全国のドクター13,603人の想いを取材
クリニック・病院 157,055件の情報を掲載(2025年4月25日現在)

ドクターズ・ファイル会員でできること

予約情報をマイページ上で管理できます!

過去の予約を一覧化

予約内容の確認

予約の変更・キャンセル※

※一部対象外の医療機関もありますので、あらかじめご了承ください

会員登録がお済みでない方は

すでに会員の方は

  1. TOP
  2. 新潟県
  3. 新潟市中央区
  4. 新潟駅
  5. ミアグレースクリニック新潟
  6. 茅原 誠 院長

茅原 誠 院長の独自取材記事

ミアグレースクリニック新潟

(新潟市中央区/新潟駅)

最終更新日:2025/03/12

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟 main

JR新潟駅から徒歩10分にある「ミアグレースクリニック新潟」。不妊症や不育症などの生殖医療を専門とするクリニックだ。茅原誠院長は、勤務医時代からこの分野の診療を多数手がけてきた。「難治性不妊においては、単に受精卵を子宮内に移植するだけでなく、着床不全に関する検査などの幅広い取組みに加え、ハイレベルな胚培養技術が必要です」と語る。さらに男性側の不妊検査と治療を積極的に行うことは、女性の負担を減らすことにもつながるという。だからこそ、男女ともが通いやすい雰囲気にしたかったという。開業後コンセプトが少しずつ伝わり、夫が先に受診し、妻が後からという場合も多いという。多忙を極める日々も学びと笑顔に変え、バイタリティーが魅力の茅原院長に、治療や開業の経緯について語ってもらった。

(取材日2022年2月17日)

不妊治療を求める男性にも通いやすいクリニックに

新潟駅から近く非常に便利ですが、すこし目立ちにくい場所にあることには狙いがあるとか?

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟1

そうです。まず、私は生殖医療を専門としていますので、治療によって患者さまや泌尿器科の医師が遠方から来ることもあり、新潟駅付近で開業の場所を探していました。通りから一本入ったこの場所を選んだのは、プライバシーに配慮したかったからなんです。ここはマンション1階で隣がコンビニですから、住民がちょっと買い物に来たようにも見えますし、どんな患者さまでも入りやすいと思い、ここに決めました。院内はできるだけ部屋数を造り、個別のお話が他の患者さまに聞こえないように造りも工夫しています。

男性の不妊治療にも力を入れてらっしゃるのは、珍しいのではないでしょうか。

当院の待合室には男性がとても多いそうで、よく驚かれます。不妊治療に関しては、男性に対する原因も探らないと、女性ばかりに心身の負担が大きくなってしまうことがあります。不妊治療で高い妊娠率をめざすには女性だけの診療では限界があると考えています。そのために、男性側の不妊検査と治療を充実させるとともに、この分野のスペシャリストの先生にも県外から来ていただいています。当院に通ってくれている旦那さまたちは意識が高いのか、奥さま以上に治療に積極的な方もおられます。

やはり患者さまは不妊治療の方が多いのでしょうか。

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟2

開院当初は婦人科の患者さまの診療も行っていましたが、1年後の時点で、不妊治療の受診が多くなり、生殖医療専門の方針に変更しました。現在当院を受診されている9割以上が生殖医療の患者さまで、婦人科診療は1割以下です。患者さまの居住地は、新潟市内がもちろん多いですが、遠くは福島や長野、群馬などからの人もおられます。診療内容はタイミング療法や人工授精などの不妊治療、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療はもちろん、着床不全に関する精査、不育症検査、男性のホルモン検査、精巣のエコー検査など原因検索に努めています。ホルモン検査は院内で迅速に結果を出すことが可能です。また、セカンドオピニオンで「他院に凍結胚が保管されているが、先生の意見を聞きたいので検査だけしてほしい」というご夫婦がおみえになることもあります。私としては自分が学んできたことがお役に立てればと、相談だけでもお受けしています。

医師が選んだ言葉一つで、患者の心と生活が変わる

開業までのご経験を教えてください。

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟3

医師になって初期研修で新潟大学産婦人科教室に入り、県内各地の基幹病院に派遣されました。入局後4年目には九州の不妊治療クリニックに国内留学で9ヵ月研鑽させてもらった後、新潟に戻って新潟大学医歯学総合病院に勤務。当院を開業するまで8年、大学病院で奔走してきました。がんになった女性患者さまの卵子を凍結保存して、がんの治療後に妊娠できるようにするための「がん・生殖医療」の拠点づくりにも参画しました。また、非閉塞性無精子症の患者さまに対し県内では早い時期に、執刀医としてMicro-TESEによる精子の回収を行いました。

先生からは、勤勉さと親しみやすさを感じますね。そんな先生に影響を与えた人がいたとか?

私は幸運にも、たくさんの恩師に支えられ、多くの言葉をいただき、日々の診療の中で思い出し、自分を鼓舞している言葉が一つあります。それは、まだ医師6年目くらいで働いていた時の上司からの言葉です。その日はあまりに患者さまが多く、待たせてしまいました。診療が終わったあと、恩師に呼び出されてこう問われたんです。「茅原、外来診療を早くするためにはどうしたらよいと思う?」と。「一つ一つの手技を急いで終わらせることでしょうか?」と答えたと記憶しています。そうしたら、「違う。診療を早めるために最も大事なのは診断能力だ。急いではいけない。お前は診断能力がないからお待たせするんだ。とにかく必死で勉強しろ」と。つまり「医師はいつまでも勉強しなければならないし、的確な診療を実現することが患者さまの待ち時間の短縮につながるのだろう」と受け止めました。今でもこのエピソードが自分の診療に対する心構えの一つになっています。

実際に診療時に心がけていることを教えてください。

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟4

産婦人科や不妊治療に訪れる患者さまは勇気をもって来院されている方が多いと思います。不安や悩みを理解してほしい、話を聞いてほしいと思っている方のお気持ちを考えて、どう返事をしたら気持ちが楽になれるのかを意識しながらコミュニケーションを取るように努めています。その日の診察でどのような説明を受けたかで、次の診察までの2ヵ月、3ヵ月の間、患者さまの生活が変わることもあります。医師から「よくわからないからとりあえず経過を見て」と言われるのと「これらの所見を考察すると悪い物である可能性は低いと思うのでもう少し様子を見て」と言われるのは、同じ経過観察でも患者さまにとっては受け止め方が変わります。また、診察で痛い思いや不快な思いをしないよう、こちらがどんなに忙しくても雑な対応にならないよう心がけています。

子どもを望む両親に伝えたいこと

2022年4月以降、体外受精が保険適応になりました。何か診療に変化はありますか?

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟5

私は全体的に評価すると、ARTにおける保険診療は有用と考えていますし、不自由を感じることは少ないです。ただ、保険診療下で実施できる胚移植の回数に制限があることについては注意が必要です。より良い胚を培養して一回一回を大事に移植していく必要があります。良い胚を培養できる体外受精実施施設の条件ですが、個人的には以下の3つが大事だと考えています。1つ目は患者さまの状態に合ったオーダーメイドの排卵誘発。2つ目に卵胞発育の状態とホルモン検査のデータから、ベストと判断された日程で採卵術の実施。3つ目が休診日でも胚盤胞凍結が可能な院内スタッフの整備。施設の都合で胚盤胞凍結を断るようなことがないなど、これらの条件が整っているだけで、その施設がどれだけ生殖医療に力を入れているかがわかると思っています。一回一回の胚移植を大切に思っていただけるのであれば、ぜひ当院での体外受精を検討していただきたいと思います。

今後の展望をお聞かせください。

茅原誠院長 ミアグレースクリニック新潟6

学んだことが目に見える形で返ってくるのが医師の仕事で、その結果喜んでもらえるのはやりがいがあります。一方で心に強く残っているのは、治療がうまくいかなくて残念な結果になった患者さまです。そのたびにもっと学んで、患者さまの力になりたいという気持ちになります。当院の不妊治療で授かったお子さまたちがいつか大きくなって、何かの縁で話をする機会があったら「お父さんとお母さんは君に会いたくて頑張ってきたんだよ」と言ってあげたいし、そんな日が来たらうれしいと思っています。

Access