荒井 好昭 院長の独自取材記事
西さいたま泌尿器科
(さいたま市西区/指扇駅)
最終更新日:2022/11/30

「ここに来れば大丈夫」と思われる医院をめざし、荒井好昭院長が開業した「西さいたま泌尿器科」。荒井院長は大宮地域で18年余りの診療実績があり、日本泌尿器科学会泌尿器科専門医でもある医師だ。膀胱がんや前立腺肥大症に対する内視鏡手術を日帰りで実施するほか、近隣の医療機関・医師と連携しながら幅広い症状に対応。術前の検査から術後のフォローまで、患者の回復をきめ細かくサポートする。患者の通いやすさにも配慮しながら、総合的な治療の提供をめざす院長。そこで今回は、自身の診療ポリシーや検査・治療環境、新たに加わった勤務医の先生をはじめとする、地域との強固な連携体制について聞いた。
(取材日2022年10月17日)
受診環境と検査設備を整え、複数の日帰り手術を実施
先生が理想とする診療スタイルを教えてください。

「患者さんに負担をかけない診療」です。というのも、私は勤務医時代、患者さんの待ち時間の長さをあまり気にかけない医師が多いように感じていました。また、こちらが定期的に病状を診たくても、待ち時間が長いと来院が途絶えてしまう方もいます。それでは十分な診療ができませんので、理想を追求するために開業し、予約制のクリニックとしてできる限りの準備をした上で患者さんをお迎えしています。予想される処方や検査の準備をして診療に臨めば自身の作業時間を短縮できますし、患者さんの話をじっくり聞いても、ほかの方をそれほど待たせずに済みますからね。病院という大きな組織に比べると、診療はもちろん手術などにも柔軟に対応できると思います。
検査機器や設備も整えていると聞きました。
がん患者さんのフォローアップや結石の診療に必要なCTのほか、最近は超音波装置も追加導入しました。ありがたいことに多くの患者さんに受診いただいており、将来は医師の数をさらに増やす方向なので、複数の診療室が機能するよう電子カルテも開業時の倍以上用意しています。尿検査については、病院勤務時代に結果待ちの列ができていた経験を踏まえ、結果を数分で出せる機械を入れました。現在、CTスキャンの順番待ちなどで多少待つ場合はあるものの、ほとんどの患者さんが来院から30分以内で診療を終えていますね。とはいえ、理想は検査を含めて30分以内に診療が終了すること。通院を負担に感じず「また来よう」と思ってもらえるよう、引き続き検査環境を改良したいと思います。
複数の日帰り手術にも対応しているそうですね。

前立腺肥大症に対するウロリフトという手術が保険適用となり、当院でも開始しています。こちらは専用のインプラントで前立腺を圧迫し、尿道を広げる低侵襲な治療法で、処置も早ければ10~15分ほどで完了するのが特徴です。また別のアプローチとして、内視鏡を使って前立腺の内側をくり抜くように摘除する経尿道的前立腺核出術(TUEB)も、症例に応じて提案・実施しています。さらに、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)という膀胱がんの内視鏡手術も行っています。これらの手術をすべて日帰りで提供できるのが当院の強みですね。ただ、手術希望で受診した患者さんを検査した結果、手術が不要だとわかるケースも少なくありません。そのため手術は絶対ではない旨を最初にお伝えし、経過に応じて薬などの内科治療に切り替える場合もあります。
強固な病診連携のもと検査から術後のフォローまで対応
先生をサポートする勤務医の先生についても伺います。

水曜の午前には埼玉医科大学総合医療センターの先生、午後には自治医科大学附属さいたま医療センターの先生に来ていただいているため、水曜は現在2人体制です。以前は内視鏡手術を行いたくても、午前診療終了から午後診療開始までの2時間では難しく実施ができませんでした。それが今では、午前の患者さんをある程度先生にお任せしつつ、私は手術に移るという体制が実現しています。午後に来てくださる先生も午前の先生と同様に心強く、手術の際には早めに出勤してサポートしてくれます。おかげで、1人では時間がかかる精巣がんなどの手術もかなり実施しやすくなりましたね。私自身は病院から離れている身なので最近の手術事情をお2人の先生から教えてもらうことも多く、非常に頼りになります。
勤務医の先生たちがいる病院と連携する場面も多いのでしょうか?
はい。必要に応じて、自治医科大学附属さいたま医療センターやその関連医療機関へスムーズにご紹介できます。逆に、同センターでの前立腺生検や早期の膀胱がんに対する内視鏡手術が数ヵ月待ちの場合、当院での検査・治療を依頼されるケースもあります。私も非常勤として同センターで診療していることもあり、互いに対応できる部分は助け合っているんです。私は18年余り、大宮地区で泌尿器科診療に携わってきた中で、積極的につながりをつくってきました。これは自己研鑽のためでもありますが、一番は密な連携を取るためです。こうした地域でのつながりを生かし、必要に応じて適切な医療機関と連携しながら、病院では手が回らない部分を担っていきたいですね。
病院との連携が強固だからこそ行える医療もあるのですね。

膀胱がんの内視鏡手術などは大学病院からの依頼も多いですが、大学病院への入院が難しい認知症の患者さんも当院で受け入れています。新型コロナウイルス感染症流行下の現在では、家族と離れ離れになることでストレスを感じてしまう方もいらっしゃいますので、ご家族がついていられる環境で治療を受けるケースもあるんです。あとは、大きな治療や手術を病院で受ける予定の患者さんが、事前に必要な検査・処置を当院で受けることもできます。こちらで行えることは済ませておき、データを共有しながら病院と同時進行で患者さんを診療する。そして、術後の経過のこまめなチェックや尿失禁といったトラブルも当院で引き続き診る。そんな総合的な治療をご提供できるのは、患者さんにとって大きなメリットではないでしょうか。
「ここなら大丈夫」と信頼されるクリニックをめざして
診療で大事にしていることは何ですか?

医師になりたての頃に恩師からたたき込まれたもので、まったくの受け売りなのですが、診療方針で迷ったときは自分の家族に置き換えて考えています。治療のガイドラインはあっても高齢者の場合、なんでも根治をめざせばいいわけではありませんし、治療自体が負担になることもあります。オプションとしての選択肢もきちんと伝え、最後の最後で患者さんに説明する時も、「難しい選択ですが、私の父親ならこうすると思います」というふうに、必ず意見として添えるようにしています。
今後の展望をお願いします。
検診でPSAの高さを指摘された方に対する前立腺生検を、今後さらに行っていきたいですね。現在の泌尿器科の世界では、無駄な検査をなるべくしないようにMRIによる事前検査を実施し、その上でリスクのある方に針生検を行う方針をとっています。当院でも事前検査にスムーズに対応しており、MRIは私が非常勤で勤めている病院のものを共同利用している状況です。そして検査の結果、手術が必要な場合は埼玉医科大学総合医療センターや自治医科大学附属さいたま医療センターと連携し、ロボット支援手術などの予約を早めにとることも可能です。また、仮に手術の適応がなくとも、ホルモン療法や放射線治療など、適切な選択肢を提示します。治療は「対応が遅れないこと」が何より大切ですので、ぜひ検査にお越しいただければと思います。
読者へのメッセージをお願いします。

開業して2年目となりましたが、当初の想像とは異なり、治療内容は勤務医の頃とあまり変わっておりません。がんの患者さんや急ぎの手術も多く行っています。私が開業以来めざしているのは「ここなら何とかしてくれる。ここで解決しなくても適切な医療機関を紹介してくれる」と信頼されるクリニック。総合的な治療をご提供するにあたり、今まで通り手術にもしっかり対応しながらより幅広い診療を行いたいと考えています。最近では前立腺がんに対し、副作用のリスクが低く、クリニックレベルでも実施可能な化学療法も始めました。「泌尿器科は行きづらい」という方は多いですが、つらいことや恥ずかしいことを押しつけるつもりはありません。患者さんのお話を聞いた上でなるべく負担をかけない治療をご提案しますので、不安があれば気軽にご来院ください。