茂木 将 院長の独自取材記事
歯科ハミール高田88
(新宿区/高田馬場駅)
最終更新日:2025/09/12
高田馬場駅から徒歩1分、白を基調としたカフェのような空間が広がる「歯科ハミール高田88」。茂木将院長は、「どんな方でも受け入れる」というコンセプトのもと、患者の半分を占める外国人にも中国人スタッフの通訳で対応し、多様性を大切にしている。「自分がされたらうれしいことをする」という診療ポリシーの原点は、客室乗務員だった母親の影響。サービス業のプロフェッショナルである母のもとで育ったことが、患者へのホスピタリティーにつながっているという。歯科医師を「天職」と断言する茂木院長に、神経を残すための歯髄温存療法(VPT療法)への取り組みや、美容院に通うような感覚で、定期的に歯科検診を受けることの大切さを聞いた。
(取材日2025年8月29日)
地元で実現する多様性とホスピタリティー
院長就任までの経緯を教えてください。

大学卒業後は広尾病院の口腔外科で有病者歯科を経験し、その後母校の東京歯科大学インプラント科で研鑽を積んできました。実はここ高田馬場は私の地元で、愛着があるんです。インプラント科に在籍中、バイト先を探していた時にこのクリニックと出会い、週2回ほど非常勤として一年半働いていました。もともとどこかのタイミングで分院長はやってみたいと思っていたところ、理事長から分院長のお話をいただいたんです。地元で地域医療に貢献できるチャンスだと思い、今年の4月から院長を務めています。学生の街でもあり、外国人も多い高田馬場という土地柄を生かして、誰もが気軽に通えるクリニックをめざしています。
歯科医師を志したきっかけは?
父が眼科の医師だったこともあり、医療系には興味がありました。最初は医学部も考えましたが、歯学部のオープンキャンパスで口腔がんの手術を歯科医師が行うことを知り、衝撃を受けました。歯科のイメージって虫歯や矯正だけだと思っていたのに、頸部郭清術のような大きな手術まで行うなんて。知らない分野が多くて可能性を感じたんです。実際に歯科医師になってみて、物作りが好きで繊細な作業も苦にならない自分には向いていると実感しています。手を動かして患者さんの健康に貢献できる。この仕事はまさに天職だと思っています。
クリニックの特徴を教えてください。

一番の特徴は、患者さんの半分が外国人という多様性です。当院には中国人スタッフも在籍し、言葉の壁を感じさせない診療を心がけています。院内は白を基調にモダンな照明や間接照明を取り入れ、喫茶店のような雰囲気を演出。歯科医院特有の威圧感をなくし、足を運びやすい空間づくりにこだわりました。診療面では親知らずの抜歯に対応できる歯科医師が複数在籍し、大学病院を勧められた症例なども受け入れています。駅から1分という立地を生かし、土日診療や24時間ウェブ予約、当日急患対応など、忙しい方でも通いやすい体制を整えています。20代中心の若い患者さんが多いのも、この地域ならではの特徴ですね。
歯の未来を守るために神経の保存に注力
注力している歯髄温存療法(VPT療法)について教えてください。

VPT療法は「Vital Pulp Therapy」といって、神経を残すための治療法です。従来は虫歯が大きければ神経を抜くのが一般的でしたが、神経を抜くと歯は枯れ木のようになり、将来的に歯の寿命が短くなってしまいます。この治療では、少しでも神経を残せる可能性があれば2~3週間様子を見て、温存を試みます。その間にズキズキ痛む場合は結局神経を抜くこともありますが、患者さんの未来を考えたら挑戦する価値があると思っています。セカンドオピニオンとして相談で来られる人もいます。現在の一点だけでなく、過去と未来を含めた治療計画を立てることが大切だと考えています。
他にはどのような診療を行っていますか?
一般的な歯科診療はもちろん、親知らずの抜歯が多いのが当院の特徴です。炎症の具合によっては即日抜歯も可能です。初診時には歯だけでなく粘膜や歯の並び、すり減りなど口腔全体を診察します。なぜこの病気になったのか過去を分析し、今後起こり得る未来を予測して計画を立てていくんです。例えば、親知らずが原因で手前の歯が虫歯になったケースなど、原因を明確にして説明することを心がけています。最近はクリーニングの希望者も増えていて、歯石除去などのメンテナンスにも力を入れています。金額が大きい自費診療では必ず事前に費用を提示し、同意をいただいてから治療を進めています。
診療で大切にしていることは?

「自分がされたらうれしいことをする」これが私のポリシーです。患者さんの名前を積極的に呼び、プライベートな話も覚えておいて次回「海外への留学はどうなった?」と聞くなど、人と人の関わりを大切にしています。実は母が客室乗務員だったんです。サービス業のトップともいえる仕事で、母からはあいさつの仕方から人への接し方まで教わりました。そのホスピタリティーの精神が、今の診療スタイルにつながっています。医療はサービス業の一環でもある。患者さんが来なくなったら医療もできなくなってしまいますから。不安を取り除き、足を運びやすい環境をつくることが大切だと思っています。マスク越しでも目元で表情をつくり、患者さんとの信頼関係を築くよう心がけています。
美容院感覚で通える予防歯科へ
スタッフ体制について教えてください。

常勤医師は理事長と私、呂先生の3人で、その他に非常勤の先生が4人と月1回インプラントを専門とする先生にも来てもらっています。歯科衛生士と歯科助手も充実しており、特徴的なのは中国人スタッフによる通訳対応。患者さんの半分を占める外国人の方々とスムーズにコミュニケーションが取れる体制を整えています。スタッフ同士も頻繁にコミュニケーションを取り、通訳が必要な時は歯科衛生士が受付を手伝うなど、柔軟に対応しています。チーム医療で患者さんをサポートする体制を整えています。
今後の展望をお聞かせください。
まず個人的には「何でもここで一通りできます」と言えるような歯科医師をめざしています。そのために週2回、東京歯科大学のインプラント科で非常勤を続け、大型ケースなどまだ経験の少ない症例を学んでいます。歯科医師6年目でまだまだ学ぶことは多いんです。クリニックとしては、日本の予防歯科への意識を変えていきたいと思っています。日本は痛くならないと歯科医院に行かない文化ですが、アメリカでは予防が当たり前。虫歯1本の治療に10万円かかることもあります。SNSやもっと気軽に相談にきやすい雰囲気づくりなど、いろんな面から歯科への間口を広げて、全体的なデンタルIQを上げていけたらと考えています。
読者へのメッセージをお願いします。

歯科医院は歯に異常が生じてから行くのではなく、美容院と同じような感覚で通ってほしいと思っています。髪が伸びたら切るように、3~4ヵ月に一回の定期検診が重要です。どんなに歯磨きが上手な方でも歯石はついてしまいますし、早期発見・早期治療なら医療費も少なく済むかもしれません。どんなにいい素材を使って治療をしたとしても、メンテナンスを怠ってしまうと再治療のリスクは上がります。治療して終わりではなく、その後も定期的にケアを継続することが一番大事なことかもしれません。治療を終えた後の状態を維持するためにも、美容院に行くような感覚で、歯科にも気軽に足を運んでもらえればと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯髄温存療法/3300円~、インプラント治療/44万円~(税込み)

