三品 瞳 院長の独自取材記事
みしなこどもクリニック
(茨木市/茨木駅)
最終更新日:2025/02/14

茨木駅から徒歩12分の静かな住宅地にある「みしなこどもクリニック」。診察室はすべて6帖ほどの大きめの個室で、ゆったりと設置されたベッドやソファーに座りながら診察を待てるという珍しいスタイル。診察室は合計で5つあり、院長の三品瞳先生が看護師と一緒に、医療カートを押しながら診察室を回っていくというユニークな手法を取っている。「夫の医学研究で駐在したサンフランシスコの小児科で、このスタイルを知りました。子どもたちの感染症予防にもメリットが大きいと思い、2021年の移転を機に、新しいスタイルでスタートしたんです」。自身も3児の子育てを経験し、育児の大変さを知っているからこそ「親たちの不安や悩みに寄り添いたい」と話す三品院長。注力する診療、小児科医としての大切にしていることについてじっくり聞いた。
(取材日2025年1月15日)
診察室はすべて個室。看護師と一緒に診療に回る
子どもたちへの優しい配慮を随所に感じます。診察室もたくさんあるのですね。

はい。壁色やキャラクターを変えた診察室が、全部で5つあります。そしてその間を私と看護師で、診療カートをガラガラ押しながら、順番に回っていくというのが当院の診療スタイルです。海外ではわりと一般的で、新型コロナウイルス感染症が流行する前から考えており、ここへ移転した機にスタートさせました。病気診療と健診でも部屋を分けていますので、安心して受診していただけると思います。予防接種の場合は少しお待ちいただくかもしれませんが、ほとんどは受付後すぐ診察室へ案内しています。ベッドもソファーも設置していますので、好きなほうでくつろいだり、遊んだりしながらお待ちいただいています。
日々の診療で大切にされているのは、どんなことですか?
お母さんやお父さんが、一番困っていることは何だろう、ということを、常に気にしながら診療しています。ちょっとした咳や鼻水の症状で来院されていても、親御さんが本当に聞きたいポイントや気になっていることは、そのさらに奥に隠れていたりします。本当はこういうことも聞きたい、この症状とは関係ないのかな? と言いかけた言葉を飲み込ませない、なんでもフランクに言ってもらえる雰囲気、環境づくりを大切にしています。できる限り親身にお話を聞いて、いつでも寄り添って、できる限りのアドバイスやサポートがしたいと思い日々診療をしています。時には、少しお母さんに耳が痛いことを言うこともあって、タバコの臭いがしたりすると、「お子さんには、煙は気をつけてあげてくださいね」とさりげなくお伝えしたりもします。
乳幼児健診や育児相談も注力されていると伺いました。

赤ちゃんの相談が多いのも、当院の特徴の一つです。「病気診療の患者さんとなるべくかぶらないほうがいいね」とスタッフと話した結果、数年前から毎週火曜の午前中は赤ちゃん相談、育児相談会のための時間にしています。外部から助産師を招いて、授乳相談や卒乳のタイミングの相談に乗っていただいたり、管理栄養士が食事離乳食のアドバイスを行ったりしています。当院では乳幼児健診にも力を入れています。赤ちゃんの身長、体重などの成長がご心配な方には甲状腺ホルモンや貧血のチェック、専用のカメラを使った視力スクリーニング検査も行っています。赤ちゃんの発育が心配な親御さんは、気軽にご相談いただければと思います。
赤ちゃんの向き癖、頭の形に関する相談にも対応
ほかにも特徴のある、赤ちゃん向けの取り組みがあれば教えてください。

向き癖と頭の形を専門に診る外来を、火曜に行っています。私の個人的な肌感覚なのですが、3ヵ月、4ヵ月健診で10人中3、4人の赤ちゃんに向き癖があるように思います。向き癖はいつも同じ方向を向いて寝る癖のことで、発達に支障が生じるとまではいわれていませんが、筋肉の緊張が体のバランスに影響を与えることは知られています。頭の形は、審美的に見た目をきれいに整える治療です。以前から大きな病院の脳神経外科には外来としてありましたが、なかなか敷居が高かったため広く知られてはいませんでした。最近になり、小児科でも受診できるようになったことで、知っていただく方が多くなったのではないかと思います。当院でもヘルメット、ヘッドバンドを用いた治療を行っていますので、興味のある方はご相談ください。生後2、3ヵ月の早い時期から、スタートすることをお勧めします。
先生は子どもの発達障害にもご興味がおありだそうですね。
ディスレクシアという学習障害で、読み書きが苦手な子どものサポートについて、勉強を始めました。ディスレクシアとは知的な発達の遅れではなく、文字をすらすらと読んだり、字を書いたりすることがスムーズにできない障害です。幼児期は耳でカバーしているのですが、小学校高学年ぐらいから勉強などが大変になり、将来的には学業に支障を来すようになり、そういうお子さんは潜在的に多くいるそうなのです。最近、勉強会に参加し始めたばかりなので、もうしばらくかかりそうですが、しっかりと準備していずれ診療を行うつもりです。お子さんが何となく本を読みたがらない、字を書くのが嫌いなようだ、と察知されたらぜひ相談してください。
ところで、なぜ先生は医師になられたのですか? 小児科に進むきっかけは何だったのでしょう。

保育園の頃に「大人になったら、医師になろう」と決めていたのですが、なぜそう思ったのか、さっぱり思い出せません(笑)。おぼろげな記憶として言えるのは、子どもの頃から扁桃腺が弱く、しょっちゅう熱を出して近所の小児科によく連れて行かれていたことです。そこで会った先生の影響で「こんなふうになりたいなあ」と思ったのでしょうか。小学校に上がってからしばらくは医師になる夢は忘れてしまっており、中学、高校時代は陸上の部活動に打ち込んでいました。大学を選択する時に「そうだ、医師になりたかったんだ」と思い出し、医学部を受験しました。小児科に決めたのは、幼少期からの縁が大きく、小児科一択で研鑽を積みました。
子どもたちのプライマリケアを専門領域に
そしてご自身でクリニックを開業されたのですね。

結婚して、子どもも3人生まれました。やはり3人の子育ては大変で、夫の両親にも私の両親にも助けてもらったおかげで何とかなった、という感じです。夫の理解とサポートにももちろん感謝していますが、そんな中で、女性医師として仕事を続けていくには、開業しかないと思ったことがきっかけですね。自宅の1階を改装した最初のクリニックは、この隣の街の下中条町でした。8年ほどしてだんだんと手狭になり、私のやりたい理想の診療スタイルも見えてきて、現在の場所へ移転。2021年に再オープンして、今に至ります。
看護師や受付スタッフさんも長く働かれているのですか?
最初の医院の時から、一緒に働いてくれている看護師、スタッフもいます。みんなとても優秀で、この場を借りてお礼を言いたいぐらいです。私の診療が各診察室を回っていくスタイルなので、その場で完結できない仕事も多く、看護師や受付スタッフの役割分担が増えます。診察室を出た奥でカルテ入力や紹介状の作成、救急車手配などを私が行っている時間は、看護師が主となって患者さんの話を聞き、質問に答えたり、薬の塗り方を説明したり。来院された方々を不安にさせないように、てきぱきと仕事をしてくれるので、本当に助かっています。患者さんたちからの信頼も厚いことが私の自慢です。
では最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

とにかく地域のお子さん、そのお父さん、お母さん方のお役に立ち続けたいというのが、一番の思いです。小児科診療だけでなく、プライマリケアを専門領域とすることに対する熱量も、私の中では熱いものがあります。そのためには小児科診療も手広く行い、赤ちゃんの健診においても栄養面、貧血のチェック、視力スクリーニングなども欠かせません。3児の母としての子育てを経て、子育てというものは正解が一つではないと実感しています。それぞれのお子さんに合った育児や子育てを考え、お伝えし、プラスアルファのサポートをさせていただきたいと思います。さらに発達障害、思春期のメンタルの不具合など、さまざまな要因が絡む難しい問題にも積極的に取り組みます。お父さん、お母さんだけで悩まず、どうぞ気軽に相談に来てください。一緒に考えていきましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とはヘルメット治療/38万5000円