西尾 啓英 院長の独自取材記事
とよひら歯科クリニック
(札幌市豊平区/菊水駅)
最終更新日:2023/03/20

札幌市営地下鉄東西線・菊水駅、札幌市営地下鉄東豊線・学園前駅からそれぞれ徒歩10分。北海道中央バスの豊平3条4丁目停留所から徒歩2分と、地下鉄でもバスでも通いやすい立地にある「とよひら歯科クリニック」。開放的な造りの院内は、院長の西尾啓英先生が好きだというブルーをアクセントカラーに落ち着いた雰囲気を醸し出している。長年北海道大学病院に勤めていた西尾院長は、歯周病治療と歯内療法の専門家。マイクロスコープを用いた精密治療を行いながら、歯も神経もなるべく「抜かない」ことをモットーにした歯科治療を行っている。患者とのコミュニケーションを重視する西尾先生らしく終始和やかな雰囲気の中、開業までの経緯や診療方針、趣味の話まで幅広く聞いた。
(取材日2021年7月6日)
歯周病治療と歯内療法を中心に、きめ細かな歯科治療を
先生が歯科医師を志し、こちらで開院されるまでの経緯をお聞かせください。

歯科医師の父が、患者さんから頼りにされている姿を見て憧れたのがきっかけです。ただ、父からは歯科医師になることを反対されていました。父の時代とは違い今は歯科医師が多いので、開業しても苦労するだろうという親心だったようです。結局反対を押し切って大学に入ってからも、父の後は継がずに大学病院に勤めて安定した生活をしろと言われていました。実際に大学病院での勤務は有意義でしたが、そのさなか、父ががんで入院してしまったんです。急なことだったので母から戻ってきてほしいと頼まれ、地元の滝川に戻ることになりました。それまで僕は大学病院での勤務を続けるか札幌での開業を考えていて、そのことを父に伝えると滝川の歯科医院を移転するといいと言われたんです。それから3年ほどかけてあちらの歯科医院を閉め、札幌で開院したという経緯があります。
先生がご専門とされている分野について教えてください。
歯周病と歯内療法、簡単に言うと歯の根っこの治療です。これも父の影響がありますし、僕自身歯周病や根っこの中をきれいにするのが好きなんです。ただ、根っこの治療というのは神経の治療ですから、一歩間違えると歯を抜くより痛いんですよね。特に虫歯が進んでズキズキしているようなときはものすごく痛いはずなので、麻酔がちゃんとかかるように細心の注意を払っています。また、歯周病治療では歯茎の手術をすることもあるので、特診室に歯科用CTやマイクロスコープを導入して対応しています。特診室はプライバシーが気になる患者さんのための個室としても使っています。
マイクロスコープを導入されている歯科医院はそう多くはないですよね。

そうですね。大学病院では毎日のように使っていて、非常に便利だったので導入しました。マイクロスコープを一番よく使うのは、根っこを治療する時です。根っこは肉眼では見えないので、普通は手の感覚を頼りに治療をします。状況を把握しづらいというのが、根っこの病気がなかなか治りにくい理由なんです。しかしマイクロスコープがあれば、よほど根っこが曲がっていたりしない限りは全部の歯をしっかり見ることができます。病気の原因もわかりやすく、診断が早くなるんです。マイクロスコープでは見えない場合でも歯科用CTで撮れば見えるので、状態に応じて使い分けながら治療をしています。
歯も神経もなるべく抜かず、本来の歯を健康にしたい
診療において大切にされていることはありますか?

第一に考えているのは、患者さんご自身の歯を残すことです。歯を残すためにできることは、ひたすらきれいにすることです。汚れている部分があるとそこから病気が進行してしまうので、歯石をきちんと取って、根っこの中まで全部きれいにすることが大切です。あとは、歯はもちろんですが神経もなるべく抜かないようにしています。神経を抜くと歯の白さがなくなって色が濁ってしまいますし、神経がある歯とない歯では硬さも全然違うんです。痛みが出てしまったら神経を抜くことになりますが、食事の時にしみるくらいのギリギリの状態ならなるべく残したいと考えています。やはり定期検診は大事で、治療を終えたとしてもそれで終わりではありません。半年もたたないうちに、誰でも歯石がつき始めます。何かあったらできるだけ早めに受診していただきたいですし、何もなくても来ていただけるような歯科医院をめざしていきたいです。
口内環境を維持する上では、やはり普段の歯磨きも大切ですよね。
歯周病を進行させない一番のポイントは歯磨きで、初期であれば歯石取りと普段の歯磨きで対処可能です。当院は担当歯科衛生士制をとっていて、患者さんの担当の歯科衛生士が正しい歯磨きの仕方をお教えします。歯磨きというと最近は電動歯ブラシもありますが、僕は手で十分だと考えています。正しい磨き方がわかれば電動歯ブラシでも自分の手でもしっかり磨けるので、それなら普通の歯ブラシのほうがお財布に優しくていいですよね。
歯磨きの指導をする上で大事なポイントはありますか?

口頭での事務的なやりとりだけでわかることは少ないので、患者さんに普段の磨き方を見せてもらったり、歯磨きの習慣についてお話を聞いたりするようにしています。歯磨きの習慣というのはライフサイクルによるところが大きくて、仕事が終わってから歯を磨ける方もいれば、仕事が忙しくてなかなかそうはいかない方もいます。会社勤めの方なら基本的には昼食後に歯を磨けますが、歯ブラシや流しがない環境で働いている方はそれも難しくなります。僕もできる限り患者さんとコミュニケーションをとるようにしていますが、やはりスタッフのほうがそういう会話は上手で、患者さんの私生活について差し支えのない範囲で聞いてくれています。
いつでも気軽に相談できる、身近な歯科医院をめざして
キッズスペースも設置されていますが、お子さんの診療で心がけていることはありますか?

お子さんに関しては、何もしない日があってもいいくらいに考えています。怖がっているのであればまずはゆっくり遊んで、少しずつ診察室に近づいてきてもらってもいいですし(笑)、まずは診察室に入れるようになって、ユニットに寝られるようになって、口を開けられるところまでいったら道具を見てもらって、目の前で道具から水を出してあげたりしながら少しずつ慣れてもらっています。ゆっくりそこまで進めていけば、だいたいのお子さんは治療もできるものです。大人の患者さんでも歯科治療が苦手な方はいますが、事前に痛みに弱いと言っていただければ麻酔をしますし、麻酔が苦手なら塗り薬からスタートします。「一緒に頑張りましょう」とお伝えして、二人三脚で頑張っています。
プライベートでのご趣味を教えてください。
趣味は海釣りとキャンプです。釣りはもともと中学生ぐらいの時に地元の川などでやっていて、大学を出た頃にまたやり始めました。魚を持ち帰ると妻が料理してくれて、先日はカレイを釣っていたら45cmぐらいのヒラメが釣れたので刺身で食べました。最近は苫小牧でよくイワシが釣れるみたいなので、近々行きたいなと考えています。釣りは全然釣れない時とよく釣れる時、両方あるのがいいですよね。僕はボーッとしている時間が好きなので釣れない時間も苦ではなくて、キャンプも一通り準備が終わってから椅子にもたれてボーッとしているのが好きです。
最後に、読者に向けてメッセージをお願いいたします。

歯周病は、歯が抜ける寸前まで進行しないと痛くならない病気です。病気を早く見つけるためには、なんでもないときにも歯科医院を受診していただくのが一番です。自分では何ともないと思っていても歯周病で危ない歯が見つかるというのはよくあることですし、最近になって歯周病が糖尿病や心臓の病気にも関係していることもわかってきました。そのあたりも含めて、まずは一応調べてみるくらいの感覚で来ていただければと思います。痛いときは気軽には来られないと思いますが(笑)、困ったことがあってもなくても気軽に顔を出せるような歯科医院にしたいと思っていますので、ぜひご相談ください。