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茅原 誠 院長の独自取材記事

ミアグレースクリニック新潟

(新潟市中央区/新潟駅)

最終更新日:2024/09/30

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟 main

JR信越本線新潟駅から徒歩10分に位置する「ミアグレースクリニック新潟」。男性・女性の不妊治療と婦人科一般を専門にするクリニックだ。院長の茅原誠先生は、勤務医時代から不妊治療を数多く手がけてきた。男性側の不妊検査と治療を積極的に行うことは、女性の負担を減らすことにもつながるという。だからこそ、男女を問わず通いやすい雰囲気にしたかったという茅原院長。開業から半年、クリニックのコンセプトが少しずつ伝わり、夫が先に受診して妻を連れて来ることも増えてきたという、この分野では少し珍しいクリニックだ。診療後には市外にある実家の産院に向かい力を貸す日々。多忙を極める日々すらをも学びと笑顔に変えていく。そんなあふれるバイタリティーが魅力の茅原院長に、不妊治療や開業の経緯について語ってもらった。

(取材日2022年2月17日)

不妊治療を求める男性にも通いやすいクリニックに

新潟駅から近く非常に便利ですが、すこし目立ちにくい場所にあることには狙いがあるとか?

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟1

そうなんです。私は生殖医療を専門としていますので、治療によって患者さんや泌尿器科の医師が遠方から来ることもあり、新潟駅付近で開業の場所を探していました。通りから一本入ったこの場所を選んだのは、プライバシーに配慮したかったからなんです。ここはマンション1階で隣がコンビニですから、住民がちょっと買い物に来たようにも見えますし、どんな患者さんでも入りやすいと思い、ここに決めました。院内はできるだけ部屋数を造り、個別のお話が他の患者さんに聞こえないように造りも工夫しています。ちなみに、ミアグレースクリニック新潟というクリニック名にレディスクリニック、女性クリニック等の女性を思わせる言葉を入れなかったのは、不妊治療は夫婦で取り組むものだから男性にも頑張ってほしいと考えているからです。

男性の不妊治療にも力を入れてらっしゃるのは、珍しいのではないでしょうか。

当院の待合室には男性がとても多いそうで、よく驚かれます。不妊治療に関しては、男性に対する原因も探らないと、女性ばかりに心身の負担が大きくなることも考えられます。不妊治療は女性だけではなく、やれることはやってほしいという考えがあるからこそ、男女どちらも気軽に受診できるようにしたかったんです。そのために、男性側の不妊検査と治療を充実させるとともに、この分野のスペシャリストの先生にも県外から来ていただいています。当院に通ってくれている旦那さんたちは意識が高いのか、奥さん以上に治療に積極的な方もいますし、先に旦那さんが通院を始めて、後から奥さんを連れて来る方も何人もいますよ。

やはり患者さんは不妊治療の方が多いのでしょうか。

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟2

今のところ全体の約9割が不妊治療のご希望で、婦人科のみの患者さんは1割程度です。若い方では月経不順などの症状から、将来の不妊の可能性がわかることもあるので、どんな症状でも診られるように努力しています。地域的には、一番遠くは長野や群馬、福島などの県外からの患者さんです。診療内容は、タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療はもちろん、着床不全に対する精査、不育症検査、男性における精液症状不良症例にはホルモン検査、エコー検査など原因検索に努めております。ホルモン検査は院内で迅速に結果を出すことが可能です。また、セカンドオピニオン的に「他院に凍結胚があるんだけど、先生の意見を聞きたいので検査だけしてほしい」というご夫婦がおみえになることも頻繁にあります。私としては自分が学んできたことがお役に立てればと、相談だけでもお受けしています。

医師が選んだ言葉一つで、患者の心と生活が変わる

開業までのご経験を教えてください。

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟3

医師になって初期研修で新潟大学産婦人科教室に入り、県内各地の基幹病院に派遣されました。入局後4年目には九州の不妊治療クリニックに国内留学で9ヵ月研鑽させてもらった後、新潟に戻って新潟大学医歯学総合病院に勤務。当院を開業するまで8年、大学病院で奔走してきました。がんになった女性患者さんの卵子を凍結保存して、がんの治療後に妊娠できるようにするための「がん・生殖医療」の拠点づくりにも参画しました。また、非閉塞性無精子症の患者さんに対し県内では早い時期に、執刀医としてMicro-TESEによる精子の回収を行いました。

先生からは、勤勉さと親しみやすさを感じますね。そんな先生に影響を与えた人がいたとか?

私は妊娠できない方を見ているととても悔しいと感じるんです。そのため最新の知見を学ぼうと東京のクリニックに非常勤医師として勤務したこともありました。しかし、ほとんど休みのない生活をしていたら咳が止まらなくなってしまったんです。病院をいくつも変えて通いましたが原因がわかりませんでした。重い病気だったらと考えて毎日不安でした。そんな中、最後に診てくれた先生が豊富な診療経験と正しい知識で確定診断してくださいました。たまたま検査中撮影したCT検査で小さい病変が見つかった時、所見について医学的に丁寧に説明をしてくださり、フォロー中も落ち着いて過ごすことができました。医師としてこうありたいと思えるような先生で、それから患者さんとの向き合い方をより意識するようにもなりました。この経験の影響は大きいように感じています。

実際に診療時に心がけていることを教えてください。

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟4

産婦人科や不妊治療に訪れる患者さんは勇気をもって来院されている方が多いんです。不安や悩みを理解してほしい、話を聞いてほしいと思っている方のお気持ちを考えて、どう返事をしたら気持ちが楽になれるのかを意識しながらコミュニケーションを取るように努めています。その日の診察でどのような説明を受けたかで、次の診察までの2ヵ月、3ヵ月の間、患者さんの生活が変わることもあります。医師から「よくわからないからとりあえず経過を見て」と言われるのと「これらの所見を考察すると悪い物である可能性は低いと思うのでもう少し様子を見て」と言われるのは、同じ経過観察でも患者さんにとっては受け止め方が変わります。また、診察で痛い思いや不快な思いをしないよう、こちらがどんなに忙しくても雑な対応にならないよう心がけています。

これから生まれてくる子どもたちに伝えたいこと

医師の仕事を志したのはどうしてですか。

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟5

小学校から高校まで陸上部で県大会でも入賞するくらいだったので、自分は頑張れない人間じゃないんだという変な自信がありました。父は産婦人科の開業医ですが、「医師になれ」と英才教育を受けたわけでも、医学部受験を強制された訳でもありませんでした。ただ、医学部に受かった時はたいへん喜んでいました。父は自治医科大学医学部卒業で、へき地医療を担う使命があり、何から何まで一人でやる医師人生を歩んできました。普通ならへこたれるところを「やりがいがある」と言っていたので、そういう点に影響を受けて、同じ医師の道を選んだのかもしれません。最初は自分も産科を中心にやろうと思っていましたが、陸上のように成績が数字で出るもののほうが性格的に向いているので、不妊治療の仕事を専門に選びました。それでも頻繁に、父の産婦人科の手伝いに通っています。

休日の過ごし方を教えてください。

私は休日も仕事をしていることが多いですが、最近は帰宅して愛犬のトイプードルと遊ぶことが楽しみです。普段は私にすごく吠えてくるのに、散歩の準備をするとおなかを出して、連れて行ってとせがむのがたまらなくかわいいんです(笑)。もともと私は家族の中で唯一、犬を飼うのに反対していました。しかし飼ってみて思うことは犬は家のスペースや時間も取りますが、家族の心のスペースは広げてくれているということです。今では大切な家族の一員です。

今後の展望をお聞かせください。

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟6

学んだことが目に見える形で返ってくるのが医師の仕事で、その結果喜んでもらえるのはやりがいがあります。一方で心に強く残っているのは、治療がうまくいかなくて残念な結果になった患者さんです。そのたびにもっと学んで、患者さんの力になりたいというのがモチベーションになっています。当院の不妊治療で授かったお子さんたちがいつか大きくなって、何かの縁で話をする機会があったら「お父さんとお母さんは君に会いたくて頑張ってきたんだよ」と言ってあげたいし、そんな日が来たらうれしいと思っています。

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