米山 喜平 院長の独自取材記事
田園都市高血圧クリニックかなえ
(横浜市青葉区/たまプラーザ駅)
最終更新日:2026/01/30
たまプラーザ駅から徒歩1分「田園都市高血圧クリニックかなえ」は高血圧を専門にする内科クリニック。高血圧を名前にしたクリニックは珍しい。日本循環器学会認定循環器専門医の米山喜平院長は、聖マリアンナ医科大学病院をはじめ複数の病院に20年間勤務してきたドクターだ。多くの重症患者の治療に携わり、重症になる前の治療の大切さを感じて開院。米国で心臓を学び、2020年の国際大会ではウエイトリフティング競技のチームドクターも務めた。患者一人ひとり異なる高血圧の原因の追究に力を入れている。人としての温かさ、ユニークでわかりやすい例えを交えた説明、そして医療への熱い思いと独自の視点で日々の診療に取り組む米山院長。高血圧症の改善を図り、病気を予防する同院ならではの治療と多彩な取り組みについて話を聞いた。
(取材日2022年6月14日/情報更新日2026年1月28日)
患者の願いをかなえる高血圧症専門のクリニックに
開院までの経緯を教えてください。

大学病院に勤務していた20年間、脳梗塞や心筋梗塞、不整脈、透析や肺炎の患者さんなどを診てきました。しかし、大学病院で診療を受けたからといって、全員が元気に退院するわけではありません。救えない命や治せない病気も多く経験しました。そこでわかったのは、重症になってから救急車で大学病院に運ばれて来る患者さんの多くが高血圧症を患い、血圧の薬を飲んでいるということでした。早い段階から高血圧症に対処すれば、皆さんがもっと元気で暮らしていける可能性が高くなると考えました。もちろん高血圧だけでなく、心筋梗塞や心臓病、慢性の持病で困っている方の不安を取り除いてあげたいと思ったので開院しました。
原因と予防の観点から高血圧症の治療が重要なのですね。
「あなたの高血圧の原因は○○だ!!」に力を入れています。初診時には問診、心電図、血管年齢、血圧専門の血液検査で、原因を検索します。当院では、心電図が正常範囲内であっても、正常の中の違いを患者さんに理解してもらいます。一般的に血圧の薬が必要かどうかでなく、あなたに薬が必要かどうかを判断します。すでに、心筋梗塞や脳梗塞などがある患者さんには重症化を予防する薬を提案します。一方で、臓器障害が軽くて、重症化のサインがないとわかれば、一旦は薬を使いますが、食事指導を行いなるべく薬をやめていきます。例えば、肥満が原因で、血糖値や血圧、コレステロール値が高い方に、初期は予防の観点から薬を使い、食事指導し、体重を落として薬をなくしていきます。原因と予防の観点から「高血圧を卒業させるクリニック」の想いを大切にしています。
院名の「かなえ」にはどのような意味があるのですか?

患者さんの願いを僕たちがかなえていきましょうという意味で「かなえ」とつけました。専門性の高い医療を提供する大学病院のような医療機関では、どうしても医師が主体になって治療が進みます。例えば新しい抗がん剤を使う、血液検査を2週間に1回受ける、通院は1ヵ月に1回、といったように治療法から治療にまつわる細かなことまで医師側が決め、患者さんは言われたとおりにするということが多いかと思います。しかし、当院が提供する医療は僕たちが主体ではなく患者さんが主体です。患者さんが「私は生活習慣を改めて健康的に生きたいから薬は処方しないでください」と言えば、患者さんが歩んでいきたい人生を尊重した治療方法を考えて提供しています。かなえとは患者さんの意思を尊重する意味です。
全身の病気に関与する高血圧症を治療することの重要性
そもそも血圧とは何なのですか?

まず、ホースで水まきのイメージをしてください。蛇口が心臓で、ホースが血管、ホースの先端を手でつまみますね。この時のホース内にかかる圧力が血圧です。ホースの先のつまみが過度になると、ホースの中の圧力が高くなり、やがてホースが破裂するか水道のポンプが壊れます。人間も同様です。血圧が高いと動脈が拡張して動脈瘤ができ、破裂すると動脈瘤破裂やくも膜下出血などになります。水道のポンプが悪くなると心不全を起こします。人間の体は対応力があるので、膨らんでも破裂しないように血管を硬くするということもできます。それが動脈硬化です。動脈硬化になると心筋梗塞、腎不全、腎硬化症などを引き起こします。足にくれば閉塞性動脈硬化症、目にくれば眼底出血など人によってそれぞれです。高血圧を治療することの重要性は、これらの重症な病気を予防することができるからです。
安心できる血圧の目安を教えてください。
高血圧の診断は、家庭血圧で135/85未満です。これを超えると医療機関の受診をお勧めします。高血圧症と診断された方は、75歳以下であれば、家庭血圧を125/75未満を目標に治療を行います。僕はこの125/75未満の低い血圧を「女子高生血圧」と呼んでいます。この血圧になれば、女子高生のように心配なく過ごせると思いますよ、重篤な病気にかかるリスクも少ないですよ、ということですね。また不安があれば血圧測定自体をやめてもらっています。当院は血圧に対する不安を取り除いてあげたい。だからこそより低い血圧目標値を設けています。一方で、高齢者や脳血管障害や慢性腎臓病、ふらつきが強い方などは、家庭血圧135/85未満を目標に管理します。安心できる血圧はそれぞれ異なりますので医療機関に一度相談してみましょう。
先生は医療従事者向けに動画配信をされていますが、その理由を教えてください。

動画配信の目的は時短です。大学病院に勤務していた頃、海外出張や大阪の日本循環器病センターに出張が多かった僕は、授業ができなかったんですね。そこで、医学生や若手医師、看護師さん向けに授業の動画を録ったんです。全国誰でも医学を勉強できるように動画配信を始めました。初めは医者が何をやっているんだって白い目で見られました。が、全国の医療従事者から“無料で心臓の専門家の講義が見れてうれしいです、ありがとうございます”と感謝されるので、うれしくてやっています。
減薬を目標に、食事管理による減量指導に注力
先生が医師を志したきっかけを教えてください。

実は、中学1年生の時に事故で薬指を切断しました。その時にめちゃくちゃ痛かったんですね。子どもながらに「この痛みを取ってくれる人の言うことならなんでも聞く」と思いましたね。それが、僕が医師を志したきっかけです。でも、勉強せず遊んでいました。高校に入り部活に専念し、運動部で全国優勝しました。当時の部活の先生が医者以外は、運動を続けろというので、運動をやめたかった僕は猛勉強して医者になりました(笑)。
先生は2回アメリカに留学されていたご経験があるのですね。
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で循環器の研究に取り組みました。当時、僕はすでに日本で一通りの治療ができていたので自信満々で渡米したのですが、世界のホプキンス大学ではまったく通用しませんでした。世界中から集まる優秀な医師とデータを分け合うから実力のない僕は負けてしまう。そこで、僕はまったく新しい独自のデータを作りました。循環器関連の代表的な専門誌に論文が掲載されました。僕に実力がなかったからこそ大成功に終わりました。が、帰国後、アメリカのボスから「どうしても帰ってこい」と言われ、2回目の留学にも行かせていただき心臓のスペシャリストになりました。
最後に今後の展望をお願いします。

僕が注力しているのは食事指導による減量と体重管理です。以前、患者さんから「血圧やコレステロールの薬を飲むことは理解できました。健康のためにシリアル、ヨーグルト、野菜ジュース、甘酒、黒酢も飲んでいますが痩せないんです」と相談された経験があります。僕は「誤った健康法の可能性があります」とお伝えし、食事内容を聞いた上で、食べて良い物控えるべき物を伝えました。するとその方は適切に減量に励まれるようになりました。その時僕は患者さんから学んだんです。「誤っていたのは患者さんではなく、体質や病状に合った減量法を指導しなかった医者の僕だ」と。体調管理を続けることで薬なしで血圧が上がらなくなる患者さんを見られればうれしいですね。もちろん全員が痩せて薬がなくなるわけではありませんが、生活習慣の改善で薬をやめて患者さんが通院を卒業するクリニックをめざします。なぜなら、それこそが患者さんが願うことだからです。

