山田 崇弘 院長の独自取材記事
すこやか歯科クリニック
(熊本市中央区/熊本駅)
最終更新日:2025/02/28

熊本駅から徒歩10分、産業道路沿いにある「すこやか歯科クリニック」。同院の2階には、同法人グループの内科医院もある。一般歯科、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科、インプラント治療、審美歯科、摂食嚥下リハビリテーション、訪問歯科診療など幅広く対応。院長の山田崇弘先生は、待合室にあるグランドピアノからもわかるように、音楽をこよなく愛する歯科医師だ。幼少期から習っているピアノの技術は、歯科治療に通じるものがあるという。診療ではインフォームドコンセントを重視し、治療のメリット・デメリットを時間をかけて十分に説明し、患者の同意を得た上で進めるよう努めている。「常に誠実な対応を心がけています」と優しく語る山田院長に、歯科医師をめざしたきっかけや今後の展望などさまざまな話を聞いた。
(取材日2025年1月10日)
摂食嚥下リハビリテーションを中心に幅広く研鑽
まずは歯科医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

子どもの頃に祖父が入れ歯治療を受けていたことがきっかけです。祖父の入れ歯の改善が図られることで「噛めること」の大切さを実感するとともに、「歯科医師はとてもやりがいのある仕事だな」と感じました。その思いが根底にあったことで歯科医師をめざし、九州歯科大学に進みました。ずっとピアノを練習してきたので、両手の指を独立して動かせることなど、歯の治療を行う上で役に立っていることもあると思いますね。食べる機能を支える摂食嚥下リハビリテーションの際には、患者さんの心が穏やかになるように音楽を取り入れています。音楽を使ったリラクゼーションは実際に世界で研究されている分野でもあるんです。音楽はさまざまな癒やしを与えてくれますので、定期的に患者さんや地域の方々をお招きしてピアノコンサートも開催しています。
それからどんな経験を積まれましたか?
歯科医師は体力も必要ですので、中学と高校は陸上部、大学時代はラグビーに打ち込みました。ラグビーで体にたたき込まれた、全員が一つの目標に向かって協力し合う「ワンチーム」という精神は、今の歯科医院の経営にも生きています。卒業後は、めざしていた高齢者歯科や障害者歯科に力を入れる歯科医院で研修を受けました。そこで歯科全般を総合的に学ぶ中、訪問歯科診療を通じて、摂食嚥下機能の大切さを実感。「最後までお口で食べること」を重視して診療にあたりました。今の診療のベースとなる経験ができたと思いますね。その後、外来診療でも経験を積むため福岡の大型歯科医院に勤務。毎日数十人の患者さんを診てさまざまな症例経験を積むとともに、マネジメント面でも多くを学ばせていただきました。
その後2021年に開業されたとのことですが、開設までの経緯を教えてください。

福岡県での勤務時代に、摂食嚥下リハビリテーションに取り組むために、医療法人社団松下会が運営する熊本の施設にも通い、多職種の方々と連携してリハビリに取り組むことにやりがいと必要性を感じていました。そんな折、松下会の理事長である妻の父へ地域医療や医科歯科連携のお話をする機会がありました。ちょうどその時期に松下会では内科クリニックを移設する計画があったのです。そこで、私は歯科医師として医科や介護施設と緊密に連携して、「自分がめざす歯科医療を実現したい」という思いをお伝えすることができ、1階に歯科を開設させていただく運びとなりました。
ライフステージに応じた医療で健康寿命延伸をサポート
クリニックの診療理念を教えてください。

1つは、ライフステージに応じた歯科医療を医学的根拠に基づいて実践し、生涯にわたり患者さんの健康寿命延伸に寄与することです。子ども、成人、高齢者などライフステージによって適切な医療は異なります。また高齢者でも、外来診療と訪問診療とでは違ったアプローチが必要です。先々を見越した治療計画を立てることも大切。当院では、インプラント治療を行う場合も、訪問診療を通じて最後までフォローするよう努めています。生涯にわたってお口の健康を保つには、子どもの頃からしっかりお口の機能を整えることも大切ですね。もう1つの理念は、地域包括ケアを念頭に置いた歯科医療を行うこと。地域の医療施設や介護施設と密に連携して患者さんをお支えすることで、本山エリアを地域包括ケアのモデル地区にしていくことを多職種の方々と一緒に実現していければと思っています。
特に力を入れている診療分野がありますか?
外来診療では、予防歯科と口腔機能管理に力を入れています。歯は削ると寿命が短くなりますので、治療に至る前の段階での予防に力を入れているんです。患者さんには「予防に勝る治療はありませんよ」などとお話ししています。自分で行うセルフケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケアを継続して、80歳で20本以上の歯を残すことをめざせればと期待しています。口腔機能管理に関しては、高齢者のサポートはもちろん小児矯正にも注力。また患者さんのニーズの高いインプラント治療も、口腔外科専門の歯科医師と連携し、力を入れて取り組んでいます。さらに訪問診療もチームを組んで勢力的に行い、ご家庭や施設にお伺いし診療にあたっています。
診療設備も充実していますね。

マイクロスコープや歯科用CTに加え、画像を用いてわかりやすく説明できる先進の説明用ツールも備えています。また最近、インプラント治療で使うダイナミック3Dナビゲーションシステムも導入しました。3D画像でリアルタイムに口腔内の状態を観察しながら治療を行うことにで、より適切な位置にインプラントを埋入することができるので、より精度の高い治療ができます。またデジタル方式で歯の型採りを行う口腔内スキャナー、外科処置を含めたさまざまな治療に活用することができる半導体レーザーも導入。患者さんがリラックスして治療を受けられるよう、笑気麻酔を施す機器も備えています。さらに徹底した滅菌を行うため、世界基準のクラスB滅菌器に加え、プラズマ滅菌器も導入。万一に備えて、AEDや酸素ボンベなども常備しています。今後も、患者さんに心地良く治療を受けてもらえるよう、先進の医療機器の導入に力を入れていこうと思っています。
満足のいく医療を提供するため、誠実な対応を大切に
診療の際にはどんなことを大切にしていますか?

常に、自分の家族を治療するとしたらという思いで、誠実な対応を心がけています。まず治療のメリット・デメリット、予後などを時間をかけて包み隠さずお話しし、患者さんの同意を得た上で治療を始めます。双方納得のいく治療を提供することで、患者さんと末永いお付き合いができるようにしていきたいと思っております。
診療体制についてもお聞かせください。
現在、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付事務など30人近くのスタッフが在籍しています。院内の雰囲気も穏やかで、開業以来長く働いてもらっています。新人の教育体制はもちろん、セミナーに参加する際には交通費から全額費用を負担するなど、スキルアップを支援する体制も整えています。自主性を重んじ、一人ひとりが好きな分野の技術を伸ばせるようサポートすることを大切にしていますね。私自身、両親、祖父母と教師の家系で育ったこともあり、人に教えることが好きで。高齢化が進む今、外来診療と訪問診療の両方を担える歯科医療スタッフを育てることにも力を入れていきたいですね。
これまでで印象に残っているエピソードはありますか?

勤務医時代に診療した、ある終末期の患者さんが印象に残っています。ご家族の名前も忘れ、声もあまり出ない状態でしたが、食べる機能は保たれていました。そのためご家族に適切な食事介助の仕方をお教えしました。老衰でお亡くなりになったのですが、「食べさせるという行為でコミュニケーションを最期まで取ることができました」とご家族から感謝され、「歯科医師になって本当に良かった」と感じました。「食べる」という、人にとって重要な機能をサポートできることに大きなやりがいを感じています。
最後に今後の展望や読者に向けたメッセージをお願いします。
院内環境や診療体制を充実させられるよう努力し、地域の拠点歯科となることをめざしています。通院が難しい場合は、訪問診療の選択肢もご提案できます。生涯にわたって患者さんのお口の健康を支えることはもちろん、医科と歯科と介護を連携して全身の健康まで視野に入れてお支えしたいと思っています。幅広い分野で高い水準の歯科医療を提供できるよう努めていますので、「健康への入り口」として、気軽にご利用いただければ幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正/40万円~、インプラント治療/40万円~、セラミックを用いた補綴治療/4万9500円~