浅井 将之 院長の独自取材記事
あさい眼科
(さいたま市北区/土呂駅)
最終更新日:2023/07/13

2021年8月にオープンした「あさい眼科」は、さいたま市北区宮原町にある大規模商業施設の中にある。落ち着いたトーンでまとめられた院内には、清潔感と親しみやすさが同居し、「医療施設に行く」という緊張感を優しくほどいてくれる。院長を務める浅井将之先生は、長年、大学病院や総合病院で糖尿病網膜症を専門とする外来などを担当し、手術も数多く手がけてきた。丁寧でやわらかな語り口と、人の良さ全開の笑顔が印象的で、小さな子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者から慕われている。「健康の秘訣はきちんと睡眠時間を確保することです」とほほ笑む浅井院長に、診療への想いや今後の抱負について聞いた。
(取材日2022年7月19日/情報更新日2023年6月12日)
患者に寄り添う丁寧な医療をかなえるために開業
もうすぐ開業2周年を迎えますね。

はい。自分の理想とする医療が実現でき、今の自分のスタイルにやりがいを感じています。これまで大学病院や総合病院で本当にたくさんの患者さんを診させていただいて、数多くの手術も担当しました。ただ当時は治療に集中するあまり、患者さんとゆっくりお話をしたり、お人柄にふれたり、疾患のことをどう思っておられるかお聞きしたりといった時間はあまりなかったように思います。それでも患者さんに感謝していただけるこの仕事を、誇りに思っていましたしやりがいも感じていました。そんなところへやってきたのがコロナ禍です。通院や手術を控えてしまわれる患者さんを目の当たりにする中、期せずして自分の本来やりたい医療を再考することになり、もっと患者さんの身近な場所で、丁寧にお一人お一人を診ていく医療を実現しようと思ったのが開業の理由です。今は患者さんとコミュニケーションを取る余裕もあり納得いく診療ができるようになりました。
どんな患者さんが来院されていますか?
商業施設の中にあるからか、小さいお子さんから高齢の方まで幅広い年齢層の患者さんがお見えになります。ご家族皆さんでかかりつけにしていただいているケースも多く、本当にありがたいですね。疾患は、お子さんの結膜炎や外傷から、色覚、緑内障、白内障、近視、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、網膜剥離、飛蚊、ドライアイなど多岐にわたっています。私自身は長い間病院で糖尿病網膜症に携わってきましたが、今も糖尿病網膜症の患者さんはたくさんいらっしゃいます。この場所では以前も別の眼科さんが開業されていましたが、まったく違う眼科になったとご存じない方もいらっしゃるようなので、早く皆さんに私のことを知っていただきたい、と思っています。
子育て世代の方からは、どんな質問が多いですか?

最近は近視に関するご相談が多いですね。私も近視になるお子さんの多さや近視の進みの速さはとても気になっていて、いろいろと新しい情報を積極的に集めるようにしているんです。最近だと、近視の進行を遅らせるような治療に注目していて、日々、診療をアップデートすべくさまざまな治療法について勉強しています。他にも、患者さんからご質問があったときには、医学誌などで話題のトピックスを織り交ぜながら、近視がひどくならないようにするためにはどうしたら良いかなどをお伝えします。まだ小さいのに近視があまりにも進んでいると、将来緑内障や網膜剥離になるリスクが高くなってしまいますので、ぜひ気をつけてあげてくださいね。
患者へのきめ細かな説明と、緑内障の早期発見に尽力
診療中は、よく説明をするようにしておられるとか。

患者さんには、今ご自分がどんな状況なのか知っていただきたいと思っています。そのためにしっかりご説明しますし、例えば眼底写真など検査結果や診断の基礎となる画像は、積極的にお見せしていますよ。患者さんの中には検査結果の写真などを診たことがないという方もおられ、逆にびっくりしています。これまでの経験から、割と小さい段階の緑内障も見つけることができると思っています。患者さんへの説明や、疾患の早期発見のために、開院にあたって検査機器類も一通り新しくそろえました。糖尿病網膜症の方には糖尿病管理手帳なども活用しながら、定期的にきちんと来院していただけるよう工夫しています。
緑内障の発見と治療にも力を入れてらっしゃるそうですね。
緑内障は自覚症状がほとんどなく、ご自分で違和感に気づいた時にはもうかなり進行していることが多い怖い病気です。場合によっては、視力を失うリスクもありますので注意していただきたいですね。当院の前にあった眼科さんの時代から継続して通われている患者さんの中にも、実は緑内障だったという方がいないか、きちんとチェックさせていただいています。緑内障は進行を止めることはできませんが、緩やかにしていくことは望めます。だからこそどれだけ早く発見できるか、が重要なんです。なんとなく高齢の方の病気のイメージがあるかもしれませんが、20歳代の患者さんもおられますよ。近い親族に近視が強い方、眼圧が高い方、緑内障の方がおられたりする場合も注意が必要ですので、定期的にチェックしていただきたいですね。40歳を迎えたら、一度検査をしてみてください。
急に緑内障が見つかると患者さんは動揺しませんか?

例えば結膜炎を心配されて受診され、緑内障と診断されたりするわけですから、患者さんご本人にとっては青天の霹靂。少なからずショックを受けられていると思います。ですから現状とともに、治療法についてもしっかりとお話しします。そうしているうちに落ち着かれて、治療に前向きな気持ちを持ってくださる方も多いのでは、と思います。お帰りの際に「早く見つけてもらえて助かった」と感謝していただけるよう、微力ながら地域のために貢献していきたいですね。
「楽しく仕事をすること」は患者への優しさにつながる
診察の際に気をつけていることはありますか?

患者さんは、初めて医療機関を訪れる際、特に不安を感じると思うんです。中には「怖い先生だったらどうしよう……」「大したことないのに受診して、と怒られるかもしれない」と考える方も多いのでは、と。ですから威圧感を与えてしまうような言動は、絶対にないようにと思っています。私の場合は性格的に、いくら威圧感を出そうと頑張っても無理かもしれませんが(笑)。とにかく、不安なことや疑問があれば何でも話してもらえるように、話しやすい雰囲気づくりを心がけています。患者さんから話し出しにくい場面もあると思うので、できる限り自分から「何か聞きたいことはないですか?」と様子を伺っています。そうすると皆さん話してくださるんですよ。特にお母さん方はお子さんのことを相談してくれたりするのでうれしいです。私も2児の父なので、気持ちがよくわかることも多いんです。わからないまま帰ってしまわれるのが一番怖いし悲しいですよね。
どうして医師の道へ進まれたのですか?
私が中学生か高校生の頃、国境なき医師団の存在を知りました。興味津々でコンタクトを取って、ちょっとしたボランティア活動に参加させていただいたりしました。それが医師という職業に興味を持ったきっかけです。本当に格好良くて、純粋に憧れたんです。国境なき医師団の先生方ほどのスケールじゃなくても、人の役に立てて、感謝してもらえる医師になりたいと思いました。眼科を選んだのは、手術もできるし、子どもの頃から手先が器用な自分に合っていると思ったからです。
スタッフへの教育で心がけていることはありますか?
仕事を楽しくやりましょう、と話しています。医師も看護師もその他のスタッフも、患者さんのために行動するという意味では、立場は対等。垣根をなくして何でも聞ける、何でも話せる関係でいるべきです。疑問を持ったまま仕事をしていては、患者さんのためにはなりませんからね。みんな仲良く楽しく仕事をしていれば、患者さんにも優しく親身に接することができると思っています。基本は「楽しく」。おかげさまで今は、風通しの良い関係で、楽しく診療をさせていただいています。
読者へのメッセージをお願いします。

私は、患者さんお一人お一人としっかり向き合いたくて開業しました。「こんなことで」と思わず、気になることや不安なことがありましたらいつでも気軽にご来院ください。また的確な診断のために検査機器類もそろえています。検査をして何もなかったらそれが一番です。特に緑内障は、ほとんど自覚症状のない怖い疾患。40歳を超えたら一度検査にお越しください。一緒に目の健康を守るパートナーになれたら、と考えています。