人生最期まで口で食べるために
患者の一生涯に寄り添う口腔ケア
すこやか歯科クリニック
(熊本市中央区/熊本駅)
最終更新日:2025/11/07
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生涯、口で食事をするために重要なのが口腔ケアである。口腔ケアは、虫歯や歯周病、誤嚥性肺炎の予防や全身の健康維持にもつながる。また、口腔ケアには、歯科医師・歯科衛生士が行うプロフェッショナルケアと、患者自身が行うセルフケアがあり、それらを組み合わせ、習慣化することが重要である。「すこやか歯科クリニック」の山田崇弘院長は、摂食嚥下リハビリテーションや訪問歯科診療を中心に、幅広い経験を積んできた歯科医師だ。同院では口腔機能低下症と呼ばれる、口の機能低下により話がしにくい、食べ物が食べにくいという状態の人へのアプローチに力を入れている。そんな山田先生に、口腔ケアの重要性や開始する時期、小児や高齢者の口腔機能に対してのアプローチについて、詳しく聞いた。
(取材日2025年3月14日)
目次
プロによる口の管理と、患者による正しいセルフケアを組み合わせ、習慣化することが大切
- Q口腔ケアとはどういったものでしょうか?
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A
▲口腔ケアと全身の健康についてわかりやすく話す山田院長
口の中を清潔にすることで、虫歯や歯周病などの疾患、誤嚥性肺炎などの感染症の予防に加え、口全体や嚥下の機能を維持・向上させる目的のものです。特に歯周病は糖尿病や認知症などにも影響を与えるので、口腔ケアは全身疾患の予防にもつながります。歯科医院で行うプロフェッショナルケアには、口腔の衛生状態の改善を図る口腔衛生管理と、口の体操やリハビリを行う口腔機能管理の2つがあります。一方、患者さん自身が行うセルフケアにおいては、歯の磨き方のアドバイスやセルフケア用商品の提案も行います。プロフェッショナルケアとセルフケアを上手に組み合わせること、そして、セルフケアは習慣化することが重要です。
- Q口腔内環境に意識を向けるタイミングはいつが最適ですか?
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A
▲口の不安に気づいた時に歯科検診を受けよう
当院ではマイナス1歳からの予防歯科を掲げています。妊婦歯科健診後、妊娠中は虫歯や歯周病になりやすいため、健康なお子さんを生んでいただくためにお口の環境を整え、出産後は子どもの歯を守るため、食べさせ方や食べ物に注意し、歯磨きやフッ素塗布などが大事ですね。口移しは細菌がうつってしまうため将来のお子さんの口腔内の環境を悪くしてしまいます。また子どもの頃から噛み合わせや歯並びに気を配り、必要であれば矯正治療や口腔筋機能療法(MFT)を行うことをお勧めします。大人になってからも定期検診や正しいセルフケアを継続することが望ましいです。それらをまだしていないという方は、気づいた時が最適なタイミングです。
- Q小児に対してはどういったアプローチを行いますか?
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A
▲子どもの口腔ケアには咀嚼能力向上のための食生活も大切
口や唇、舌の力を測り、筋力が低い子どもには口腔筋機能療法というトレーニングを行い、口の周りの筋肉を鍛えます。特に歯並びが崩れてしまっているお子さんには、マウスピース型装置を用いた矯正やワイヤーによる矯正治療をお勧めすることもあります。また食べる物や、噛み方に気を配ることも重要ですので、食育に関する指導も行っています。例えば、生の野菜などを食べさせること、砂糖が入った甘い食べ物を果物やナッツなどに代替するなどが大事です。それにより、健康的な食事習慣が身につき、咀嚼能力やお口の機能の発達を促すことへつながります。
- Q高齢者に対してはいかがでしょうか?
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A
▲口腔機能低下症の予防には心と体のケアが不可欠と話す院長
ご高齢の方で注意したいのが、口腔機能低下症です。当院では、噛む力や舌圧、飲み込む力、お口の乾燥度などの検査を行い、機能低下の兆しがあれば早急に手を打ちます。具体的には、口腔筋のトレーニングや食事・栄養に関するアドバイス、入れ歯が合っていないならその調整も行います。大事なのは、きちんと噛んで食べられるお口を長く維持すること。そもそもお口や体の虚弱「身体的フレイル」の発端は、社会的な孤立を意味する「社会的フレイル」といわれています。孤独や孤立が、精神や認知機能をむしばみ、最終的に身体にまで及ぶのです。ですから、いつまでも友人と語らい楽しく食事ができるよう、しっかりお口の健康管理をしていきましょう。
- Q訪問歯科診療について教えてください。
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A
▲通院が難しい患者には訪問診療を提案
先ほどの高齢の患者さんへのアプローチと重なりますが、「人生最後まで食べられるお口をつくる」ことが、私たちの一番の使命。訪問歯科診療では、全身の筋肉量が減り筋力が低下した状態の方、つまり身体的フレイルの状態の方、一般的な治療・専門的口腔ケアや入れ歯の作製に加え、食事や栄養の指導、摂食嚥下リハビリも必要です。看護師さん、介護士さん、管理栄養士さんやリハビリ職の方々と多職種で連携しながら、身体的なフレイルが進行しないよう筋力を高めたり、しっかり栄養が取れるように助言させていただきます。患者さんやご家族の目線を大切に、食べることにこだわった口腔ケアを行うこと。これが当院の訪問歯科診療の特徴です。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた小児の矯正/16万5000円~、ワイヤー小児矯正/16万5000円〜69万5000円

