でも患者さまが待合室で過ごす時間を少しでも減らしたいと思ったのです。遠方の患者さまや来院するほどではないけれどちょっと気がかりなことがあるときも、オンラインであれば気軽に相談できますしね。しっかりとコミュニケーションをとって患者さまに安心していただくことは、検査以上に大切なことだと考えています。
クリニックづくりの上でこだわった点は?

「昭和の喫茶店」のような雰囲気をめざしました。私と同世代の方々に「懐かしい雰囲気だな」と思ってもらえたらうれしいですね。また、父から受け継いだ場所ですので、歯科時代に使っていた道具をディスプレーしています。昔、ここで歯科治療を受けていた方が来てくださったときに、懐かしんでもらえたらなと思っています。機能としては、コンパクトで便利なレイアウトにしました。また、ちょうど建設のタイミングでコロナ禍に突入したこともあり、換気にはとてもこだわりました。専門のコンサルタントにお願いして、換気能力の高さにこだわった空調設備を導入し、1時間で5回、院内の空気が入れ替わるようになっています。感染症が気になる時期も、換気は徹底して行っているのでご安心ください。
開院に際しての意気込みをお聞かせください。
これまで大学病院と関連病院で13年ほど、金沢病院で17年ほど勤務してきました。振り返ってみると、それぞれのステージで出会いがあり、気づきがあり、求められることで新たに勉強が必要なテーマを与えてもらったなと感じています。今回も開業にあたり、新たな患者さまと一緒に学び、成長していきたいです。まだ慣れないことも多いですが、事務長兼薬剤師を務める妻と2人で営む小さなクリニックですので、2人のペースで地域になじんでいけたらなと思っています。
病気だけを診ず患者と向き合う「寄り添う医療」が信条
先生のご経歴について詳しく教えてください。大学病院では消化器内科を専門に勉強されていたんですね。

消化器内科の医師として、消化管といって主に胃と腸をみる研究室に入り、内視鏡や顕微鏡の勉強も行いました。消化器内科の面白いところは、内視鏡を使うことで、皮膚科のように疾患を目視できるところです。そこが単純な私には非常に合いました。また、扱う病気の幅が広いところにも興味が湧きました。例えば、基本的に糖尿病内科や循環器内科ではがんの治療はありませんし、腎臓内科でメンタルの病気を扱うこともないでしょう。でも消化器内科では、がんや感染症、先天異常、免疫の異常からメンタルの病気までいろんな病気に携わる可能性があります。治療を通してさまざまな病気について広く学ぶことができるのが魅力ですね。
約17年勤務されていた金沢病院ではどのような診療をされていたのでしょうか?
現在の理事長が大学時代の同級生でして、声をかけてもらったことから始まり、内視鏡室長、訪問診療室長、地域連携部長、院長補佐を経験させて頂きました。入った当初は特に、消化器内科や内視鏡を扱った診療を多く受け持ちましたが、外来としては内科を担当していました。また、10年間訪問診療にも携わり週3日は訪問診療に出て、毎週多くの患者さまを診療していました。この時の経験から、当院でも近隣の神経内科の先生方と連携をしながら、認知症患者さまのケアをお手伝いできればと思っています。
医師としてのやりがいを感じるのはどんな時ですか?

患者さまが納得して、満足していただける医療を提供できたらいいなと思っています。すごく簡単に言うと、クリニックを出るときに患者さまが笑顔になっていたらいいなと。来院されたときに抱えている不安を解消するためのお手伝いができたときに、やりがいを感じますね。
診療において大切にしていることを教えてください。
母校の理念に「病気を診ずして病人を診よ」という教えがあります。患者さまの病気だけを診るのではなく、その人となりや置かれている環境を含めた患者さまそのものを癒やすことを意味しているのですが、研修医時代には「治療だけじゃない。言葉、表情、仕草、お前の全部を使って患者さんを癒やせ!」と叩き込まれてきました。検査以上にコミュニケーションを大事にしているのはそのためです。患者さまに寄り添い、話し合いながら、一緒に悩み、説明を尽くし、患者さまが納得し安心して病気と向き合えるようなお手伝いを心がけています。
患者の不安を解消するためのサポートをしたい
先生は幼少期、どんなお子さんでしたか?

公立の小中学校に通っていましたが、運動音痴で引っ込み思案で口下手な子でした。クラスにいる華やかな人気者たちの輪に入るなんて絶対無理で、逆に話しかけられるとどもってしまうようなタイプだったんです。でも、友達とはよく遊びましたよ。近くの公園で野球したりしてね。下手っぴながらうまい子たちの後について毎日駆け回っていました。
お父さまは歯科医師でいらっしゃいますが、先生はなぜ医師をめざされたのですか?
確かに父が歯科医師でしたので、小学生くらいまでは漠然と歯科医師になるものだと思っていました。中学校、高校と進学する中で本当に自分のやりたいことを突き詰めたときに、人の生死に関わる仕事をやってみたいと思ったんです。そんなふうに思ったのは、なぜでしょうね……。中学時代に自分は価値がないと思い込み、随分と自己嫌悪と戦っていた時期がありまして、そのとき人の役に立ちたい、社会の中で必要とされる役割を得たいと強く思ったんです。そこが医師をめざした原点かもしれませんね。
休日の過ごし方についても伺います。

24時間医師であり続けようとすると消耗してしまいますので、白衣を脱いだらもう医師ではないと割りきって、その時間を大切にしています。奥さんと一緒に気になる街を散歩するのが趣味です。大通りから一本入った路地裏を散策するのが好きなんですよね。あともう1つ言うと、大の野球好きでして、子どもが小さい時には、よく野球観戦に出かけていました。
最後にメッセージをお願いします。
体に関することで何か気になることがありましたら、「とりあえず相談してみよう」というスタンスで気軽にいらしてください。検査などしなくても、お話をするだけで解決につながるお悩みもあります。不安を解消するお手伝いをしていきたいと考えていますので、ぜひ一緒に考えていきましょう。